【本日更新】彼方からの(甘い)便り Happy Hour from Kyoto 第3回
本日はお日柄もよく更新いたしました。
いこさん連載「彼方からの(甘い)便り Happy Hour from Kyoto」第3回は増村保造監督「最高殊勲夫人」!若尾文子・川口浩主演の日本映画史上最高キュートなロマンティック・スクリューボール・コメディには、どんなお菓子が選ばれたのかしら…?
大好きなこの映画を紹介するために、張り切って良き日を選びました。本日6月24日は大安吉日、一粒の籾(もみ)が万倍にも実る稲穂になるという意味が込められた一粒万倍日、そして新月!新しいことをスタートするのに、うってつけの日!6月ということもあって、今日を選んで結婚・入籍する人もとっても多そうです。
赤と金の晴れやかなトップページから、ふかふかした美味しそうな寿をクリック、読むだけでご利益ありそうな第3回、どうぞお楽しみください!
黄色い本、読了
だらだら読んでいた「映画にまつわるXについて 2」ようやく読了。
本屋でかけてくれる、紙のブックカバー、何故か私の手にはワサワサして読書に集中できない。ブックカバーもいろいろ試したけれど、文具屋で300円ほどで売られている厚手の透明ビニールのものが、物心ついた頃から一番しっくりくる。透明だから装丁も楽しめるし、ビニールだから水分にも強い。次に文具屋に行ったら様々なサイズを買っておこうと思う。
黄色が印象的なこの本、なんと薄黄色の紙に黄色いインクで黄色を刷ってるのだとか!表紙を外してみると、表と裏で黄色の色味が違う。四六判より少し小さなサイズは、戦前の本によくあったサイズらしく、西川監督の文章は一文が長く、みっしり文字が詰まっているように見えないように選ばれたサイズだそう。手の小さな私にも持ちやすく、鞄に入れてもかさばりすぎない。シンプルながら考えれたブックデザイン。
映画本で最も好きなのはメイキング本なので、「永い言い訳」のメイキング・エッセイはどれも素晴らしかったけれど、後半にある、あちこちの媒体に書いたテーマの異なるエッセイもいい。
特に好きだったのが「タジン鍋」。食にまつわるエッセイの、この一節…!
「好きな人と、大事な勝負の相手と、とびきりおいしいものを食べることの幸せを、私は解さない。いちどきに、そういくつものことを同時にはこなせない。好きな人や大事な人との話に夢中になって、魅力に打ちのめされて、うますぎる飯や酒は、却って邪魔だ。香りとか、色目とか、焼き具合とか、どこそこ産とか、やかましい。私は今、目の前の相手と、真剣勝負をしておる。デニーズのビールで十分だ。ピンポーン。お姉さん、これ、もう一杯。」
あああ、完全同意。食について、こんなに膝を打つ文章ってあるかしら。
監督と同じく、料理と呼べば料理に申し訳ないような、簡単なものを作ってさっと食べるのが何より美味しいと思っているけれど、この間、つらつらと一番色気のある外食って何かしら、と経験も引きずり出し妄想したばかり。結論として、朝のドトール。コーヒーとサンドウィッチ計390円のモーニングがいい。もちろん食べる前にスマホで写真なんて撮らない人がいい。肴はあぶったイカでいい。2階建てのドトールの2階、ガラガラならなおいい。どうですか、色っぽいでしょう。と、ここまで妄想したけれど、たいして共感は得られなさそうね…と考えていたところに、監督のこの文章。連載は終わったらしいけれど、またエッセイもどこかで読めることを楽しみにしております。
http://www.j-n.co.jp/books/?goods_code=978-4-408-53705-4
Joaquin & Converse
映画館でポップコーンを食べる習慣がなく、たぶん一度も買ったことがないと思う。けれど家で映画を観る時は話は別で、レンジでチンするポップコーン大好き。定番は成城石井で売っているFUN POP!味はナチュラル、バターの2種類。ナチュラルのほうが好き。いろんなメーカーのいろんなものを試したいと思っていたら、りえこさんが手土産にくださいました。ちょっと変わった味がする…と言われたように思うけれど、味はさほど癖は感じず、けれどFUN POP!より、出来上がりのポップコーンが小粒で驚いた。あんなに小粒のポップコーンが存在するとは、世界は広い。
眠って起きたらカンヌの各賞が発表されており、ニュースをチェックしながら身支度。私の気になる人はほとんど入っていなかったけれど、あれこれ読んだレビューからすると、少なくとも去年よりは順当のように思う。日本に配給される頃には、すっかりタイトルが変わっていて、見逃すこと多し。
ノーマークだったけれど、ホアキン・フェニックスの男優賞、これは観たい!と思ったら、ニュースが可愛すぎた。今年のカンヌで最も和むエピソードを最後にありがとう。ガールフレンド、というのは隣に座ったルーニー・マーラのことで、ホアキン・フェニックス、こんな柔らかい表情するんだなぁ。ルーニーは偉大ということか。そして履いているのがコンバース!コンバース好きとしては、ホアキン&コンバース&ルーニー&カンヌって、可愛さインフレ甚だしい。
https://www.cinematoday.jp/news/N0091863
どちらも大好きなので、ハリウッドのカップルで私の中で好感度第1位である。2人が共演した、ルーニーがマグダラのマリア、ホアキンがキリストを演じた映画、いつ公開でしょうか。
遠い海の向こうでも、映画のお祭りは楽しい。
後味
ルビッチ特集、未見だった映画を観ることができた歓びはもちろんのこと、何度観ても素晴らしい不朽の映画群をスクリーンで観ることができた恍惚。ハーバート・マーシャル好きなので(ダーリン!)「極楽特急」「天使」は不動の首位タイながら、今回どういうわけか「ニノチカ」がとりわけ染みた。物語だけならば「ニノチカ」がベストかもしれない。
最近読んだこの記事が良かったので
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO15940270R00C17A5BE0P00
同語反復的だが、「世界文学とは何かと考えることが世界文学である」というのが今の状況だ。文学の道を極めた偉い先生が「これを読めば大事なことは大体わかるから読んでおきなさい」というものをありがたがるのではなく、読み手一人ひとりが自分にとって切実な作品を手にしながら、自分だけの地図を作っていくことが大切だと思う。
世界文学について考える際に大きな問題となるのが翻訳だ。翻訳という営為の本質は、容易にはわかり合えない二つの文明圏をつなぐこと。「うまいか下手か」という技術の話ではない。
ついに「亡命ロシア料理」を開き、読み始めた。沼野充義さん翻訳。目次から漂うアウラ、既に只事ではない。「容易にはわかり合えない二つの文明圏をつなぐこと」、「ニノチカ」はまさにそれを描いた物語だものね。
近江屋洋菓子店 本郷店
ルビッチの感想を、薄れないうちに書くつもりだったけれど、哀しい報せを聞いてしまった。近江屋洋菓子店 本郷店が今週金曜 4/28に閉店とのこと。閉店1週間前の4/21に静かに張り紙で告知されたらしい。急すぎる…さよならも言えない…!
神田店は存続とのこと。神田店、行ったことないけれど、これから近江屋の味を求めて行かねばなるまい。
http://www.ohmiyayougashiten.co.jp/index.html
家から本郷店まで歩いて25分ほど、格好の散歩的距離にあり、美しい東大キャンパスを通り抜けながら、手土産なら、あの人は何がお好きかしら…と考えたり、自分用なら前に食べたあれが美味しかったからもう一度…など、思索に耽りながら歩くの、好きな時間だった。来週来るお友達と、朝ごはん食べに行こうかと開店時間を調べたばかり。写真のケーキ、1人用ながらホールケーキのようなスペシャル感があって一番好きだった。
最後に行ったのは12月。このwebサイトをスタートさせる数日前、デザイナーのあずささんが家に来てくださって、webデザイン調整する日だった。12月なのにコート要らずの暖かな日で、ケーキではなくアイスを買い、長い打ち合わせの中間に、ヨレヨレしながら2人で食べてサイトを作った思い出…。1月、別の連載の打ち合わせに向かう前に手土産を求めて立ち寄ったら定休日で、別のケーキ屋を急遽調べた。定休日、なかったはずなのに最近、日曜定休になったのは前触れだったのだろうか。
サイトにある「歴史」ページの写真が味わい深い。
http://www.ohmiyayougashiten.co.jp/rekishi.html
帝都という言葉が似合うような、こんなかっこいい東京の写真、小津や清水宏、五所平之助の映画を観ているみたい。戦前松竹っぽいクラシカルさ。歴史もさすがに映画さながらの物語がある。閉店までにあと一度、あの建物の中に入れるだろうか。
【本日更新】彼方からの(甘い)便り Happy Hour from Kyoto 002
本日更新しました。
いこさん連載「彼方からの(甘い)便り Happy Hour from Kyoto」第2回は、「ロミーとミッシェルの場合」から連想する京菓子のご紹介です。
「ロミーとミッシェルの場合」、あまりメジャーではないけれど、好きな人はとっても好きで何度も何度も観てしまうような映画。リアルタイムで観逃した私は、レンタル(DVDではなくVHS時代)で何度も借りて、お守りのように大切にしていた時期がありました。心の中のとてもパーソナルな場所にある映画だから、誰とも話したことがなかったので、いこさん…なぜ知ってるの?…と驚き。
カラフルでキュート、でもそれだけじゃない不思議な深みが病みつきになる「ロミーとミッシェルの場合」、未見の方も、懐かしい!という方も是非、春爛漫の京菓子と一緒にご賞味ください!
彼方からの(甘い)小包
彼方からの(甘い)小包、受領。いこさんがお送りくださいました。ありがとうございます。
紫色に目がないので、開けた瞬間キュンとした。モノトーン以外で好きなのは紫や赤で、北京で仕立てたチャイナドレスも薄紫。
紫の薄紙をはらりととると、緩衝材代わりに京菓子の色とりどりの包装紙。こういう使い方もあるのだね。ナイスアイディア。そして色とりどりの薄紙をはらはらとっていくのは、儚い手触りの絹を一枚ずつ脱がすような背徳感。
!!!見覚えのある柄!!!しぐれ傘!!
連載第1回で紹介していただいた、しぐれ傘。傘の絵、ちょっとした水木しげるイズムを感じる。妖怪っぽい。柄の部分が足になっていても不思議ではない異形感。
わー!これが噂の!しぐれ傘!次の京都で絶対お店に行って買おうと思っていたので嬉しい!!傘の柄の部分のスティックも同梱されており、切り分ける包丁さえあればこの状態を作ることができます。
現在のトップページとお揃いポーズ。
せっかくのしぐれ傘デビューなので、「シェルブールの雨傘」を久しぶりに観ながらいただきます。「LA LA LAND」を観終わり、ドゥミ映画を再見したいと思っていたところ。
味は、生地部分はもっちり、こし餡はむっちり弾力、羊羹の食感に近い。2つの味と食感のコンビネーション。上質な京菓子やなぁ…としみじみする味でした。目にも舌にも楽しいし、切り分けるイベント性もあるから、自分でもまた食べたいし、いろんな人に贈って食べてもらいたい。
ジャック・ドゥミのミュージカル、私は「ロシュフォールの恋人たち」派で、シェルブールはロシュフォールほどではないのは前半、ママンに交際を反対され、恋人が出征することになり、ドヌーヴがしくしく泣いている場面が多いからで、しくしく泣いてる場面が多い映画が苦手、という単純な理由から。けれど、久しぶりに観ると、やっぱり美しい映画。ロシュフォールのような陽の明るさはないけれど、雨に濡れた舗道のような憂いが全篇を貫いていて。
「LA LA LAND」で、チャゼル監督は想像以上にジャック・ドゥミ・チルドレンなのだなと思ったけれど、それはまた別の日に書こうかな。
しぐれ傘片手に観る「シェルブールの雨傘」は格別でした。ごちそうさまでした!
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