クレオ気分

アニエス・ヴァルダから思い出したけれど、あちこちの病院であれこれ検査する時間を過ごし、存分にクレオ気分を味わった5月だった。
『5時から7時までのクレオ』(アニエス・ヴァルダ監督/1962年)のクレオの気分。クレオが、自分が癌かもしれないという恐怖に怯えながらパリの街を彷徨い、7時に検査結果を知るために医者のもとに行くまでの情緒不安定かつ多動な2時間の物語。そんな重病の疑いではない私でも、病院は憂鬱で緊張するもの。最後に見知らぬ兵士に心を開き、支えられるように病院に向かう、クレオの気持ちはうっすらわかる。
アニエス・ヴァルダの映画、街の美しさもグロテスクさも、ごろっと記録されていて、何度観ても飽きない。
明日から6月。
Senses

5月4日、みどりの日。近所の動物園こと上野動物園、無料開園日だったので、移動の途中にさっと寄ってまいりました。

不忍通り沿いの入場口から、さっと入り、まっすぐペンギン池へ。ケープペンギンズ、のんびりぱたぱたしておった。新緑とペンギンのコンビネーション、この季節ならでは。
間もなく開幕するカンヌ映画祭、矢田部さんのブログ(こちら)で予習。濱口竜介監督、カンヌ開幕に先駆け、『ハッピーアワー』が5/2からフランス公開されているもよう。『Senses』のタイトルで5部構成、3回に分けて上映されるのだとか。
http://www.filmdeculte.com/cinema/actualite/Happy-Hour-21777.html
パリの友人に、長い映画だけれど時間の都合がつくなら是非!とおすすめしたら、メトロにたくさんポスターが貼ってあって、何度も目に入るうちに、ん?これ、日本映画?って気づく感じのデザインだったから気になっていた、と返事がきた。
パリの映画館Max Linderでは、3部作を一気に観る機会も設けられたようで、チケットの他に「BENTO(弁当)」や「DORAYAKIS(どら焼き…なぜ複数形…?」も売られるらしい。
書けていなかった日記をまとめて書きました(台北の投稿の下)。『ベイビー・ドライバー』『パターソン』『コンフィデンスマンJP』の映画マニア編が面白かったことなどなど。
トリコロール 青の愛

早稲田松竹にて。クシシュトフ・キェシロフスキ「トリコロール 青の愛」。トリコロールシリーズはフランス政府から依頼を受けたキェシロフスキが、フランス国旗の色が象徴する「自由・平等・博愛」をテーマに撮った3部作。「青の愛」はジュリエット・ビノシュをヒロインに迎え、テーマは自由。
ビノシュ演じるジュリーが、夫と娘と同乗する車が事故に遭い、ふたりは即死、ジュリーだけが生き残る。作曲家の夫が未完のまま遺した、欧州統合記念に依頼された交響曲のメロディーを、一度は捨てようとするのだが…。
みなみ会館だったか、朝日シネマだったか、公開当時に3部作をすべて観た。「何色ですか、あなたの愛…」という思わせぶりなナレーションの予告篇を覚えているけれど、「青の愛」について私の記憶に残っていたのは、ビノシュがカフェでオーダーするアイスクリームとエスプレッソ、反復して登場する青いプールで夜に泳ぐこと。
あらすじもすっかり忘れた状態で観ると、何もかも失った女が、何もかも捨てようとする物語で、とても私好みだった。この世に執着はない、とばかりに財産売却の手続きを事務的に済ませ、売却利益の受け取りも拒否。光を反射して部屋に青い模様を飛ばすガラスのオブジェだけ抱え、新しい部屋でひとり暮らしはじめる。この部屋が私好みの素敵さで、備え付けの家具は多少あるものの、すべて捨ててきた女はとても身軽。物が増える気配もないガラガラの部屋に、過去から連れてきたオブジェが青い光を散りばめるだけ。何もないけれど窓が大きく、目の前の通りはやや騒がしく、階下に人の気配も感じられる。
引っ越し当初は生気を失っていたジュリーが、距離をおきたくても否応なしに少しずつ他者に踏み込まれ、一度手放したはずの過去をふたたび手繰り寄せ、新たな現在を再構築してゆく。捨てることに一生懸命なのは潔く見えるけれど実は過去への執着の強さのあらわれで、周囲の人物や物がいくら入れ替わろうと、現在も未来も過去の延長にしかない。物語の最後までたどり着くと、ジュリーの知らないところで亡くなった夫が語っていたという「彼女は寛大で、頼りになる」という言葉そのものの女性だ、と思った。
ジュリーの新生活に絡んでゆく階下に住む女性、どこかで観たことある…と記憶のアーカイブを調べてみると、ロメール「冬物語」の主人公フェリシーを演じた女優(シャルロット・ヴェリ)だった。「冬物語」以外で観たことがなかったので、思わぬ再会、という気分。「冬物語」のフェリシーって、これまでに観たあらゆる映画の数多のヒロインの中で、もっとも私自身に似ている女なのだけれど、シャルロット・ヴェリが「青の愛」で演じた役も、フェリシーにどことなく似た、己の欲望に忠実で周りを気にしない、正直な女だった。
そしてジュリーが借りる部屋、パリのムフタール通り(Rue Moufftard)にある。アイスクリームとエスプレッソをオーダーするカフェは、ル・ムフタール。ムフタール通り、マルシェや各国料理のレストラン、カフェがひしめく有名なグルメストリート。生気を失った彼女がひっそり閉じこもるには、あまりに食の歓びに満ちた場所すぎて、ジュリー、死にそうな表情をしていたけれど、ムフタールを選ぶなんて、生きる気満々では?と勝手な深読みを楽しんだ。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2018/kieslowski2018.html
Lynch!


今週はたいへんバタバタしており、映画の感想を書きたいけれど書けない。観たい映画メモばかり溜まっていく。ううう。そんな中、デヴィッド・リンチ特集のニュースが!9/30から角川シネマ新宿にて。9月、待望の映画続々っぷり甚だしく、手帳の隙間と毎日にらめっこ。そうこうしているうちに、映画祭シーズンに突入していくのだわ。
リンチ特集
http://cinemakadokawa.jp/lynch50-eiga/index.html
ずいぶん前、借りてきた「ブルーベルベッド」からリンチワールドに吸い込まれ、翌日また他の映画をどんどん借りて、予期せぬリンチ週間を過ごしたことがあった。特に「ブルーベルベッド」から「ロスト・ハイウェイ」への流れ、麻薬めいた強さがあった。今回その流れをスクリーンで再現してみたかったけれど、権利の問題なのか「ブルーベルベッド」は上映がない。
agnesbで買ったリンチTシャツを着て行きますとも。写真はパリ、カルティエ財団でのデヴィッド・リンチ展示の外観。2007年。
Les Cinglés du cinéma

Cinema Studio 28 Tokyo、東京の名前を持ちながらも、現在進めている連載の執筆陣、みんな遠くにいて、メンバー含め東京にいるのはデザイナーのあずささんと私だけという事実に気づいた。今週、なかなかの量のメール等々が飛び交っております。
昨日、読書中の《物体X》に書かれていた、パリ郊外の映画蚤の市にいつか行ってみたいとさらっと書いたことにパリ方面からピピッと反応があり、「ところで映画蚤の市、具体的にどこ?」と届いたメールに、朝の電車で本を開いて地名を確認し、ここらしいとURLを送ったのが本日のメール1通目。
パリ郊外のArgenteuilという街の、正式には「Les Cinglés du cinéma」という催し。著者の日記では1月26日に訪れたと書いてあり、もうすぐでは…?と今年の開催を調べてみたら、もう29年目だそうで、今年は1月27日、28日とのこと。この日付は蚤の市のようなものの開催期間で、25日から30日までは上映プログラムが組まれ、パトリス・ルコントがゲストとして参加するらしい。
Les Cinglés du cinéma(facebook)
フランス国内外からの数百もの業者が好き勝手に商品を並べ、コレクターが集うとのこと。日本製印刷物専門のお店は、日本製のチラシを商品として並べたり…と《物体X》に書かれていた。買い物に興味が薄いので蚤の市と呼ばれるところにはほとんど行かなかったけれど、この催しはタイミングを合わせていつか行ってみたいところ。ひとまずパリ方面からのリポートを期待…!
研修日記を今日も読んでいたら、懐かしくなって、録画したままにしていたNHKのフランス語番組、シネマテークを紹介した回があったっけ…と、先ほど観てみたら、シネマテークのスタッフが同行し、シネマテーク内部だけではなく、カルチェ・ラタンの名画座や映画好きが集まるカフェもしっかり紹介。短いながら贅沢な内容だった。映画館、3分の2ほどは行ったことがあった。
モンマルトルのCinema Studio 28もしっかり登場。語学番組だから「チケット1枚」など映画館で使うフランス語の実践の場として、あのチケット売り場も登場していた!
写真は、もちろん紹介されていたアンリ・ラングロワ。
《物体X》

読書はたいていマイペースに次読む本を選ぶので、映画本の新刊を常にチェックしているわけでもなく、けれど、これは読まなければ!でも積読本が山ほど…!とグズグズしていた本、矢田部吉彦さんのBlog(こちら)で取り上げられていたので、やっぱり!きっと必読本!と、とりあえず図書館で予約して順番がまわってきた。
ぱらぱら斜め読みし始めただけながら、購入して本棚の永久保存ゾーンに並べねばと思っている。著者はフィルムセンターの主任研究員の方。今日は、シネマテーク・フランセーズでの研修のためパリに滞在した時期の日記を斜め読み、私の全く知らない映画とパリの世界があるのだなぁ、と岡田さんの1日の内容の濃さに驚愕。郊外で開催されるという「映画蚤の市」いつか行ってみたい。真冬、しばらくこの本に夢中になりそう。
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