土間

ひたすら静養の土曜。昨夜観た「アンナチュラル」を、録画でまた観た。映画1本分の料金ぐらいは払いたくなるドラマ。
キッチンエリアの水漏れ案件、水道管工事が終わり、次は剥がした床をまた修復する工事。その間におり、部屋の中に土間っぽいエリアが出現している。山手線内側に出現した土間がこちらです。なかなかレアな光景。
50年代の日本映画を観ていると、家での主婦の装いが洋装と和装が入り混じっていて(小津映画の場合、だいたい白いブラウスに中途半端な丈のスカート)、勝手口に下駄がおいてあり、洋装+下駄という装いのシーンが登場したりするけれど、スリッパを履いて土間を歩く時、私の気分はちょっと、あんなシーンの味わいがある。
非日常の光景を楽しんではいるけれど、家の中に僅かな段差があることに時折(特に寝起き)落ち着かないので、早く床、修復してくれないかな。
変化

有楽町マリオン上階の、鏡に囲まれたエスカレーター。フォトジェニックな場所で好きだった。なくならないと思うのだけれど。ここで撮られたイザベル・ユペールのスナップ、タイムラインに流れてきたことがあって、映画のワンシーンのようだった。
有楽町朝日ホールは存続するのだろうけれど?、何かの余波なのか、例年、有楽町で開催されていたフランス映画祭、今年は横浜開催らしい。変化。
http://unifrance.jp/festival/2018/
もう日程も出ていて、手帳にメモしたけれど、横浜、行くかなぁ。横浜、心の距離がいつまでも近づかない街なんである。
しばらくかかりきりだった仕事が本日完了。ホッとした。
名画座

アテネフランセ、エレベーター内の3ヶ国語表記。collaborationの箇所、上から紙が貼ってあるけれど、修正前は何と書かれていたのだろう?って剥がしたい衝動をおさえた。
年明けからずっと慌ただしいけれど、この後3連休が2回続く予定の2月。休み、待ってた!東京で初詣に行けていないので、根津神社にも神田明神にも行きたい。
2月は、よく行く名画座の番組がなかなかのもので、手帳にしっかり書いておる。
早稲田松竹は「GOOD TIME」「あさがくるまえに」、翌週は「ダンケルク」「インセプション」を35mmで。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/schedule.html
あ、今はトリュフォーがかかってる。アントワーヌ・ドワネルものでは「家庭」がとりわけ好きよ。トリュフォーのことは、年々、好きになってくる。
ギンレイホールは「パターソン」「ベイビー・ドライバー」の2本立て。
http://www.ginreihall.com/schedule/
その隙間に、ノーザンライツフェスティバルにも行く。
好きな映画館は?って聞かれることが多いのですが、番組だけではなく場内の観やすさも考えると、総合力で早稲田松竹かな、と思う。だいたい最前列〜3列目界隈の前方で観る習性で、早稲田松竹、最前列とスクリーンの間に距離がしっかりあって、前方族に優しいつくりなんである。休憩時間に今後の上映スケジュールがスクリーンに映るのも親切だし、外出券をもらえるのも便利。
情報摂取

日劇が閉まって哀しい気持ちでいたのに、平日が始まってみると慌ただしさに哀しみも紛れ、少しずつ日暮れが遅くなってきていることを喜び、新しい季節に新しい映画館が生まれることを楽しみにしている自分がいるのだから、流れる時間は人を変えるもの、薄情なものですね。
花椿最新号の表紙はソノヤ・ミズノ。「ラ・ラ・ランド」でも素敵だったけれど、断然「エキス・マキナ」が素晴らしかった。あの意志の強そうな身体をひっさげて、変な映画にどんどん出てほしい!
花椿、毎号とても楽しみにしていて先週もらったけれど、テーブルの上に置いたまま1週間開かなかった。さっき4分の1ほど眺めてみて、残りはいつ読むかなぁ。貪り読むわけではないけれど、花椿のことは好き。最近、情報摂取の頻度や速度についてぼんやり考えてみて、私と花椿の距離感ぐらい、マイペース、つかず離れずの距離で「新しく素敵なこと」には接していきたいな、と思う。たくさんの情報を熱心にチェックして自分だけのとっておきを探して見つけることや、どんどん更新されるものを待ってました!と受け取りに行くのは、もう自分の生活には馴染まない。
ずいぶん前、夜中までやることが溢れていた頃、日付が変わる直前に滑り込みで日記を更新していたある日、見知らぬ方からメールをいただいて、彼女も当時の私と同じぐらい夜が長く、何かを制作している間に日付が変わり、あ、日記、更新されてるかな?って私のサイトをチェックしてみて、されていると、わぁ!という気分で珈琲を淹れ、飲みながら読みます。と書かれていた。私にとって書くことが日課で、彼女にとって読むことが日課。自分の書くものが、誰かの時間の区切りになっているとは思いもよらず、不思議だし、嬉しく思いました。お会いすることはなかったけれど、時折、彼女はどうしているんだろう、もう生活も変わったかな?と、ぼんやり考えます。
28はペンギンの歩行のようにのんびりしたスピードで更新されるサイトだけれど、私と花椿のように、マイペース、つかず離れずの距離で楽しんでもらえたら嬉しいな、と2018年初頭は思っておる次第です。
さよなら日劇:パンフレット

さよなら日劇、これで最後。楽しみにしていたパンフレット、大充実の内容。旧日劇で催されたショウの演目も、かかった映画のタイトルも全部網羅されている。編集の労力に平伏したくなる、資料価値の高さ。2018年始まって最も有意義な1000円の使い途。むしろ1000円っぽっちでいいんでしょうか…。
漠然と、日劇を特別な場所だと感じていた理由が全部載っていた。保存版である。誰かにあげるためにもう一冊買おうかな、と思ったけれど、帰りには完売していた。

最後のページにはスタンプを押すスペースがあったので、しっかり押してきました。ラストショウで最後に観たのは「ゴジラ(1984年)」、ロードショーで最後に観たのは「スターウォーズ 最後のジェダイ」、日劇らしい映画でさよならできた。
そして日比谷駅の改札前から、もう東京ミッドタウン日比谷のサインが見えた。出口から近い!こんなに近いなら家のDoor to 映画館、20分ぐらいで着きそう。


日劇のスピリットが継承されるというTOHOシネマズ日比谷は3月29日オープンだそう。1本めは何にしようかな。
さよなら日劇:ゴジラ(1984年)

さよなら日劇ラストショウについて、続き。
木曜あたりにのんびり東宝のサイトを眺めていたら、まだいくつか選択肢はあったものの、のんびりしているうちにあれよあれよと満席になり、選択肢が減った。「シン・ゴジラ」はチケットがあったけれど何度も観たからパスしたい。「ゴジラ(1954年)」は宝田明さん登壇もあり早々にソールドアウト。そうなると意地でもゴジラを観なければならない気になって消去法的に「ゴジラ(1984年)」を選択。観たことないけれど、どんな映画かな。

ロビーにはシン・ゴジラ氏。あなたのことはよく知ってるわよ…と語りかけながら場内へ。
ゴジラ(1984年)は田中健主演、夏木陽介、宅麻伸、沢口靖子などが出演。武田鉄矢も出てくる。首相役は小林桂樹。会議室のシーンが多いのはシン・ゴジラに共通するけれど、内閣総辞職ビームで全滅することもなく、首相はゴジラ鎮圧まで見届けていた。シン・ゴジラを見慣れた目には、1984年の特撮はとてもチープに思えたけれど、特撮について何も知らないので、公開当時には大変な技術だったのだろう。頻繁に登場するスーパーxが、古いSFに登場するUFOのような可愛さ。そしてシン・ゴジラに比べ、1984年のゴジラは、人間のエゴが生み出したゴジラによって人間が苦しめられ、ゴジラを倒すのも人間である、という苦々しいパラドクスに苦悩の表情を浮かべる登場人物が多くエモーショナルであった。核を巡って米ソの間に立たされるのも80年代っぽい。
そして沢口靖子。当時18歳の沢口靖子、可愛い!東宝の姫!お肌ピカピカ!だけれども、それ以上に表情のバリエーションが「緊迫した沢口靖子」「微笑む沢口靖子」「無表情な沢口靖子」の3パターンしかないことがもたらす沢口靖子の不気味な存在感が、ゴジラのそれより際立ってしまっている。その証拠に一晩寝て起きた現在、沢口靖子のことしか覚えていない。1984年のゴジラ、シン・ゴジラに比べお顔が普通というか、目がちょっと動物の子供みたいなつぶらさで迫力に欠けたせいもあったけれど、それにつけても沢口靖子。三原山の火口に落ちてゆくゴジラをヘリコプターから眺め、うっすら微笑みを浮かべる沢口靖子…で映画が終わってしまったせいか、なんだか昨日から沢口靖子のことばかり考えている。本人は右も左もわからず一生懸命なのでしょうが、30年以上経過すると怪演と呼ぶしかない演技だった。

入場時に記念にいただいたのは、ゴジラ(1984年)のフィルム。せっかくの機会に、まったく物語がわからなくてポカーンとしちゃうともったいないので、あらすじを簡単に予習して行った。ゴジラが数寄屋橋から有楽町マリオン(日劇が入っているビル)前を歩き、新幹線を弄んだ後、永田町を経由して新宿に向かう、と書かれていたので、まさに日劇ご当地映画、これを選んでよかった!と思っていたらフィルム、ちょうどその場面のもので記念度が増して嬉しい。スクリーンに映る1984年の数寄屋橋界隈は、東芝の電飾、NECの看板、2018年に観ると、東芝は息も絶え絶え、NECはリストラ、日劇は閉館するよ…万物流転、諸行無常なんである。

上映は35mmフィルム。途中、映写トラブルで一瞬ブラックアウトするフィルム上映ならではの体験。その間、場内がどよめいて拍手が起こっていたのが面白かった。バチバチ音のするフィルムで、日劇で最後にゴジラを観られたこと、きっと忘れません。
映画の中で、ゴジラは有楽町マリオンの壁を爪先で引っ掻いてガラスをいくつか割っていた。もっと破壊するのかな、と思えばそのまま通過して、JRの高架の前で停止し、新幹線をおもちゃのように弄んだ。

エンドロールの最後に万雷の拍手。興奮して外に出ると、有楽町マリオンは無傷、私も無事で、2月の空は青かった。有楽町マリオン、ゴジラと同じ、1984年にできた建物らしい。新築を破壊するのは忍びないって、窓ガラス程度の破壊にとどめ、さすがにゴジラも遠慮したのかな。
さよなら日劇ラストショウ

2月4日、85年の歴史を持つ日劇の閉館日。「さよなら日劇ラストショウ」と名付けられた閉館記念上映で、何か1本観られたら…程度の欲望だったのが、ことごとく時間が合わず、閉館日のプログラムを予約する結果に。ずいぶん気合の入った観客みたい。

有楽町マリオン、11階に日劇1、9階に日劇2、日劇3。11階に歴史解説のパネルが。

熱心な映画館通いを始めたのは京都だったので、東京で封切られた映画が京都に届くのが遅かったり、そもそも上映されなかったり、映画雑誌や本を読んでは、たくさんの映画がすぐに観られて、映画祭や舞台挨拶など華やかな東京の映画環境に憧れ、姿も形も知らない映画館の名前をいくつも覚え、溜息をついていた。上京してしばらくは多忙すぎて映画館に行く気力がなく、何年かの後にようやく行けるようになった時は、平静を装いながらも、わぁ!わぁ!わぁ!と大興奮。日劇で最初に観た映画が何だったかは覚えていないけれど、日本劇場、日本にこれだけたくさんある映画館の中でも、王様級の風格が漂う威風堂々としたその名前にうっとり。家から近い大劇場ということや、大作がかかるので友達を誘いやすいことも好きだったけれど、何が好きって、日劇という名前が好きだった。
消去法的に選んだ最後の1本は「ゴジラ」1984年版。何も知らずに観たけれど、日劇で観るのに相応しい映画だったのだな、と観終わって実感。映画については後日。パンフレット、映画の前に無事買えたけれど、映画の後に覗いてみると完売していた。間一髪。
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