オトメ
連休初日は、中国料理オトメで餃子、蟹チャーハン、肉の天ぷら、生ビールと栄養バランスに配慮ゼロのメニューで昼飲み。根津の老舗街中華。
中華っぽさ皆無の純喫茶のような内装で、いつも清潔な店内。コロナ禍前から会っていない友人と久しぶりにおおいに喋って楽しかった。
友人は『キングダム』シリーズが好きで職場で同好会を結成しているらしく、いつかCinema Radio 28『キングダム』スペシャル回として同好会の皆さんとお喋りし、そのまま中華料理を食べに行きたいです。『キングダム』1作目は私の平成最後の映画だったけれど、続編を未履修なので、観て準備しておかねば。
蕎麦
関西出身の私にとって、東京の美味しい食べ物は蕎麦。自主的な外食イコール蕎麦屋に行くことで、日々の食事は自分で作ったほうが薄味が安定的に食べられて良い。
映画祭目的で地方に行くと、山形(山形国際ドキュメンタリー映画祭)や長野(小津安二郎記念・蓼科高原映画祭)、蕎麦処が多く必ず食べるけれど、遠くに行かずとも歩いて行ける根津「よし房 凛」が一番好みの蕎麦で、来客時やお礼をしたい時に予約してお連れします。昼間は平時から行列、大晦日には数時間待ちの行列の大繁盛店。
昨夜は冬限定の牡蠣汁せいろを食べた。前回ここに来たのはCinema Radio 28収録でゲストのトッシュ・バーマンさん、瑪瑙ルンナさんと。昨日もCinema Radio 28のゲストと一緒に。久しぶりにラジオ収録しました。近々更新しますので、お楽しみに!
よし房 凛(よしぼう りん)
プリンアラモード
間もなく休館する山の上ホテルで、プリンアラモード。
白鳥のシュークリームが優雅で、いつかと願っていた。
座席争奪戦は苛烈を極め、9時に行列に並び10時半に整理券を獲得、15時着席。
休息のための喫茶にこんな労力をかけるなんて、ロジックエラーを感じる。
Weekly28/はなればなれに/水無月
時間が経ち、2023年も半分が終了。
5月、横浜ジャック&ベティでエルンスト・ルビッチの話をした後、帰宅即入眠、明け方に目が覚めたのでtwitterを開くと追悼ジャン=リュック・ゴダール映画祭のトークゲストで以前、東京国際映画祭プログラミングディレクターをされていた矢田部吉彦さんの登壇を知り、チケットを予約した。
矢田部さんが「ゴダールについて語るという神をも恐れぬ行為」「ここ数日パニック」とtwitterで書かれており、数多の映画のQ&A司会やトークゲストとして登壇経験のある方でもゴダールは超緊張案件なのだな、と興味を持ったから。ルビッチ『生活の設計』を再見したばかりで男2・女1の三角関係の物語・ゴダール版を久しぶりに味わえるのも楽しみだった。
『はなればなれに』、B級映画っぽさがありゴダールの中でも好きなほうだったけれど、ある程度は価値観がアップデートされた令和の自分が観ると、パリの若者の無軌道な青春が輝いていようと、踊るアンナ・カリーナが無敵だろうと、ゴダール演出でとりわけ引っかかる女性の扱いの酷さにげんなりした。女性の身体に触れる何気ない動作が必要以上に暴力的でドキッとする。乱暴にモノを扱うみたい。次第に女性の心が離れていくと対話による歩み寄りを試みるでもなく、哲学書や思想本に答えを求めるように避難する男性ばかり出てくるように思う。
上映後のトーク、なんと矢田部さんお一人で登壇され滔々とゴダールについて語る!という回で、どれだけトークに慣れていようとこの形式・しかもゴダールは確かに超緊張案件だと思った。これまで聞いた上映後トークで同じ形式はずいぶん前、自作上映後に一人登壇し訥々と語る吉田喜重監督以来。ゴダールについて一人語りだなんて、人生において何があっても回避したいこと上位に入る。
矢田部さんのお話はゴダール自身の死について、ゴダールが生涯描いたテーマは「死」と「愛の不確実性」だったこと、アンナ・カリーナとの関係。ゴダールの人を人とも思わないような気まぐれさに振り回されたアンナ・カリーナが疲弊していき結婚生活は早くから破綻していたことなど。
『はなればなれに』に男に名前を聞かれたオディール(アンナ・カリーナ)が「モノ(Monod)よ。オディール・モノ(Odile Monod)」と答えると、男が「安売りスーパー(モノプリ:Monoprix)みたいだな」と冷たく返す場面があり、ちょっと嫌な感じ…何の意味?と考えていたら、ゴダールの実の母親の名前がオディール・モノだったと矢田部さん解説により知り、ゴダールの女性嫌悪の根深さに少しゾッとした。
古い映画を観る時、当時の歴史や文化を前提に描かれたことを念頭に置き、現在の価値観で好悪をジャッジしてはいけないと思うものの、映画は私にとってどこまでも娯楽だから、余暇の時間とお金を使って墨を飲むような気分になりたくない…と、せめぎあいの気持ち。
『はなればなれに』もしんどくなってしまった私の、記憶の中でのゴダール初期ベストは『アルファヴィル』で、再見する機会があってもしんどくならないことを願う。
<最近のこと>
夏越しの大祓も3年ぶりに神事が復活。茅の輪、無事くぐれたから無病息災が約束された。
水無月も無事食べ、ますます無病息災が約束された。東京で水無月を買える和菓子屋は少ないけれど、近所のつる瀬には売っていてありがたい。
6月30日、20年近く会っていなかった友人から連絡がきて再会。私がいろんな場所から書いていた日記を、友人もいろんな場所から楽しみに追いかけてくれていたようで嬉しかった。とりとめもないことでも書いて、公開して、続けておくものだなぁとしみじみ。
Weekly28/ピアノ&シネマ2023御礼/金澤文鳥
5月2日、横浜ジャック&ベティにて柳下美恵さんのピアノ&シネマ2023、上映後のトークゲストとして参加させていただきました。
終了後、(私と同じく)一番好きな監督はエルンスト・ルビッチ!という方に声をかけていただいたり(同志よ!)、温かい感想もいただき、貴重な機会をくださった柳下美恵さん、素敵な観客の皆さま、ジャック&ベティスタッフの皆さま、本当にありがとうございました!
上映前、ジャック&ベティの3階(バックヤード、映写室がある)に入らせていただいたのですが、貴重な映画資料が無造作にざくざく置かれていて、歴史ある映画館のかっこよさ満載で、何日でも居られそうな場所でした。
鑑賞したDプログラムを振り返り。
『磁石警察』(1902年)
19世紀にパリで人気を博したサーカス団・ビュイック座の組体操のような動きを撮ったコメディ。映画の誕生(1895年)から数年後のこんな超短編が120年経った現在も、遠い国で大事に上映されていることが素敵。
『キートンの即席百人芸』(1921年)
当時最先端の撮影技術を駆使しバスター・キートンが何役も演じ分け、多彩なキートンがスクリーンに同時存在する。1921年にこれを撮るなんて、気が遠くなるような緻密で複雑な撮影だっただろうと想像すると、メイキングを観たくなる。
バスター・キートンの顔ファン(顔が好き)なので、女性、老人、猿!といろんなキートン・コスプレを楽しめるし、目鼻立ちがくっきりした顔だからこそ何に扮してもキートンらしさが残るのが面白い。女性役を演じるメイクを施したキートン、坂本龍一にそっくりでは…?考えてみれば同じ系統の顔立ちかも。
『花嫁人形』(1919年)
ルビッチ!常に新しい発見がある映画で、トークのためしばらくオッシちゃんのことを考えていたせいか、上映中はオッシちゃん以外のことを考えていた。
・ルビッチは俳優出身で、映画監督になってからも演出は言葉で伝えるのではなく自分で見本を演じてみせたと読んだので、あのキュートな馬の演技もルビッチが演じてみせたのかな。馬たち、ちょっとした脚の曲げ方が表情豊か。
・女嫌いの男性が遺産相続のため結婚の必要に迫られ考えたアイディアが「人形と結婚する」こと。1919年、「女嫌い」はどう表現されるの?とインサートの字幕を読むとmisogynist とあり、こんなケースで使う単語なのか。今ならmisogynist と一括りにせず、表現のバリエーションがありそうだけれど。
・『花嫁人形』はギリシャ神話『ピグマリオン』にヒントを得た創作で、脚本はルビッチ。元ネタがあるにせよ、男女が結婚することが当然の前提として展開する物語が多い時代の映画において、女性が苦手で結婚を強要されてしんどい登場人物なんて斬新で、ルビッチ、つくづくモダーンな人と思う。
・ルビッチ映画についてのレビューに、ゴージャスな映画だが不倫ものは観ていてしんどくなると書かれているものが時々あり、遠い昔につくられたフィクションだとしても観る側の感覚は日々変化しているから、そんな感想を抱くのも自由と思う。そして結婚する/しない、異性と/同性と、三次元とは限らない/二次元かも?などパートナーシップの多様化や、誰かのパートナーシップ形成への他者の介入を良しとしない傾向が進む中、いずれ『花嫁人形』も、女性嫌いな男性に金銭を条件に結婚を強要するなんて個が尊重されていない、観ていてしんどいって感想を抱く人が増えてくるのかもしれない。
・そうなると何かと「そろそろだね」「もうそろそろだよ」と若い女性が婚姻を手配されがちな小津映画なんて大半が観ていてしんどいカテゴリーに入る未来がくるのかな。
・数年前だけれど愛の対象や形は様々で、誰も愛してなくても良い現代なら『花嫁人形』の彼も生きやすいのでは?と思いながら読んだ記事がこちら。
批判もあったが「勇気付けられた」 初音ミクさんとの“本気の挙式”を終えて
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1811/21/news031.html
トーク中に紹介させていただいた、私がルビッチにハマるきっかけになった、ジャン・コクトーが内装を手掛けたパリの映画館 Studio28 の写真を発掘しました。2007年撮影のため、現在は少し変わっているかもしれません。
モンマルトル、メトロ Blancheが最寄り。ジャン・ジュネの映画『アメリ』で有名になった界隈にある。
BAR&JARDIN Accès Libreとあり映画を観なくても、併設のバーと庭には自由に入れる。
エントランス。モノクロ時代のフランス映画で、このエントランスがちらっと映るシーンがあったけれど、思い出せない…。ロメールだったか、ユスターシュだったか。
その日の上映作品紹介。当時、ジェーン・バーキン監督『Boxes』が封切りだった。
エントランス内側にあるジャン・コクトーのサイン。
チケットを買い、上映待ちのロビーの風景。1928年オープンの歴史ある映画館だから、ロビーの壁が写真や資料で映画博物館のよう。
スクリーンは1つだけで、内装はドリーミー!壁と天井が紫、緞帳と椅子が赤、キノコのシャンデリア!私が観た『ウィンダミア夫人の扇』も20年代につくられたもの同士、場の雰囲気に合っていたけれど、非現実的な内装だから『花嫁人形』もすごく似合いそう。
庭は白い天幕のような布がかかっていて、フランスの映画スターがたくさん!
テーブルも俳優の写真のコラージュ。メニューはフィルム缶に貼ってある。当時は映画館とバーをスタッフが兼任していて、声をかけると飲み物を持ってきてくれた。
https://www.cinema-studio28.fr/
【最近のこと】
ジャック&ベティ、川畑あずささんデザインの黄色いポスターがあちこちに貼られていて、パッと目を惹く鮮やかさで素敵でした。
川畑あずささんはCinema Studio 28 Tokyo のデザイン担当。このサイトのすべてのデザインを手掛けていただいています。
あずささんにいただいた金沢土産の金澤文鳥(文鳥パッケージの羊羹)、めちゃくちゃ可愛い。鳥類の親近感でうちのペンギンズも色めきたっている。instagramで#金澤文鳥 で検索すると、金澤文鳥とリアルな文鳥を一緒に撮っている写真がたくさんあって眼福でした。
Nouvelle Vague
パリ在住の友人から送られてきた写真。近所のワイン屋に売られていたから買ってきた!飲み終わってもボトル捨てないつもり、と。Nouvelle Vagueという名のワイン。
エチケットのデザインは『女と男のいる舗道』のアンナ・カリーナ。
こんなワインあるんだ!と、nouvelle vague vin france など適当に検索したら簡単にヒットした。友人が買った白はこれ。
https://www.vinibee.com/nos-vins-naturels/wilfried-valat-nouvelle-vague-blanc/
赤もあって、別のアンナ・カリーナがいます。
https://www.vinibee.com/nos-vins-naturels/la-nouvelle-donne-nouvelle-vague-rouge/
日本で見かけたことのないワインだし、28のdiaryに載せたいから写真使わせてもらってもいい?の許可を得て書いてるのだけれど、これまでなら「次にフランスに行くことがあったら飲んでみたい」だとか、「次に日本に来る時に買ってきて!」ってお願いなど、だったはずだけれど、そんな楽しいフレーズが頭に浮かび、実現可能性の難しさに一瞬で掻き消されてしまったのが、我が人生のコロナ期における日々の小さな絶望、って感じ。
2020
新年あけましておめでとうございます。
ついにオリンピック・イヤー到来。否応なしにカウントダウン・ムード高まる東京から今年もマイペースに28を更新できればと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
2020年最初のお買い物は、かぎや政秋の益寿糖。いこさん連載『彼方からの(甘い)便り』の『猫が行方不明』の回で登場したお菓子で、 当時いこさんにお送りいただいて食べてみて、味も食感も気に入ったけれど百万遍まで買いに行くのはハードル高い…と考えていたところ、京都駅の土産物ゾーンで慎ましく静かに売られているのを発見。場所をちゃんと把握してないけれど、ハーベス京銘館だったかな。
https://www.gnavi.co.jp/kinmei/shop.html
一度食べて気に入ったならば、時折無性に益…益寿糖をくれ…(よれよれと手を伸ばしながら)って禁断症状が出る系のお菓子です。
いこさん連載『猫が行方不明』の回はこちら。懐かしい!
https://cinemastudio28.tokyo/happyhourfromkyoto_004
新年最初の日記がこんなライトめで良いのかな?と思いつつ、ま、いっか!と更新。今年は書く私は軽く書けて、読む方々はサクッと読めるよう、文字数上限決めて短く日記を書くつもり。新年の誓い。
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