旅と映画
この時期特有の、ということだろうけれど、台北は急に天気が変わり、折りたたみ傘必携だったけれど、晴れ・曇りの間になるべくあちこち動くことを心がけたら、昨日で台北といえば!台北っぽい!ことを全部終え、今日はのんびり過ごした。台北は2度目で、故宮博物院も夜市も以前行ってるので今回はパス。あくまで映画がメイン。
朝から南港という駅まで行った。遠かった…。駅前にある巨大ショッピングモールに入るシネコンでかかっている、ホン・サンス「夜の海辺で一人」を観るため。日本でも公開が決まったと聞くけれど、いつ観られるかは不明なので、せっかく予定が合うならば…と。どうやって探しても台北でかかっているのはその映画館のみで、台北のはずれにあってはるばる出向かなければならない。ベルリンで受賞の話題性もあるし、映画祭でかかってもおかしくないのに…と思いながらMRTに揺られ、どこ…?という駅で降り、不思議なショッピングモールの中を抜けて。ホン・サンス愛を確かめられているみたい。
そうやって観た「夜の海辺で一人」は、わざわざここまで来て、韓国映画&中国語字幕という環境でも観て、良かった…としみじみする素晴らしさだった。一人の女性の彷徨の物語だから、旅先で観るのにぴったりの映画でもあった。
旅に非日常を求める人もいるけれど、マイペースな私は、普段どおりのことをしたがるほうで、映画を観て、書店に入り、喫茶店などで軽めの食事をする…という日常はどこでも変わらない。それでも旅先で観る映画は染みるのは、生活の場所じゃない分、孤独が何割増しだから、なのかも。
…と、この日記は、部屋のバルコニーから書いてるのだけれど、さっきから視界左上が明るいぞ?と見上げてみたら、月の存在感。今日は満月、しかも山羊座の満月(私は山羊座)。素敵な満月を、台北で見られて幸せです。
台北電影節
朝起きたら、え?なんだか外が明るい…もしや?とバルコニーに出たら、台北、晴れてた!台北雨女の私のためにホテルの人々が祈ってくれたおかげ…ありがとうありがとう。晴れてると、違う街のように見える。
そして、
近くにあるこのビル、屋上に3階建ての家が建っていて興味深い。ジョニー・トーって自分のプロダクションのビルの屋上にセット建てる(そして銃撃戦でボロボロにする)って聞いたことあるけれど、こんな感じなのかしらん。
今回の滞在のメインイベント、台北電影節。映画祭にもちろん興味はあるけれど、それより中山堂に入って映画を観てみたかった。普段は様々な催しに使われているらしい中山堂、映画祭以外で映画がかかることってあるのかな?
滞在期間で観られる中で、台北で撮られた台湾人監督の映画を観られたらいいな…と思い、「千禧曼波」を選択。侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の2001年の映画で邦題は「ミレミアム・マンボ」。新しい映画を観る方がいいかな?と思ったけれど、中山堂でかかる映画、新しいものばかりでなくて、明日は賈樟柯(ジャ・ジャンクー)の「三峡好人(邦題は「長江哀歌」だったかしら)」がかかるし、日本の「薔薇の葬列」がかかったり、ハネケの映画も古いものだったり、なので気にせずに「千禧曼波」を観ることにした。侯孝賢の映画を観ると必ず眠ってしまうので、「千禧曼波」も何度もトライして最後まで辿り着けない。「千禧曼波」、今回ようやく最後まで観ることに成功!
「千禧曼波」の次の次にかかるのが、「この世界の片隅に」なのだけれど、ゲストが来ると発表されていたからか、この1回だけの上映だからか、早々にチケットが売り切れていた。
「千禧曼波」、映画人が登壇と書いてあったので、侯孝賢来るかな?と思っていたら、来なくて、音楽担当の林強だった。今回の映画祭では林強の特集が組まれているので、その一環らしい。
中山堂で映画を観ることが主目的だったので、私の台北電影節は1本で終了。中山堂の中に入れて、映画を観られて本当に嬉しい。これ以上の詳細は、28の記事にすると思います、たぶん!
台北は雨
朝から移動し、午後、台北に到着。桃園空港でSIMを購入、入れ替えて(使ってるiPhone、SIMフリーなのです。とってもおすすめ)天気予報を改めて観ると、雷雨だった。台湾のSuicaのようなICカードも手に入れ、MRTで台北駅に向かう。途中、雨足の強い時間があった。
台北駅に到着し、外に出てみると、重い曇り空だけれど、雨は降っていない。目の前の風景がこんなで、重い空と重厚感ある建築…帝都っぽさに溢れている。魔都って言葉も似合いそう。ともかく、様々な映画が生まれそうな風景だった。見えているのは、北門郵便局。
ほら!映画のセットみたい。あの黒い塔の高いところに、悪いやつが棲んでるの…。
など妄想を掻き立てられる建物ばかりで、大変よろしいわ、曇り空も悪くない。荷物は少なめ派なのでそのまま西門まで歩き、中山堂へ。ここがメイン会場になっている台北電影節(映画祭)で映画を観るのが今回のミッション。日本からチケットを買えなくて(台湾の「ぴあ」のようなサイトで買えるらしいけれど、買うには台湾の携帯番号が必要。日本から買う方法はないのかな?と映画祭事務局に問い合わせてみたら、今のところないとの返事がきた)、ドキドキしながら明日のチケット買えますか?と聞いてみたら、前の方でもいいですか?と言われ、いいです!と答えたら、日本の券売システムに似た埋まった席と空席が色分けされている図を見せられ、列と席を選ぶことができた。いつも前方で観ているのでむしろ良かった。買えた!
ホッとして西門からMRTでホテルへ。最寄りの駅に着き、外に出ようとしたら、出口に人が溜まってる…。?と思えば、ものすごい雨の音。地元の人も歩くのを躊躇する土砂降りの雨…。
こうやって待ってるってことは、現地の人は、通り雨だと思ってるのかしら…?と、しばらく一緒に待ってみたけれど、あがる気配がないので、意を決して歩く。それほど遠くはなくて助かった。
考えてみれば、台北に来るとき、いつも雨が降っている。何日も続く。だから私は、晴れた台北を映画の中でしか見たことがない。今回は見られるかな、と思ったら、天気予報はずっと雨。ホテルの受付でも慰められ、明日は天気良くなりますよ、と言ってもらったけれど、明日の予報も雨。日本ではそんなことないのに、台北限定雨女らしい。
蔡明亮「Hole(洞)」。映画の最初から最後まで雨が降ってジメジメしていて、私の中の台北に最も近いのは、あの映画だと思う。
晩安、台北!
You Are the Apple of My Eye
梅雨入りしたはいいものの、梅雨らしさを発揮していたのは昨日ぐらいで、明日は30度以上らしいし、来週にも雨マークひとつもなく、勇み足でモジモジしてる梅雨の姿が目に浮かぶようです。
西川美和本を読み終えたので、台湾がらみの本にブックカバーをかけて読み始めた。
私的台湾映画特集は「飲食男女」の後、台湾で大ヒットしたと聞いたので、「あの頃、君を追いかけた」をDVDで観た。英題は、You Are the Apple of My Eyeだそうで、可愛らしいですね。学生時代、モテまくっていた女子と、彼女をめぐる男子たちのその時とそれからの物語。原題「那些年,我們一起追的女孩」は「あの頃、僕たちが一緒に追いかけた女の子」だから、なかなか良い邦題。
http://www.u-picc.com/anokoro/
俳優陣もみんなフレッシュで(特に主演の2人、キュート!)甘酸っぱい青春もの。台湾の学生生活のあれこれも覗き見ることができた…けれど、いかんせん普段観ている映画のトーンとかけ離れ過ぎており、2017年・映画爽やかさ許容量を1本で満たしてしまった。映画のせいではない、私の都合である。
返却して別の台湾映画を借りてみたけれど、そっちはどうかしら。適度にほろ苦く不条理なのを期待。
飲食男女
GW前、台湾気分が盛り上がっていた頃に観た李安(アン・リー)の「飲食男女」。邦題は「恋する食卓」だったかな。料理上手な父親と娘たちの物語だと記憶の彼方にあって、再見すると実際そうだった。記憶以上に父親の料理は本格派で、後の流れで圓山大飯店のレストランの偉い人だと知る。東京に置き換えれば帝国ホテルの料理長のような位置づけ、という理解で合っているだろうか。
据え置きの大きな中華鍋、中華包丁、お玉で炒めものもスープも何から何まで作る合理的な台所と無駄のない手の動き、ダンスの振りつけのように美しい流れがあった。目が離せない。本格的、伝統的な中華を父親が作ってくれるのに、娘たちはもうそれぞれの人生の悲喜こもごもで慌ただしい。
冒頭数分にこの映画の魅力が濃縮されていて引き込まれる。そしてタイトルの出た瞬間のかっこよさ!李安の撮る台北は、エドワード・ヤンの台北ほどポエティックではない。どちらの台北にもどちらもの良さがある。次はどの台湾映画を観ようかな…。
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