memo : 書籍
メモ。8月にエドワード・ヤン本が出版されるとのこと。
手元にある北京で買ったエドワード・ヤン本が、各作品の製作時のエピソードをたっぷり盛り込んだ素晴らしい内容だから、翻訳されるなら日本語版も欲しいけれど、内容を読む限り、日本の執筆陣たちの論考を集めたものらしい。
http://filmart.co.jp/books/filmmaker/edward-yang/
最近の傾向として、自分が好きな映画について、カジュアルなものにせよ、フォーマルなものにせよ、誰かの感想や論考を読むことについて、興味を失ってきている。ロメール「冬物語」のフェリシーよろしく「私という存在は宇宙に一人で 自分で行動し 何物にも流されてはいけないと考えた」という気分。読むなら、製作サイドのエピソードなど、事実を積み上げたものだけ読みたい。けれど、野崎歓さんの文章はちょっと読みたいし、パンフレットにあった濱口竜介監督の文章も良かった…から、ただし書く人による、ということかしら。
写真は台北・牯嶺街で撮った、古切手・古紙幣屋さんのディスプレイ。
memo : 日曜日の散歩者
台北、迪化街で食事し、中山界隈まで歩いて戻る途中、レリーフの美しいビルを見つけたので、カメラを取り出し、写真を撮った。
この時、不注意で折りたたみ傘の袋が落ちたようで、通りすがりの老婦人が声をかけて知らせてくださった。お礼を言って、しゃがみ、立ち上がると、記念碑のようなものが目に入った。「二二八事件引爆地」と書いてあった。
「二・二八事件」は侯孝賢「悲情城市」で描かれた国民党政府による弾圧事件。詳しくはこちら。道路向かいのあの美しいレリーフのビルは、いつから建っているのだろう。この場所で起こった二・二八事件に繋がる一部始終を目撃しただろうか。
イメージフォーラムにドゥミ&ヴァルダ特集の前売りを買いに行き、おつかいで「日曜日の散歩者」という映画のチラシをもらってきた。それまでこの映画の存在を知らなかったけれど、サイトであらすじを読み、「二・二八事件」にも触れられていたので、台北で写真を撮ったことも思い出した。
次は台南に行ってみようと思っており、その意味でも楽しみ。
ドキュメンタリー「日曜日の散歩者 わすれられた台湾詩人たち」8/19公開。
http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/880/
以上、メモ。
世界で唯一の活字屋「日星鑄字行」
台北でお買い物しに行った場所。活字屋さん「日星鑄字行」。活版印刷の活字を現在も作り続ける台湾で唯一の活字屋。そして繁体字の活字を製造するのは、世界広しといえども唯一、ここだけらしい。
中国語を話す・学んだ人にはお馴染みだけれど、中国語の表記には大きく2種類あり、簡体字は大陸で使われているもの。筆記の簡略化を目的に開発された文字という理解なのだけれど合ってるのかな。日本の漢字より省略されていて、私はこちらに慣れており、何かしら自分用にメモする時、画数が少ないので簡体字でメモすることも多し。そして繁体字は中国語的にもクラシックな文字で、画数が多く、香港や台湾で使われている。
「日星鑄字行」は繁体字を製造する唯一の活字屋ということに加え、台湾ならではの特徴と言いましょうか、日本統治時代の名残か、日本語のひらがな、カタカナの活字も製造しており、それらを組み合わせて印鑑を作ることもできる。私も欲しいし、活字好きな人の多い私の周りの人々へのお土産としてもいいかも?と、google mapに連れて行ってもらう。MRT中山駅ほど近くの路地にある。
入り口の注意事項(引っ掛けて活字の配置を乱す恐れがあるので、荷物は棚に置く…等)を読み、荷物を預け、中に入ると、この光景。
活字だらけ!活字が詰まったこの棚が1階にぎっしり、奥に活字を製造する機械も。地下にも活字棚があるらしい。気が遠くなるような活字の量…。
印鑑を作るための組み合わせ見本。活字のサイズがいろいろあり、組み合わせて作ることができる。書体も楷書、明朝、ゴシックの3種類だったかな。メモがあったので作りたい印鑑のレイアウトを書き、棚を見つめながらイメトレ。漢字、ひらがな、カタカナだけではなく干支の動物や、星、ハートマーク、アルファベットもあり、組み合わせは無限大。
メモを持って真剣に見ていたので、こいつは本気っぽいと思われたのか、店員さんが声をかけてくれた。こういうのを作りたいんですけど…と相談し、書体は楷書で、と伝えると、滑らかな動きで活字探しを手伝ってくれる。こんなに活字があるのに、どこに何があるか覚えてるなんて…!と驚いて、何がどこにあるのか覚えてるのですか?と質問すると、覚えられないわよ!でも、日本にも辞書があって辞書を引くルールがあるでしょ?ここの活字は台湾の辞書のルールで並んでいるから、辞書を引くことができれば探し出せるのよ!と教えていただく。
プレゼントする用の活字は、ひらがなが含まれており、店員さんに、ひらがなは私より日本人のあなたが選ぶ方がいいわ!と言われ、ドキドキしながらピックアップ。何が難しいって、左右反転してるから合ってるのかどうか想像しながら選ぶしかない。相談しようにも店員さんは台湾の方だからこの分野は私の方が正解を知ってるんだわ…。「ず」を選ぶ必要があって、濁音の活字が がぎぐげご しか目に入らなかったので、「この傍に2つ点があるの、これ以外にありますか?これがあるかないかじゃ大違いなので、ないと困ります!」と一緒に探してもらう。「ず」は無事に見つかり、もはや店員さんとのコンビネーションもばっちりで、和気藹々と活字チョイス完了。
自分用には「Cinema Studio 28 Tokyo」を、せっかくなので繁体字表記にしてみたくて「電影(Cinema )工作室(Studio)二十八(28)東京(Tokyo)」の印鑑を作ることにし、繁体字の活字がここでしか買えないのであれば、数字の二十八も二じゃなくて弐にするなど、クラシカルな表記を選びたくて、でもどう説明すれば伝わるのか不明だったので、二の横にメモで「難写的」(書くの難しいやつ)って書いておいたら、店員さんに、この「難写的」って何?って聞かれ、台湾で今でも使われているのかわからないけれど、旧漢字というか、画数の多い漢字で書く数字を探したいと説明したら、「二十八」でセットだと思うので、二だけじゃなく二十八全体を難しい文字にした方が良い、と的確なアドバイスをいただく。素晴らしい!それでいきましょう!二十八の難しいバージョン、どういう漢字か思い浮かばないけれど、わかりますか?と聞いたら、店員さんも書けないけれど、文字を見ればそれが数字ということはわかる、と言われたのでお任せして選んでもらった。
そして出来上がったのが、こちら!
わー!これで二十八だなんて誰もわからないけれど、台湾っぽくて嬉しい!繁体字!ある程度の読み・書き・喋りはできるけれど、馴染み深い中国語は簡体字なので、繁体字は私にとってもエキゾチックで、漢字という文字そのものの魅力に溢れたかっこいい文字、という印象です。
活字を選び終わり、お会計のマダムに渡し、印鑑にするものは活字を組み合わせてガチッと印鑑ケースに入れてもらう。いろんな色の朱肉から欲しいものを選び、お買い物終了。欲しいものちゃんと買えてうれしかったです、ありがとうございました!と店員さんに伝えると、あなた…やるわね!との言葉をいただきました。やるわね、いただきました(ガッツポーズ)!
このピンクのトップスの方がこの度大変お世話になった店員さんです。
お店は営業時間であれば個人客でも入れ、お買い物可能。日本語を話す人はおそらくいないと思うけれど、こういうものを作りたい、とメモで書けば一緒に探してもらえるはず。
お店の紹介はこちら(日本語)
http://www.taipeinavi.com/shop/479/
台北でのお買い物は、この印鑑と最終日に買った本1冊。28関係の手紙を書く時など、ばしばし押していく所存。
牯嶺街のペンギン
台北、牯嶺街にも行ってきた。少年殺人事件があった場所ではあるけれど、ロケ地ではなく、別の場所で撮られていると思う。それでも「牯嶺街」の住所表記を見ると、写真を撮らずにいられない。
小劇場!ここがミニシアターで、夜な夜なあの映画がかかっていたらベタながら最高!だけれど、演劇の劇場。
いちいち牯嶺の文字に反応する私。牯嶺街の入り口あたりに、立派な郵便博物館があり、そのため牯嶺街は古切手、古紙幣を売る店が多い。
牯嶺街はMRTで2駅ほどの長い通りで、隅から隅まで歩きたかったけれど、この日すでに2万歩ほど歩いた後だったので、半ばのベンチで休憩し、引き返した。次に行くことがあれば歩き切りたいものです。天気が安定せず、雨が降らない隙間を縫って行ったけれど、やっぱり次は夕闇の牯嶺街を歩いてみたい。
何やらポップな壁画が描かれていて…。子供の白痴っぽい表情が怖い…。でも、見逃しませんでした。上の方に、見慣れた鳥類がいることを…。
ペンギン!卵をあたためてる…?ちょっとあなた、牯嶺街で何やってるのさ!と語りかけたくなるような呑気さで、私が歩いた証を残すように牯嶺街にペンギンがいたこと、ここに報告いたします。
牯嶺街は郵便マニアと地元の人以外は特段行くことのなさそうな静かでローカルな通りだったので、写真を撮ってる人がいたなら、きっとあの映画のファンだと思う。
http://www.bitters.co.jp/abrightersummerday/theater.html
郵便局
先週月曜の朝、台北から送った手紙が、日本とアメリカに届いたみたい。台北駅近くにある北門郵便局から送った。
到着してすぐ撮った、この伏魔殿のような建物が郵便局。wikiに詳しく書かれている。こちら
中は修復されてピカピカ。そして営業中なのに、
このホールには見渡す限り人がいなくて不気味…。
よくわからないセンスの花が活けてあった。
映画祭で映画を観る前に、良さそうと思って入った珈琲屋が、台湾に珈琲文化を根付かせる貢献のあった歴史ある店だったようで、その雰囲気を気に入った私は、台湾名物と呼ばれるものを完全無視し、軽くリサーチして1949年創業のロシア料理屋や、1934年創業の西洋料理屋に行ってみた。そこでもらったショップカードを同封して送った人もいる。店の内装やショップカードのデザインに、そこはかとなく滲み出る中華要素が面白く、台湾が異国文化をいかに受容し、自国文化に馴染ませていったのか…に今の自分は興味があるんだな、と思った。
映画祭で観た「ミレミアム・マンボ」は唐突に夕張が登場したし、エドワード・ヤンの映画ってみんなアメリカに憧れていたり、「ヤンヤン 夏の思い出」は何割か日本で撮られているし、台湾映画の、みんなふらりと国境を超えたり、異国要素が淀みなく含まれているところが興味深いな、と思って。「牯嶺街少年殺人事件」では小四のお姉さんはきっと、アメリカには行けなかったんだろうな、と考えたり。
軽くはない封書も含めて4通、国際航空便で送って全部で郵便料金1200円ぐらいだった。日本の国内で同じものを送るより安いと思う。いつも郵便って遥か遠くから届いて凄い、と思うけれど、こんなに安くって本当に届くのかな?って不安になったのは初めての経験だった。
中影
台北電影節(映画祭)のメイン会場、中山堂の広場に停められていた車。中影股份有限公司の車!映画の製作・配給会社で、李安(アン・リー)、侯孝賢、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)、楊德昌(エドワード・ヤン)等々、日本でも人気の高い台湾の監督の映画の製作はだいたい中影という印象。「牯嶺街少年殺人事件」リマスタ版のブルーレイ・DVDがここから発売されるので会社のサイトをチェックしていたので、ミーハー気味に撮影。
「牯嶺街少年殺人事件」リマスタ版のブルーレイ・DVDは台湾で最近発売され、昨日書いた侯孝賢プロデュースの映画施設のショップでDVDを手に取ったのだけれど、台湾と日本はDVDのリージョンが違うのでNG。ブルーレイは形式が同じらしいけれど、その場になかった。他で見つけられるかな、と思ったけれど、他では見当たらなかったな。ブルーレイはそのまんま、藍光という単語らしい…とインスタで学んだ。日本でもそのうちソフト化されそうな気がするけれど、中国語字幕で観てみたいので、次に台湾に行くことがあれば藍光を探して買おう。
話は変わって、映画は好きだけれど、美術館で流れているような映像を使ったアートとか、MV全般を観る集中力が皆無で、映像分野で私が観られるのは唯一、映画だけ。自分の中で何が違うんだろう?って不思議なのだけれど、昨日からこのMVばかり何度も観てしまう(What you got)。謎の中毒性。
没後10年
台北、こちらの建物は侯孝賢プロデュースの映画関連複合施設「台北之家」。アメリカ大使館だった建物をリノベーションしたらしく、カフェやバー、もちろん映画館もあり、雰囲気ある場所だった。観たい映画がかかってなくて、映画館には入らなかったけれど、ショップで少し買い物をした。
こちらでもらった映画の上映スケジュールを見ていると、系列映画館が台北の別の場所にもう1箇所あり、7/14から週替わりで没後10年の節目にエドワード・ヤン特集が始まったらしい。
1本目が「海辺の一日」、その次が東京でもリバイバル中の「台北ストーリー」(去年のフィルメックスで観た)、最後に「ヤンヤン 夏の思い出」。フィルムが修復されたらしい。「海辺の一日」はエドワード・ヤンの長篇第1作で、東京で滅多にかからない。私は1度だけ、亡くなった年(2007年)の東京国際映画祭の追悼企画で観たっきり。その時に観られたのもずいぶんラッキーなことで、それから一度も上映されていないと思う。他の映画に比べてピンとこなかったけれど、予告篇を観ると、改めてまた観てみたいなぁと思う。東京でもかかりますように!
光點華山電影館で上映中。女性陣の髪型に80年代を感じるわ。
http://www.spot-hs.org.tw/movies/MovieDetail.asp?MovieId=586
インスタを見かけた、前売りチケット等のデザインも素敵だった。
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