pink pop!
花椿 夏号、テーマはpink pop!青山ブックセンター本店でもらった。内容の充実度と、無料という事実のギャップ。企業広報誌とはいえ…資生堂ありがとう!通学時間が長かったから(往復5時間/毎日)、雑誌を読んで読んで読む思春期だったけれど、最近は、たまに期待して買っても結局は広告の束でげんなり。有料の雑誌がどんどんつまらなくなって、花椿が際立つって、2017年っぽい。
http://hanatsubaki.shiseidogroup.jp/magazine/309
どこもかしこもピンクで、ピンクに因んだ映画も紹介されている。ロシュフォールの恋人たち、パリの恋人、プリティ・イン・ピンク…。私にとって、印象的な映画のピンクって何かな…と思い巡らしてみると、あった。
mac book air theater!
「ぼんち」!市川崑監督。ぽん太(若尾文子)が、ぼんち(市川雷蔵)の家を訪問する場面。真上から撮られた日本家屋に、パッと咲くピンクの番傘。
二号さんの本宅伺いという儀式のような。小脇に抱えた風呂敷もピンク。包まれていたのは…
下駄。歩きやすい下駄から、塗りの下駄に店先で履き替え、装いを整える。どちらも鼻緒はピンク!
大好きな「ぼんち」でもこの場面、特に好きで、女たるもの、ピンクの番傘パッと咲かせて生きていくべきであるな!と、観るたびに思う。おばあさまからの「粗相のない結構なご挨拶でおました」と厳格ながらも満足げな口調の台詞で場面がきちんと締まるのも好き。
高校
土曜の映画。フレデリック・ワイズマン「高校」。1968年。
ヴェーラのサイトより。
フィラデルフィア郊外にある“模範的な”高校の日常を追っている。朝のホームルーム、授業の風景、生活指導、父母を交えた進路相談、男女別に行われる性教育や家庭科の授業、クラブ活動……。高校を構成する教師、生徒、親、管理職たちの関わり合いの中で、イデオロギーや価値観が醸成され、伝えられていく様が映し出される。
手元にある「フレデリック・ワイズマンのすべて」によると公開後、賛否両論を呼び、舞台となった高校の校長が矢面に立たされた結果、上映禁止を呼びかけ、フィラデルフィア市から半径50マイル以内の上映が禁止されたと書かれており、ワイズマンの第1作「チチカット・フォリーズ」(精神病棟を撮った映画で同じく物議を醸した)に続く第2作がこの「高校」だから、この映画もまた過激な何かが切り取られているのかしら?と思いながら観ていたら、あっけなく終わった。75分の上映時間は、ワイズマン映画の中では随分短い。
観終わった直後は男女別に体育館に集められ、性教育を受けるくだりばかり思い出し、特に男子生徒に性知識の重要性を説く婦人科医が、装いは紳士的ながら、語り口がまるでスタンダップ・コメディアンのようで、不道徳すれすれのユーモアを交えながらレクチャーする姿(思春期男子たちは倒れんばかりの大爆笑)に圧倒されたけれど、冷静に考えてみると、淡々と観たつもりの幾つかのシーンが、68年に撮られた事実とともにワイズマンの思惑を象りはじめる。
舞台となった高校は界隈で随一の進学校とのこと。学生も教師もほぼ白人。公民権運動がピークに達し、撮影中にキング牧師暗殺事件があり、そのニュースにも触れられるけれど、黒人と一緒に学ぶこと暮らすことをどう思うか?の問いに、生徒たちの何人かは、何故そんな質問をするのか?当然、反対である、という憮然とした表情で手を挙げる。
冒頭、自己主張の激しい生徒に対し、厳しく規律を求める教師。女子生徒が作ったドレスを品評する小太りの家庭科教師は、平然と「ドレスはいいが、脚が太いのが残念」と繰り返し言い放つ。ヴェトナムの戦場に向かう卒業生からの手紙を、お涙頂戴とばかりに感情的に教師が読み上げて終わる、この映画の構造を思い返すに、淡々とあっさりした映画に思えたけれど、ワイズマンの批判が色濃く表れたカメラ位置であり、編集だったのだな、と思えてきた。
模範的なアメリカ人とは白人であることに誇りを持ち、規律を守り、ユーモアを交えた性教育を受け、健康な男子はお国のためにヴェトナムに行き、女子は脚が細い。判を押すように生産される「善きアメリカ人」工場としての高校。60年代らしいフレームの眼鏡や洋服のシルエット含め、アメリカの歴史を知るために、この短い映画をまた何度も観たい。
モノクロ・リハーサル
去年のお花見は、近所のお気に入りの桜の下で、近所の友人と上生菓子とお茶。春の夜の肌寒さに似合う儚い色。
桜の下の椅子に、こんなメモが置いてあったこと、写真を見て思い出した。いったいどういうことなんでしょう。けれど、ちょっと弱っている時に見つけたら心がホロリとしそう。
「ロシュフォールの恋人たち」のリハーサル風景の動画、今日知って何度も観た。
似ているようで似ていないようなこの姉妹、洋服を着ている時は思わなかったけれど、レオタード姿だと体つきはとても似ている。そして衣装のパワーは強くて、モノクロでレオタードだとずいぶん印象が違う。今月、フランスでの「ロシュフォールの恋人たち」公開から50年。そして3/21はフランソワーズ・ドルレアック、75歳の誕生日にあたるそう。おめでとうございます。
フィルムの切れ端
本棚に並ぶ宝物のひとつ。数年前、パリのシネマテークでジャック・ドゥミ特集(展示と上映)が開催された時の図録。ものすごく行きたかったけれど無理だったので、パリの友人に頼んだ。友人はピアニストで、東京に到着するまであちこちの街を演奏して移動し、その間ずっとトランクにこの本を入れて運び…私の部屋に来て、トランクを開け、本を取り出し開口一番「めっちゃ重かったわっ!」と言われた思い出。そう、充実の内容の豪華本だから、めちゃくちゃ重いのよ…。感謝しきり。
展示は一部、東京のフィルムセンターに巡回し、観に行ったけれど、ささやかな内容だった。パリの展示は衣装もたっぷりあったようで。衣装!衣装こそじっくり観たかった。
開くと、35mmフィルムの切れ端が挟まれており、
おそらく1冊1冊、どの場面が切り取られているのか違うはず。
私のところには、
ピンクの壁の前でうつむくピンクのリボンのジュヌヴィエーヴがやってきた。
彼方からの(甘い)小包
彼方からの(甘い)小包、受領。いこさんがお送りくださいました。ありがとうございます。
紫色に目がないので、開けた瞬間キュンとした。モノトーン以外で好きなのは紫や赤で、北京で仕立てたチャイナドレスも薄紫。
紫の薄紙をはらりととると、緩衝材代わりに京菓子の色とりどりの包装紙。こういう使い方もあるのだね。ナイスアイディア。そして色とりどりの薄紙をはらはらとっていくのは、儚い手触りの絹を一枚ずつ脱がすような背徳感。
!!!見覚えのある柄!!!しぐれ傘!!
連載第1回で紹介していただいた、しぐれ傘。傘の絵、ちょっとした水木しげるイズムを感じる。妖怪っぽい。柄の部分が足になっていても不思議ではない異形感。
わー!これが噂の!しぐれ傘!次の京都で絶対お店に行って買おうと思っていたので嬉しい!!傘の柄の部分のスティックも同梱されており、切り分ける包丁さえあればこの状態を作ることができます。
現在のトップページとお揃いポーズ。
せっかくのしぐれ傘デビューなので、「シェルブールの雨傘」を久しぶりに観ながらいただきます。「LA LA LAND」を観終わり、ドゥミ映画を再見したいと思っていたところ。
味は、生地部分はもっちり、こし餡はむっちり弾力、羊羹の食感に近い。2つの味と食感のコンビネーション。上質な京菓子やなぁ…としみじみする味でした。目にも舌にも楽しいし、切り分けるイベント性もあるから、自分でもまた食べたいし、いろんな人に贈って食べてもらいたい。
ジャック・ドゥミのミュージカル、私は「ロシュフォールの恋人たち」派で、シェルブールはロシュフォールほどではないのは前半、ママンに交際を反対され、恋人が出征することになり、ドヌーヴがしくしく泣いている場面が多いからで、しくしく泣いてる場面が多い映画が苦手、という単純な理由から。けれど、久しぶりに観ると、やっぱり美しい映画。ロシュフォールのような陽の明るさはないけれど、雨に濡れた舗道のような憂いが全篇を貫いていて。
「LA LA LAND」で、チャゼル監督は想像以上にジャック・ドゥミ・チルドレンなのだなと思ったけれど、それはまた別の日に書こうかな。
しぐれ傘片手に観る「シェルブールの雨傘」は格別でした。ごちそうさまでした!
KANISUKI MUG
新連載がスタートしたNODATE PICNIC CLUB いこさんは、昨年 、蟹カルチャーマガジン「KANISUKI」も創刊。
こちら!
狂気(狂喜?)の蟹っぷりなのだけれど(CONTENTS参照)、映画紹介に取り上げられたのが「耳を噛みたがる女(カニたがる…)」、若尾文子&川口浩主演、増村保造監督。KANISUKIグッズとしてマグカップを作ったと連絡いただき、なんと!浩グッズ!買います!とオーダーし、先日届きました。
「耳を噛みたがる女」は「女経」(1960年)という3人の監督が撮った中篇3本からなるオムニバス映画の1本。この映画の浩は「最高殊勲夫人」に並び、浩史上最高キュート記録を保持する浩の中の浩なので、浩ファンの皆様(誰…?お友達になりましょう!)におかれましては必須科目映画なのです。ファン心理をいまいち理解していない私でも、この映画の浩を観ている時は、一挙一動にキャーキャー!とアイドルを追いかける女性の気持ちを欠片だけでも理解した気分になります。
そんな浩が他の女(文子)とイチャイチャするのを「……。」と無言で眺めながら、ずずず…とホットミルク飲み、次の更新の準備中。浩グッズなんて初めて手にしたわ。グッズがないなら、作ればいいのだな…!
ラスト1本
細々と取り組むこと多く、鼻息荒く千栄子愛を語りながらも、なかなか千栄子に会いに行けない日々。これだけは!と、ラスト1本、「悪名」のみ。
千栄子…(声にならない叫び)!なんて贅沢な映画なのだろう。脚本・依田義賢、撮影・宮川一夫は、チーム溝口でもある。宮川一夫のカメラワークが冴え渡っており、つやつやした勝新、田宮二郎の可愛くて色っぽいこと!
この時代の大映映画、まさに映画遺産と呼ぶにふさわしい。そしてこんな凝った映画をあれだけ量産していたのだから、経営も傾くはずである、と妙に納得。感想はまた後日。
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