アヤちゃん
ユーロスペースで岡田茉莉子さんのトークを聞いたあと、ぼんやり歩きながら、これまで好きだった岡田茉莉子映画って何だっけ…と考えてみたら、小津「秋日和」のアヤちゃん!アヤちゃんが目の前にいたのに、頭がぼうっとしちゃった。アヤちゃん!寿司屋の娘アヤちゃん!モヘアのニットのアヤちゃん!
「秋日和」、とりわけ好きな映画でもなかったけれど、蓼科高原での映画祭で改めて観てみたら、やたら良かった。再発見。映画の魅力の大半を、潑刺として、ふとした隙に翳りを漂わせるアヤちゃんの魅力が占めていた。以来、アヤちゃんは小津映画の女たちの中で一番のお気に入りとなった。ヒロインのはずの司葉子のことはあまり覚えていない。東京駅を見下ろす場所に行くと、電車に向かって手を振ったアヤちゃんをいつも思い出す。
そして「さらば夏の光」が1968年の映画ということで、1968年の岡田茉莉子さんの他の映画って観たかなぁ、と調べてみると、大映映画「不信のとき」が同年だった。「さらば夏の光」では、少しずんぐりしているように見えた岡田茉莉子さんですが、「不信のとき」では普段どおりシャープで、映画スタア!という印象だったので、体型の微妙な変化というより、やっぱり「映画は大映」ということなのかもしれません。
トーク、聞き終わってしばらくしてからのほうが、じわじわ岡田茉莉子さま!という感慨がこみあげてきたのだった。
さらば夏の光
日曜午後の映画。ユーロスペースで、毎年この季節に開催される北欧映画の映画祭「トーキョー ノーザンライツ フェスティバル」、1週間と会期が短く、いつも逃してしまうので今回初めて行った。北欧映画だけではなく、毎年1本、北欧に関連する日本映画を上映することにしているらしく、今年は「さらば夏の光」がかかった。1968年、吉田喜重監督。
http://tnlf.jp/movie#saraba_natsu
日本航空がヨーロッパ10都市ほどに同時就航した年で、その記念映画として撮られた1本。当時、映画の予算は通常4〜5000万円のところ、1000万円の低予算で撮る必要があり、キャストは4名、セリフは全部アフレコで、ロケは1週間。主演は岡田茉莉子。衣装は森英恵のオートクチュールだけれど、脚本が事前に出来上がっていないので、訪問するヨーロッパの街のイメージで仕立ててもらい、ヘアメイクも衣装担当も同行しないため、岡田茉莉子自身がアイロンをかけて準備し、髪結いは東京で習ったのを自分で再現、メイクも自分で。即興的に脚本が出来上がり、毎晩、翌日の撮影分がキャストに渡され、すぐ覚えては撮られ…を繰り返す過酷な日々だったとのこと。
文系研究者がパリに渡り、偶然、女と知り合う。女は人妻で、その後ヨーロッパの各地で出会い、ともに時間を過ごしながら、男が探し求めるカテドラルについての会話を交わす。やがて、女は長崎で終戦を迎え、何もかも捨ててヨーロッパに渡ったことが明らかになる。岡田茉莉子がよろめきながらも自立した女を演じる。経済的にはどう自立しているのか不明だけれど、家具のバイヤーという設定なので、それで生活を成立させているのだろうか。吉田喜重作品らしく観念的なセリフ、モノローグが続き、途中しばし意識が飛んだ。吉田喜重と侯孝賢は私にとって睡眠薬のような映画を撮る人で、必ず眠ってしまう。絵画のような構図は他の日本の監督であまりお目にかからないトーンで、ヨーロッパの香りがしたのは、ヨーロッパで撮られたという単純な理由だけではないと思う。観ると必ず眠るし、退屈もするけれど、それでも観てしまう魅力はある。
森英恵の衣装をくるくる着替える岡田茉莉子。撮られ方のせいか、一部の衣装のシルエットのせいか、少し身体がずんぐりして見えたけれど、美しい。シュミーズの上にコートだけ羽織って街を歩く、よろめいた末に奇行に走ったかと観ているこちらが緊張する場面もある。
吉田喜重&岡田茉莉子夫妻によるトークが上映後にあった。古い日本映画の女優陣、若尾文子、岸恵子、浅丘ルリ子…いろんな人のトークを聞くチャンスがあったけれど、もうじゅうぶん贅沢な時間を味わいせいせいした気分になりつつ、他に誰かお話を聞いてみたい人って、まだいるかしら?と考えた時、岡田茉莉子がいるではないか!と気づき、機会を伺っていた。
「さらば夏の光」は50年前の映画。目の前にいた現在の岡田茉莉子は85歳。背筋がすっと伸びて凛として、キリッとした特徴的なフェイスラインもそのまま。美しさとは若さのことではないのだな、と思いました。場内は満席、立ち見も出ていて、半世紀前の映画を観にきてくださってありがとうございました、と言った後に少し涙ぐんでおられた。モンサンミッシェルの場面では、女の薬指のダイヤの指輪がキラリと光っていたけれど、その指輪を別の街で紛失したことに気づき、結局見つからなかったらしい。ラストはイタリアで、街中でタクシーに向かって手をあげる岡田茉莉子のショットで終わるけれど、離れた位置にある望遠カメラで撮られていたため、映画の撮影とは気づかない通行人が多く、イタリア男たちに声をかけられまくり撮影が難航したとか。
吉田喜重監督は、自身の映画はテーマ性が強く、フィルモグラフィも3つの時代に区分される。まず松竹の監督時代は青春映画を撮った。次に女性を描く映画を撮った。その後は政治の映画を撮った。「さらば夏の光」は女性を描く映画期に撮ったもので、上の世代の映画監督は男尊女卑思想が強かったけれど、それに対する反発があり、とにかく女性を強く、自立した存在として描こうと思ったとのこと。「さらば夏の光」でも、女は自らの意思で日本を離れ、帰るつもりはない。男と出会い、夫と分かれるが、やがて男とも別れる。男に依存する人生ではなく、男がいないと生きられない女ではない。女はすべてを自分で決めていた。
このお話を隣で聞いていらっしゃる岡田茉莉子さんの佇まい、マオカラーのジャケットの監督、岡田茉莉子さんは黒ずくめで、お好きだというヨウジヤマモトかしら、という装い。同い年のお二人は、同志のような結びつきで長い時間を過ごしてきたのかな、と想像した。大女優と監督というより、本郷や御茶ノ水、神保町あたりでデートしてそうな雰囲気なの。
ずいぶん前、吉田喜重監督のトークは聞いたことがあり、その時に買ったと思われるパンフレット。2008年だったのかな。「エロス+虐殺」がパリで上映された時、ポスターの前で撮られた写真が表紙。上映されたと思わしき映画館LA PAGODEは、ボンマルシェの近くにある、東洋寺院を改装したエキゾチックな映画館。「エロス+虐殺」、LA PAGODEでかかるのが似合う。
その時にいただいたサイン。岡田茉莉子さんのページの余白に書いていただいたの、今見ると良い記念だった。
皆殺しの天使
イメージフォーラム、ブニュエル特集の上映は再び延長され2/2まで。生活リズムを整えるべく、夜遅く出かけるのをなるべく禁じておるけれど、他に日にちがもうないので先ほどさっと行ってさっと帰ってきた。
http://www.ivc-tokyo.co.jp/bunuelangel/
「皆殺しの天使」はブニュエル・メキシコ時代、1962年の映画。公式のあらすじより。
オペラ観劇後に晩餐会が催された邸宅。20人のブルジョアが宴を楽しんでいる。夜が更け、やがて明け方になっても、誰も帰ろうとしない。次の夜が来ても、誰もが帰らない。皆、帰る方法を忘れたか、その気力も失われたかのように客間を出ることができないのだ。召使も去り、食料も水も底をつく。何日間にもわたる幽閉状態が続き、人々の道徳や倫理が崩壊していく。突如現われる羊や、歩き回る熊の姿。事態は異常な展開を見せていく…。
わー、これは頑張って観に出かけて良かった。私の映画引き出しにある珍品コレクション・ボックスに珍妙な宝石がひとつ追加された。そもそも彼らがなぜ帰れないのか、説明されたっけ?ってポカーンと眺めていたら、まさかのオチにさらにポカーン。吉本新喜劇なら舞台上の全員が一斉にコケるであろう。ブルジョワたちの取り乱し方のひとつひとつが何らかのメタファーのように見えてつい深読みしてしまうけれど、深刻さも湿り気もなく、カラッとしたブラック・コメディだった。「皆殺しの天使」、物騒なタイトルに思わず腰が引けるけれども、完全にコメディである。これがフランスが舞台で、ジャンヌ・モローやらドヌーヴやらが登場していればもっと違う味わいになるのだろうな。取り乱した女がバッグからおもむろに鶏の足を取り出し黒魔術的儀式を始めたり、屋敷の中に羊や熊がいたりと、メキシコならでは?の謎めいたワイルドさもあり、手が勝手に動く映像など、おお、シュルレアリスム!とブニュエルらしさも味わえ、もうなんだか、観るポイントが多いお得な映画だわぁ。
ルビッチ映画の紳士淑女に同じく、この映画のブルジョワジーたちも、使用人がいなければ食事もできない種類の人々なので、冒頭で使用人たちがこぞって屋敷を去ったくだりでもうパニックは始まっていたのだろうな。パリッとした装いの人々が混乱し、着衣がヨレヨレに乱れていく過程を観察する映画が好みで、クローネンバーグ「コズモポリス」やら韓国映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」などパリッ→ヨレヨレ映画コレクションの系譜にもまた1本追加された。
ブニュエル、変な妄想ばかりしてる人なんだろうな。畏れ多いことですが、とてもシンパシーを感じます。
黒蜥蜴
週末のこと。日生劇場で「黒蜥蜴」を観劇。演出はデヴィッド・ルヴォー、中谷美紀が黒蜥蜴を演じる。以前、京都で観た中谷さんの一人芝居「猟銃」が素晴らしく、これから彼女のお芝居は必ず観る、と心に決めていた。
http://www.umegei.com/kurotokage/
乱歩の小説を三島が戯曲化した「黒蜥蜴」。何度か映画化されており、10代の頃、京都・四条大宮にあったスペース・ベンゲットというアングラ度の高い映画館…(「石狩」という居酒屋の2階にあり、まず「石狩」の暖簾をくぐり、「いらっしゃい」などと声をかけられ、あのすみません…映画なんです…と申し訳ない表情を返して傍にあるエレベーターに乗らないと辿り着けない不思議な映画館だった)…で、何かの特集上映で「黒蜥蜴」を観た記憶。映画のことも何も覚えていないけれど、井上梅次が監督だった気がして、調べてみたら大映映画。1962年。京マチ子が黒蜥蜴を演じたようだけれど、どうして何も覚えていないのだろう。そして雨宮を川口浩が演じている…!当時、私の浩センサーはまだ発達していなかった。脚本・新藤兼人だし、再見してみたいものです。
さて、今回の舞台「黒蜥蜴」。休憩を挟み堂々3時間。小道具大道具をスムーズに動かしほぼ暗転なしで進行。バンドが傍に控え生演奏で音楽を奏で、照明も、衣裳も、俳優のルックスも身体のフォルムも、すべてが麗しい。そして何より麗しいのが言葉で、脚本は戯曲に忠実なのではなかろうか。戯曲といえども、三島の書き言葉そのもの。リアリティ?自然体?それって果して美しいのかしら?と嘲笑うかのごとく書物の中でしか昨今お目にかからない装飾過剰・絢爛豪華な日本語を、淀みなく発していく中谷美紀。前回の「猟銃」は一人芝居だったし、いったいどうやってあの分量の台詞を覚えるのかしらね。
3時間、あっという間に時間は過ぎた。未見ながら美輪明宏の印象が強いせいか、小柄で線の細い中谷美紀の黒蜥蜴はグロテスクさに欠けるような気もしたけれど、その分、黒蜥蜴の持つ可憐さ儚さが垣間見えて、美に執着する妖怪的存在というより、ただただ綺麗なものが好き。好きだから矛盾をはらんでいてもしかたがない。恋も綺麗だから素敵。歓びと憎しみは一対のものでしょう。と、不意に出くわしてしまった恋に身悶えるマイペースで可愛らしい女のような黒蜥蜴だった。そんな中谷版黒蜥蜴も、もっと年を重ねるとグロテスクさがどんどん出てくるかもしれず、当たり役として定期的に演じてくれるなら、定点観測のように観続けたい。
衣裳がどれも素晴らしく、後半に進むにつれ徐々に衣裳度が増していき、最後は「マレフィセント」のようだったけれど、布の分量が増える前の衣裳、冒頭、緑川夫人に扮する黒蜥蜴のシルバーグレーのドレスや、黒い別珍のドレスがとりわけ素敵。
日比谷駅から映画館に行く時、日生劇場前をよく歩く。貝殻モチーフのモザイクタイルを踏みながら、いつか中に入ってお芝居を観てみたい、と願っていた。曲線が印象的な内装に、シンプルながら華やかな「黒蜥蜴」の世界はぴったり。
建築物としての日生劇場。1963年竣工、村野藤吾設計。
http://www.nissaytheatre.or.jp/hallguide/theater.html
黒蜥蜴っぽく、黒い妖しい装いで、とクローゼットを眺めたけれど、私の洋服はだいたい黒く妖しいので、たくさんの中から迷うこととなった。新春だし、いち早く手に入れた2018年春夏のmameのワンピースで。刺繍の施されたシルクオーガンジーのカフスは、アンティークのハンカチからの着想だそうで、黒蜥蜴で描かれた時代にもぴったりだったかな。
志る幸
東京へ戻る途中、京都でいこさんと新年会。
「食べ過ぎなのであっさりとしたもの」「出汁っぽいもの」とリクエストしたら、「志る幸」はどうでしょう?映画「河口」のロケ地ですね、と返事が。なんという素晴らしい提案なのでしょう。ちょうど昨日、奈良で「河口」を思い出していたところ。
1961年の松竹映画「河口」は岡田茉莉子主演。ふんだんにロケで撮られた贅沢な映画で、森英恵の洋服で着飾った岡田茉莉子が銀座・数寄屋橋界隈を駆け回ったり、京都、奈良も登場したり。
「志る幸」はお味噌汁のお店。写真の利休弁当が名物で、セットのお味噌汁は白味噌に豆腐が基本だけれど、追加料金で具の変更が可能で、私は「おとしいも」を注文。すりおろし山芋がとろとろふわふわと白味噌に浮かぶ至福の味。その他の料理も、どれも私好みの薄味。食に対する興味が薄いほうで、東京でもあまり外食しないけれど、それは東京の味が口に合わないからなのかな…と最近思っている。あれもこれも食べたくて、どうしよう!って思うのは、京都にいる時だけ。
さて、「志る幸」。内装が不思議で、カウンターは八坂神社の舞台を模しているらしい。五条大橋っぽいエリアもある。そこはかとなく漂う実家の仏間っぽさ。この奇妙さは、珍品映画「河口」のロケ地にあまりにもふさわしい。
私の「河口」レビューはこちら
http://cinemastudio28.blogspot.jp/2016/07/blog-post_17.html
いこさんのレビューはこちら
http://iqc195.blogspot.jp/2016/07/blog-post_90.html?m=0
ああ、本当にへんてこで面白い映画だったな、また観たい。
フェイシズ
早稲田松竹、愛は取り返しがつかない特集で観た、ジョン・カサヴェテス「フェイシズ」。
結婚後14年が過ぎ、夫婦関係が破綻しかけたリチャードとマリア。リチャードは、高級娼婦のジェニーの家で友人と共に大騒ぎをした翌朝、突然マリアに別れを告げる。その晩リチャードはジェニーの家に再び出かけてしまう。一方マリアは、友人たちと出かけたディスコで知り合った若者チェットを家に連れ帰り…。
「フェイシズ」、これこそが映画と私が信じているもので満ちており、観終わってしばらく言葉が出ない。何度観てもそう思う。若さ溢れる観客だった頃は、ただクールさに痺れていただけで、年齢を重ねるごとに、どの登場人物のことも他人事とは思えない。
特に、離婚を切り出された妻が慣れないディスコに女友達と出かけ、若者を拾ってみんなで家に連れて帰ってくる長いシーン。野放図な若さを前に、クリスマスのご馳走を囲むような女たちの目つき。期待して出かけたはずなのに、いざそれが眼前にあると躊躇する、人生の中間まで漕ぎ出してしまって行きも戻りもできない女たち。長年夫と連れ添って、もうトキメキなんて私の人生には訪れないと諦めきった小太りの女が、息子ほど年の離れた青年に思いつめたようにせがむキス。痛々しいけれど、彼女のこと、私はもう笑えなくなってしまった。
妻を演じるリン・カーリンはアルトマンの秘書だった人で、女優としての活動を私は「フェイシズ」以外に知らないけれど、この一本だけで永遠に心の助演女優賞に、カサヴェテス夫妻の自宅で撮られたラストの階段シーンは、オールタイムベストラストシーンにノミネートし続けるであろう。あの夫婦、きっと別れないのだろうな。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/nowshowing.html
軽蔑
早稲田松竹で観た「軽蔑」について。
公式より、あらすじ。
http://mermaidfilms.co.jp/keibetsu/
劇作家ポールは、映画プロデューサーのプロコシュに、大作映画『オデュッセイア』の脚本の手直しを命じられる。そんな夫を、女優である妻カミーユは軽蔑の眼差しで見つめていた。映画のロケのため、カプリ島にあるプロコシュの別荘に招かれたポールとカミーユ。ふたりの間に漂う倦怠感は、やがて夫婦関係の破綻を導き、思いがけない悲劇を生む……。夫婦の愛憎劇と映画製作の裏話を交差させながら描く、美しいほどに残酷な愛の終焉。
映画製作ものでもある。フリッツ・ラングがフリッツ・ラングとして登場していること。ジャック・パランス演じるアメリカ人プロデューサーが金と権力にものを言わせる典型として描かれ、ラッシュを観ながら全裸の女が登場すると悦びで奇声を発すること(すごくアホっぽく描かれてる)。撮影中の「オデュッセイア」がどう考えても駄作だろうってこと。彼のフィルモグラフィの中で最も色気のあるミッシェル・ピコリ。怪訝な表情は演技というより、アンナ・カリーナの真似事をさせられることへの不満なのではないか、と疑わしいブリジット・バルドー。は?あたし誰かわかってんの?BBやで?なんなんこのカツラ?という叫びが聞こえてくるようである。夫婦のファッションはそのまま今年のagnes.bの新作でも不思議ではないタイムレス感があること。彼らを包み込む海辺の崖に建つ名建築マラパルテ邸。見所は目白押しで、ゴダールの中でもかなり分かりやすい1本と思う。
妻が不機嫌になる瞬間とその理由は私にはよく理解できたけれど、私が女だからなのかしらね。バルドーのきつく跳ね上がったアイラインが、軽蔑!の表情を効果的に強調していた。ジョルジュ・ドルデューの音楽は美しいけれど、バルドーが登場するたびに流れるのが吉本新喜劇の出オチのギャグみたいで、次第に可笑しくなってくる。
久しぶりに「軽蔑」を最後まで観てみると、ゴダールってどの映画を観ても女の扱いが雑で、触り方も乱暴だし、意思疎通がうまくいかないとひっぱたき、挙げ句の果てに拳銃を持ち出して騒ぐ。子供か、と思いますね。
写真はパリ、シネマテークの本屋で買った原作本。2ユーロとは安い。
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