有縁

屋久島、縄文杉までのトレッキングをガイドしてくださった方、屋久島生まれ屋久島育ちの男性で、奥さんは北海道、知床羅臼の出身らしい。生まれ育ちの遠いふたりはどうやって知り合ったのか問うてみると、山梨で働いていた頃に…とのこと。ちょうど中間地点!帰省の際の日本縦断っぷりを想像して果てしない気持ちになった。縁とは不思議なものなのですね。奥さんの実家の前の海では、流氷が見られるらしい。
1日がかりで体力を消耗しながら縄文杉を見ても、振り返ってみると記憶に残っているのは、その場に行かないと会うことのなかった人の、知ることもなかった人生の話だったりする。
流氷を見ることに憧れのある私は、いいな!と思ったけれど、反射的に思い出した映画は『私の男』だったり『東への道』だったり、自然の厳しさ吹き荒れる流氷場面のある映画ばかりだった。

トレッキングの復路で、野生の鹿と遭遇。見慣れた奈良の鹿より、毛の色が濃く、お尻の白い毛はハート型だった。
縄文杉

屋久島。見どころはさまざまあれど、やはり縄文杉でしょう、と早朝から標高1300mの高みに聳える古木を目指す。ハート型の空洞はウィルソン株。

歩くこと6時間…到達。こんな場所に立つと現実的な私もさすがに、宇宙、空、自然、山、水、木そして私…って遥かな気分になるのかな?って妄想していたけれど、ならなかった。うねる木の根、森の中で撮られた映画ってあったよな…と『アンチクライスト』を反射的に思い出した。
3時過ぎに起き、5時過ぎから歩き始め、縄文杉で折り返し、出発点にふたたび戻ると夕方。歩行距離も歩数も前代未聞の数値を叩き出していた。目的地があれば人ってこんなに歩けるのね。

屋久島

旅先から東京に戻る(4/25)。振り返って記録。
東京の自宅からメトロ、新幹線、タクシー、飛行機、バス、船…さまざまな交通手段で乗り換え乗り換え移動し、目的地・屋久島に到着。遠かった。まるで縁のない島に行ってみようと考えたのは誘われたからで、誘われないと行かない場所だから、これもタイミングかな、と思った。
ここ数年の旅はどれも映画祭や遠くの映画館で映画を観ることが目的だったので、映画にかかわらない旅は久しぶり。気分転換すべくPCも東京に置き、iPhoneもあまり見なかった。屋久島、かつて映画館があったそうだけれど、もう閉館したらしい。

途中、バスの窓から「浮雲の宿」と書かれた建物が見え、成瀬巳喜男『浮雲』のラストは屋久島だった、と思い出す。原作の林芙美子が滞在した宿が今もあるらしい。『浮雲』の屋久島のシーンは屋久島ロケではなく、伊豆で撮られたらしく、映画はつくづく虚構である。
何年か前、伊香保に行った時、古くからの温泉街だから、映画全盛期に必ずここで映画が撮られているはず…と、調べてみたら『浮雲』だった、ということがあった。あちこちの旅先で、そうか、ここは『浮雲』の舞台か、と調べて知る。熱心なファンのロケ地巡りの趣、『浮雲』ストーカー…けれど『浮雲』、好きな映画ではない。
腐れ縁、ということなのだろうけれど、こんな遠くまでやって来るなんて、しみったれた口調で相手を罵りながらも、好きで離れられないんだなぁ。しみじみ体感した移動距離の長さから『浮雲』のふたりの関係を推測した。
【本日更新】Cinema on the planet 007 Taipei Cinema Trip 前篇 台北電影節

本日更新しました。
映画にまつわる場所をめぐるリレー連載「Cinema on the planet」第7回は、私の台北旅行記。前篇は台北電影節(台北映画祭)。
偶然、目にした1枚の写真をきっかけに、久しぶりの台北へ。目的は台湾の歴史を存分に吸い込んだ風格ある中山堂で映画を観ること。満場の台湾の観客に混じって観ることで、侯孝賢の映画も深くまで浸透しました。
台北電影節、毎年夏に開催されるものの、映画祭サイトは中国語/英語の情報のみのため、興味はあるけれど情報がない…と思われている方の実用的なガイドになれば嬉しいです(私は北京で暮らしたことがあり、この旅は中国語を使いました)。言葉の心配があっても、日本映画もたくさん上映されますよ!
*Cinema Studio 28 Tokyoは開館以来、連載記事は日英2ヶ国語で掲載しておりましたが、今回の更新より一部連載を除き、日本語のみとなります。新生28、引き続きお楽しみいただけましたら幸いです。
台北 / 明星珈琲館

memorandom.tokyoの連載第2回(こちら)で書いた、台北のロシア料理屋は「明星珈琲館」。
映画祭で映画を観る前に、ちゃんとした珈琲を飲みたくなり、付近で調べてみたら「蜂大珈琲」という素晴らしい老舗にたどり着いた。それで気を良くした私は、台北に中華圏や日本以外の文化が紹介され始めた頃のお店が残っているなら行ってみたいな、とgoogleで「台北 老店(=老舗)」などで検索し、見つけたのが「明星珈琲館」。

1949年創業のロシア料理屋兼カフェ。後で知ったことに、文人サロンのような位置づけの店で、映画人たちのゆかりの場所でもあるらしい。「台北ストーリー」のパンフレットに、主演の侯孝賢と共同脚本の朱天文の対談が載っており、それによると彼らがエドワード・ヤンと出会った頃、
「私たちは、よく”明星珈琲館”というカフェでいろんな映画の話や企画の話をしました。そして、ヤンさんの家で多くの外国映画を観ました」
と、朱天文が語っている。instagramで明星珈琲館のジオタグを辿ると、若い映画監督と一緒に来たらしいクリストファー・ドイル(王家衛映画の撮影でおなじみの!@dukefeng52) の写真もあった。

3階建てでお昼時に行くと、2階は昼食をとる人でほぼ満席。お茶したいだけ、と伝えると3階に案内され、ガラガラだった。

ロシアからまずたどり着いた上海に「明星珈琲館」があった頃の写真。

1階はケーキ&パン屋。いかにもレトロなバタークリームのケーキが並び、パッケージも素敵。月餅も1個から買え、お土産&自分用に買ってみたら、オーソドックスな味で美味しかった。ロシアン・マシュマロも売られている。

住所はこちら。カードに「記者会」「読書会」「講座」と書かれているのが文人サロンっぽい。台北駅〜西門の間。台北映画祭の会場である中山堂からも近く、次に行ったら食事をしたいと思っています。台北にまで来てロシア料理?と思わなくもないけれど、映画にまつわる場所としてもおすすめです。
岩とガラス

これまで行った場所の中で、印象に残る場所best10に確実に入る、ヘルシンキにあるテンペリアウキオ教会。ここを目指していたわけでなく、ヘルシンキに着いたら夕方で寒く、気弱になって今日はもう宿の周りをちょっと散歩する程度の外出にしよう…ってしおしおしていたら、謎の巨大岩に遭遇し、それが教会だったという流れで出会った。有名だと知ったのは後から。

岩をくり抜き、内部が教会。ガラスから射し込む自然光。

祭壇もこんな感じ。ベルイマンの映画で寒々しい教会(「サラバンド」だったかな)が登場するのを見ると、北欧つながりの安直な連想だけれど、テンペリアウキオ教会内部のひんやりした空気を思い出す。

パイプオルガンもあります。気弱な感じで辿り着いたのに、この教会にさすがに興奮し、出口でその日の夜のパイプオルガンコンサートのチケットが売られていたので、迷わず買い、夜にまたコンサートを聴きに再訪したのだった。
そんなことを、週末、予定の過密さにムキー!という気分になり、メゾンエルメスに「エクス・マキナ」を観に行く現実逃避をしたのだけれど、ようやく観た「エクス・マキナ」は素晴らしく、一部はノルウェーの実在のホテルでロケで撮られたという事実に興味津々で調べてみたら、ヘルシンキのこの教会を思い出させる岩とガラスっぷりで興奮した。泊まってみたい…。
ホテルのサイトも完全にエクス・マキナの世界。
http://www.juvet.com/the-juvet-hotel/the-hotel/gallery
凝った建築で繰り広げられる愛の不毛、少しゴダール「軽蔑」も思い出した。「軽蔑」は建築眼福映画なので、スクリーンで観るに限る。
山形

山形初上陸。
隔年開催の山形国際ドキュメンタリー映画祭へ。想像以上に規模の大きな映画祭で、同じ時間帯に同時進行でどんどん映画がかかるので、何を選んでも他が気になるし、観たい映画を全部観ることなく人生は終わるんだわ…よよよ…の、映画祭の季節がやってまいりました。
https://www.yidff.jp/home.html
選べないのでコンペ中心に観ることにして、今日はコンペから2本。夜はフォーラム・ソラリスという映画館で「アウトレイジ最終章」を観た。肌寒い旅先で観るヤクザ映画の染みること染みること。
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