カウントダウン

東京、警備の緊張感も高まりいよいよカウントダウンのムード。平成最後の映画は何にしよう…このままだとメゾンエルメスで観たものの、半分眠ってしまった『ザ・マーズドリーマーズ』になっちゃう。
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-studio/archives/904391/
火星への移住を夢見る人々のドキュメンタリー。
エンジニア、作家、科学者、学生など、様々なバックグラウンドを持ちながら、赤い惑星へ入植することを疑わないアメリカの人々を中心に、彼らの率直な意見を聞き出していく。
天文学者や地質学者、宇宙生物学者などの専門家たちをはじめ、米国火星協会や、ユタ州にあるモハーヴェ砂漠での模擬実験基地を取材し、火星へ行くことの必要性や可能性を探ると同時に、地球の歴史や未来についても示唆を与える野心的作品。
つまらなくはなかったけれど、疲れがどっと噴出してしまい後半ほとんど覚えていない。「火星に行くこと・移住すること」を求める理由が学術的探究心による研究者たちより、「歴史に名前を残したい」以外の理由がなさそうなシンプルな若者のほうが記憶に残った。聞き手(=カメラ)がどれだけ理由を掘り下げんと奮闘しても、本当にそれ以外の理由がなさそうだったけれど、こんな混じり気のないピュアな欲望こそが人類を宇宙に向かわせ、月面着陸もさせたのかもしれないな、と思うとなんだか敬虔な気持ちも芽生えた。
来るべき新時代が終わる頃には、火星、あなたもう行った?私、来週行くんだけど。って台湾や韓国ぐらいのカジュアルな旅行地になっているのかも。なっていないなんて、誰が断言できるのか。未来ってそういうものなのだから。
平成の終わり、私は蓄積疲労甚だしく、もっとパッと豪勢で、何も考えなくても良い映画を観るべし、という気分になっていることをメモしておく。
東京上空

先週、朝食を作る余裕なく家を出てオフィス地下で調達。デスクで食べようと思ったら普段いない同僚がいて、あれ、早い?って言ったら、こないだ早朝花見したいねって言ってたやつ、これからやりません?って提案され、テラスに出て、ファミリーマートのサンドウィッチとコーヒー総額300円少しとともに堪能した視界がこちらです。
東京が絵みたいで嘘くさい、あの世ってこんなかしら、実は私死んだのかな、ってもぐもぐ考えるにつれ、もう平成に未練なんてないと思っていたけれど、平成のうちにもう一度あの映画観たかったなぁ、でもそんな都合よく映画館にかからないか、って思った映画が明日からかかるとさっき知った。
『東京上空いらっしゃいませ』、目黒シネマで。生きることと死ぬことについての映画です。混むかなぁ。
http://www.okura-movie.co.jp/meguro_cinema/now_showing.html
4月

新元号は4月1日、早朝から働いていた某所の舞台袖で、名前も知らない某所スタッフの方からスマートフォンの画面を見せていただいて知った。ふうん、とすぐに仕事気分に戻ったけれど、令和、やわらかい響きの新元号でじわじわ気分が高揚した。万葉集に由来がある、というのも万葉集に登場する山や地名が身近に現存する中で育った奈良人には誇らしいです。
慌ただしく世間の情報から隔離された気分でいると、新元号の発表時期も、桜の開花予想も、能動的に情報を取りに行けず、近くの誰かから伝え聞く形になり、このままでは桜の満開も、散り際もすべて風の噂に伝え聞き、現物を見ないまま終わりそう、とよく晴れた金曜日、強引に半休を取得し千鳥ヶ淵を抜け、竹橋の近代美術館へ行った。

近代美術館の常設、東京で一番好きかもしれない。常設はいつも空いているのも良い。「美術館の春まつり」という催しで、日本画の展示室が春爛漫であった。
https://www.momat.go.jp/am/exhibition/springfest2019/
船田玉樹《花の夕》は以前、「日本画の前衛」という、ここ10年ほど東京で観た展示の中でもっとも好きだった企画展の目玉だったと思うけれど、その時ぶりに再会。
http://archive.momat.go.jp/Honkan/Avantgarde_of_Nihonga/index.html#outline
けれども今回は、速水御舟に心を奪われた。別の展示室にあった「ひよこ」など!ひよこー!!もふもふしたい…
http://search.artmuseums.go.jp/gazou.php?id=2203&edaban=1
3月から不慣れなことに緊張しながら対応する日々、ずっと考えて計算して連絡して名刺交換してということが週末の時間を占拠していたので、楽しみながらひとつひとつ進めるとしても、そろそろ心が死ぬ…と思っていたところ、桜とひよこで回復。ありがとう、ひよこ。
映画館に通うじゅうぶんな時間がとれないまま四半期が過ぎたけれど、1月〜3月に観た中では、
『バーニング』
『孤狼の血』
が、観終わった後の興奮度において、同率首位といったところ。
そろそろ28の編集や、映画館通いにも徐々に復帰できそうです。
ギンレイホール

春めいた目黒のフルーツパーラー。
どう考えても日記を毎日書くのは無理だなぁ。時間が足りない。あの映画もあの映画も観ながら書いていないけれど、しばらく日記は不定期更新です。7月中旬まで予定がみちみちに詰まってしまった。
ギンレイホール、今週は東出くん特集。瀬々敬久監督『菊とギロチン』、濱口竜介監督『寝ても覚めても』の豪華2本立て。キネマ旬報ベストテンを参考に映画を観る人にもお得な番組。
http://www.ginreihall.com/schedule/schedule_190309.html
主宰(=私)が共感というものにあまり興味がないほうなので(わかるわ〜とか言い合ってもな、と思う)、このサイトの執筆陣の映画の好みは見事にバラバラなのですが、Golden Penguin Award 2018では濱口監督の映画が3人から選ばれたのが感慨深かった。
『菊とギロチン』、見逃し続け、ようやく今朝ギンレイで観ることに成功。あのエネルギーの映画を3時間以上じっと観た後、さすがに『寝ても覚めても』用の気力体力は残っていなかった。通しで観る人すごい。が、東京でもっとも熱い2本立て。金曜まで。おすすめです。そして今日のギンレイ、朝から満席立ち見の盛況だった。私は着席できたけれど、立ち見であの映画を観る人の体力もすごい。
来週は『孤狼の血』と『寝ても覚めても』の組み合わせになるらしく、『孤狼の血』を見逃し続けた私はギンレイで捕まえる予定です。
http://www.ginreihall.com/schedule/schedule_190316.html
女王陛下のお気に入り

2月某日、『女王陛下のお気に入り』をシャンテで。ミッドタウン日比谷ができたとはいえ、相変わらずシャンテが好きだな。
http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/
ヨルゴス・ランティモス監督の新作を心待ちにしていたものの、オスカー10部門ノミネートなどずいぶんメジャー感ある華々しいニュースばかり耳に届き、耳を疑った。ヨルゴス・ランティモスが?それは私の知っているヨルゴス・ランティモスではないのではなかろうか。過去の作品もオスカーに絡んだことがあるとはいえ、私にとってのヨルゴス・ランティモス映画といえば、屋根裏部屋で膝を抱えて発禁本を愉しむような、薄暗い背徳感とセットだったのだから。そんな大手を振って表通りを闊歩するような賞賛なんて、そんなそんな。
しかし蓋を開けてみると、なんのことはない、ヨルゴス・ランティモス映画だった。ヨルゴス・ランティモスは世界に一人だ。痛風を患い、多くの子供を産んでは失い、うさぎに囲まれ、何でも手に入るのに何も手に入れていない情緒不安定で可愛らしい女王陛下。彼女の寵愛は裏の権力を手に入れることとイコールのように思えるから、ふたりの小賢しい女が頑張るけれど、女王陛下はシンプルなようでシンプルな女ではないから、ふたりに翻弄されながらも、おもちゃのように手玉にとって暇つぶしする。ふたりの女がそれぞれの方法で愛を示すけれど、女王陛下の底なし沼の孤独は、どんな愛の方法にも満足しない。
女たちがキリキリと宮廷政治を争う傍で、男たちは奇妙な化粧で顔を汚し、裸でキャッキャッと果物をぶつけあう趣味の悪い遊びに興じている、まったく男の立派さが描かれないところがヨルゴス・ランティモスらしい。女たちの衣装も、ソフィア・コッポラ的マカロンカラーでもなく、甘さのない無彩色で、時代考証など無視してデニム生地など使われていたのもモダーンで見事。
3人の女たちが抜群。最後まで女王陛下を嫌いになることがなかったのは、オリヴィア・コールマン本人の可愛らしさによるところだろうか。レイチェル・ワイズは相変わらず美しいけれど、ヨルゴス・ランティモス映画においては己の美しさに無頓着な女として登場するのも面白い。
私の前の列に、シャンテの観客層らしいといえばらしいことに、文化村が似合うような妙齢の上品なマダム3人組がいらして、「英国アカデミー賞でもたくさん賞をとったらしいの」「英国版大奥らしいわよ」「衣装が豪華で…」などCMなどで仕入れたと思われる映画にまつわる断片をキャッキャッと上映前におしゃべりされていたので、この方々にはヨルゴス・ランティモス映画への免疫はあるのだろうか…と軽く心配になったところ、上映後はエンドロールも終わらぬうちに速やかにだだだっと退場された。ヨルゴス・ランティモス洗礼。私ならヨルゴス・ランティモス映画に上品なお友達は誘わない。宣伝文句は何ひとつ間違っていないけれど、ヨルゴス・ランティモスの特徴は何も伝わっていない。映画の宣伝は難しい。
Cinema memo : ホークス!

ケーキやパンを売っていた店が閉店することになり、最後にパンをいただいたけれど、空腹ではなかったので保留し、翌朝オフィスで食べたの図。これを作った店はもうないんだ、美味しいと思ったとしても、2度と食べられないんだなぁ…と思いながら食べるパンは、パンに余分な感情が乗っかった味がした。
日本の4月の終わりは春の慌ただしさも落ち着き、これからGWに向かう独特の開放感があり、そんな時期に観た映画は不思議に記憶に残っている。何年か前、この時期に通ったルビッチ特集は至高であった。今年はハワード・ホークス特集があるようで、クラシック映画を恋しく思っていた最近、久しぶりにシネマヴェーラに通うべきでは。
平成最後の、新元号最初のシネマヴェーラはハワード・ホークス!
http://www.cinemavera.com/preview.php?no=223
私はとりわけ『教授と美女』を推したい。小賢しげな女性と初心な男性の組み合わせ、ちょっと『逃げ恥』みたい…と思ったけれど、『逃げ恥』を期待して『教授と美女』を観る人には全然ちゃうやんか?!って怒られそう。私の好きな女優オールタイムベスト3に入るであろうバーバラ・スタンウィックがあまりにもバーバラ・スタンウィックな魅力をこれでもかと振りまく映画です。
シネマアイリス

函館のシネマアイリス、市電を降りて少し歩いたところにあるけれど、これかな?と近づいてみたら裏口だった。しかし見覚えがあると思ったら『きみの鳥はうたえる』で静雄(染谷将太)がこのあたりに佇んでいる場面があったのだった。
東京に戻ってから読んだ三宅唱監督のこちらのインタビュー、函館の街を思い出しながら読むと臨場感があって面白く、
http://inandout-hakodate.com/cn4/miyake_one.html
特に後編の「で、街の風景もなるべく嘘をつかないってことは考えてて。看板をよけたり、隠したりせずに、今の函館を撮ろうと思って。それこそ、アイリスの裏の通りの奥にキャバクラの看板が映ってるんですけど、ああいうのもそのまま撮ろうぜ、って。」のくだり、私も映画館は見つけたけれどどこからどうやって入るんだろう…って心細くなった頃に目に飛び込んできたのが、そのキャバクラの看板だった、という種類の頷きがあった。
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