【本日更新】One movie, One book 第3回 Do The Right Thing
本日更新しました。
原作本も映画関連本も登場しない、映画と本のお話。小栗誠史さん連載「One movie, One book」第3回は Do The Right Thing。
日曜にmoonbow cinemaで上映されたばかりのスパイク・リー監督『Do The Right Thing』は、音楽、人種問題、監督論、ファッション、アメリカ史…あらゆる角度からの論考を受け入れる厚みがありました。この映画をこれまで100回は観た!という小栗さんが選んだ一冊とは。NYの地図を頭に描きながら、じっくりとお楽しみください。
Lost in Translation
4月、鹿児島港付近の青空。
今週もしょっちゅうiPhoneを忘れて出かけてしまい(私の興味関心はもはやiPhoneの中にはない、という無意識のあらわれか)、移動中の読書がすこぶる捗る。上田岳弘『私の恋人』、面白くなってきた。映画化するなら監督は誰だったら楽しみかなぁって妄想しながら読んでおり、現時点の結論はドゥニ・ヴィルヌーヴ。最後まで読むと気が変わるかも。
カンヌから戻った是枝監督の文章、読み応えある。ひとつ言語を経由するたびに変わるニュアンス、募るもどかしさ。
http://www.kore-eda.com/message/20180605.html
memorandom.tokyo連載 One book,One movie 第3回
memorandom.tokyoで連載中の「One book, One movie」更新されました。
映画関連本も原作本も登場しない、映画と本のお話。第3回は「口紅と女」。口紅を塗る人も、もしくは塗らない人も、口紅を塗りながら、あるいは落としながら、お読みいただければ幸いです。
アーカイブはこちらから
http://www.memorandom.tokyo/archive
この春の口紅は、資生堂ルージュルージュピコ「花明かり」。小指の先ほどのミニサイズで、値段は半分という気軽さ。小さいことは良いこと!
惑星
年明けから使っていた手帳が大きくて、文庫サイズに買い換え。持ち物のサイズを意識的に小さくしているせいで、小さなショルダーバッグだけで通勤可能になり、移動中は文庫本を読むようになった。就業時間を1時間前倒したせいで、電車がまだ混んでおらず、本を広げる隙間ができたせいもある。三島『宴のあと』を返却し、借りた上田岳弘『私の恋人』を読み始める。文庫本を次から次へと読むなんて、通学時間が長すぎて読書するしかなかった高校生の頃みたい。
初めて読む作家で、デビュー作が『太陽・惑星』のタイトルで刊行されているらしく、『私の恋人』を気に入ったらそちらも読む(けれど文庫化はされていない…)。インタビューを読んむと、『太陽』『惑星』の二編で、『惑星』は、タルコフスキー『惑星ソラリス』から着想を得て、「惑星ソラリスの内面描写」を試みた、とのこと。惑星の気持ち。もはや風の歌を聴け、どころではない。
https://www.sinkan.jp/special/interview/bestsellers64.html
ふぁぁ、面白いなぁ。世の中にはいろんな妄想と創作があるのね。
紫陽花が存在感を増す歩道。東京も近々、梅雨入りするだろう。
宴のあと
青山ブックセンター本店の文庫の棚に、昔から変わらない装幀で三島が並んでいるのを発見し、懐かしくなった。その時は他の本を買い、やっぱり気になって後で図書館から借りた未読の『宴のあと』。政治絡みの物語のせいか、三島を熱心に読んでいた中学生の頃はパスしたのだった。その頃、法律の授業でプライバシーの侵害裁判については学んだ。
久しぶりの三島の、面白さに唖然としながら一気に読了。土曜、PTAの映画『ファントム・スレッド』を観て思ったことは、『宴のあと』に似ているなぁ、と。
『宴のあと』、都知事選に出馬する夫とその妻の物語で、理想主義に燃えながら大衆の心を掴むことには長けていない夫と、現実をしっかり捉え動き回っていないと死ぬ種類の生物である妻。妻は料亭経営者で選挙資金もどかんと準備し豪快に立ち回る。あきらかに政治家に向いているのは妻なんである。『ファントム・スレッド』の自らの静謐な美の世界を頑なに保たんとする仕立屋の夫と、難攻不落の相手を前にしても自らの愛の作法を曲げようとしない妻。映画と小説、癖の強い者ばかりの二組の夫婦の物語に、週末は熱狂し、ぐったりもした。
http://www.shinchosha.co.jp/book/105016/
『宴のあと』は映画的描写の連続する小説で、当然映画化も検討されながら、裁判の影響で流れたらしい。監督は成瀬巳喜男、主演は森雅之、山本富士子が予定されていたらしいけれど、私の中ではイメージが違って、いかにも増村保造&若尾文子コンビが本領発揮しそうな物語だと思った。読む大映映画。夫役は山村聰っぽいイメージかな。若尾文子、私生活でも後に夫が都知事選に立候補することだし。
各章のタイトルも見事で、様々な「宴のあと」が登場し、最後は「宴の前」で終わる。とりわけ美しいのは第十六章「洋蘭・オレンジ・寝台」、こういう関連のない名詞が並ぶタイトルに弱い。ロケ撮影された映画のように東京のあちこちが描写され、上野精養軒、資生堂パーラー、銀座千疋屋など、現存する老舗が登場するのも楽しい。
それにしても、三島は恐るべき観察者で、絶対にこんな人と食事したくないわ。何から何まで観察されて、小説のネタにされそう。
Cinema memo : BURNING
カンヌの港を背景にしたフォトコールの写真、暖かい街特有の光が綺麗で、どの俳優も監督も他の写真で観るよりさらに美しく見える。
コンペの選出作品を知った時はピンとこなかったけれど、韓国のイ・チャンドン監督『BURNING』、村上春樹『納屋を焼く』の映画化なのだなぁ。読んだのが昔すぎてあらすじも覚えていない。これは日本で公開されそう。
お?と思ったのは、記者会見でメガネをかけてる俳優、素敵じゃない?と思ったから。流暢な英語を話すと思ったら生まれは韓国だけれど、育ちはアメリカ、ドラマ『ウォーキング・デッド』でブレイクしたらしい。スティーヴン・ユァン。ドラマを観る時間はなかなか作れなさそうだから、ひとまず出演しているという映画『オクジャ』を観ようと思う。
読むホラー
今週の電車読書。新刊『ドレス』が、とっても私好みだったので、過去作も読むべく手を出した藤野可織『爪と目』。日常と地続きのひんやりしたホラー。読むホラー。ちょっと黒沢清っぽい。と思えば、映画『ダゲレオタイプの女』公開時に藤野可織がコメントを寄せていたりして(こちら)、痒いところに手が届いたような、腑に落ちた感があった。
主人公が淡々としていて、なんだか他人事と思えない。
『あなたには、男性が自分に向けるほんのほのかな性的関心も、鋭敏に感知する才能があった。しかもそれを、取りこぼさずに拾い集める才能もあった。植木にたかる羽虫を一匹一匹指先で潰すようなものだった。あなたは手に入らないものを強く求めることはせず、手に入るものを淡々と、ただ、手に入るままに得ては手放した。決して面倒くさがらず、また決して無駄な暴走をすることもなかった。それがあなたの恋愛だった。』
『生活は、あなたにとっては平穏だった。ほとんど時間の感覚を失うくらいだった。好かれたり嫌われたりすることは、どんな人間であっても当然起こることなので、そういったことがらはいくら起こっても、平穏を乱すものとは見なさないのだった。あなたは、この生活が永遠に続くかのように感じていた。』
『失ってもたいして痛手ではないものを残酷に奪われることを想像するのは、なんとなく楽しいものだ。』
人でなしみたいだけれど、なんだか他人事とは思えない箇所に付箋を貼って読み進めると、付箋ばかりになり、自分の黒い妄想が言語化される薄ら気持ち良さがちょっと恐ろしい。過去作をもっと漁りたいけれど、他の本を間に挟んで心の平衡を保とうと思う。短篇が多い作家さんのようなので、黒沢清映画を観たいけれど、観る時間はないという時にも良いかもしれない。
文庫のカバー装画、町田久美さんという、かつて個展のたびにギャラリーに通っていた好きな画家さんのもので、好きなもの同士が手を繋いだピタッと感、沼に落ちる3秒前か。
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