黄色い本
「メッセージ」を観る予定が、昨夜観た「パーソナル・ショッパー」の余韻が強く残っていたことと、起き上がっても気がつけばウトウトすること数度、疲れを自覚し、外出をあきらめた。夏に向け予定が入ってきているから、休める時は休まなければ。平日に時間を作るのが難しく、「メッセージ」は次の週末まで観られないけれど、その頃には空いているかしら。
西川美和監督の「映画にまつわるXについて 2」を読み始める。しょっぱなから惹きこまれ、私はやっぱり映画監督・西川美和より文筆家・西川美和のほうが好きかもしれない。
「映画にまつわるXについて」1(白い表紙)は、文庫本で3回買い、3冊とも人に薦めがてら贈呈したので、手元にない…と思っていたら、先日、鎌倉の古本屋でハードカバーを発見し購入。これは手元に留めておきたい。薦めた人はみんな気に入って没頭して読んだみたい。「夢売るふたり」のために監督と主演・松たかこさんがフォークリフトの免許取得に教習所に通う1篇が「ローマの休日」風でとりわけ好き。改めて「夢売るふたり」を観てみたら、フォークリフトの場面は1分にも満たない短さで、映画1本を作り上げるまでの道のりの長さに気が遠くなる思い。
文字を読むことにぐっと集中できるブックデザインもさりげなく素晴らしい。
ポーラについて
シネマヴェーラで「山猫リュシュカ」再見。2年前、初めてこの映画を観た後、自分に起こった現象も再現され、リュシュカの後味を味わいながら、演じたポーラ・ネグリについて調べ始める。
幸い今回は手に入れたばかりの「チャップリンの愛した女たち」が手元にあり、ポーラについて潤沢な記述があった。昨日書いたwikiのエピソードは、あながち誇張表現ではないらしく、チャップリンとの恋愛においても、ポーラの言動はいちいち芝居がかっていた。ましてや相手はチャップリン。他者と共に居るにはあまりに各々が自分を愛しすぎているように思えた。チャップリンの妄信的なファン(今なら接近禁止令を即座に出されるであろう、恐ろしい行動力のストーカー女性)とポーラが鉢合わせたくだりなど、ルビッチが映画にすべき喜劇的題材。
読み終わり、wikiに歌手としてヒットを出したと書いてあったけれど、そういえば声を聴いたことがないと思い、youtubeでチェックしてみる。ポーラの見た目に似合う、迫力ある低い声。これぞ女優の歌、という表現力で惹きこまれる。
恋の熱に浮かされたように、「山猫リュシュカ」を観た後、もれなくポーラについて調べてしまうのは、スクリーンから魅力をざぶざぶ浴びながらも、あまりに彼女について何も知らない、と思わされるからだろう。モノクロだから肌や髪、眼の色も知らないし、サイレントだから声もわからない。100年近く前の映画だから、調べても情報量は限られている。頼んでもないのに気をつけていないとあちらからざぶざぶと情報が流れてきがちな昨今、魅惑のポーラ・ネグリと、ポーラについて調べる私の関係は、何やら示唆的でもある。
Pola
ルビッチ最終週スタート。「山猫リュシュカ」もあるよ。私も近々観に行くつもり。
主役:リュシュカはポーラ・ネグリという女優で、画像検索すると美麗な写真もたくさん出てくるのに、ルビッチ映画でははすっぱな表情を浮かべていることが多い。どんな人なんだろう、と以前wikiで調べてみたら、
「チャールズ・チャップリンとの婚約やルドルフ・ヴァレンティノとのロマンスも話題になった。特に1926年、ヴァレンティノが亡くなった後の彼女の振る舞いはメディアの注目となった。彼女はヴァレンティノと結婚する約束をしていたと明かし、彼の棺が列車でニューヨークからロサンゼルスまで運ばれるのについてゆき、列車が止まる度に写真家のためにポーズを取った。葬式では何度も失神、彼女の名前が綴られた大きなフラワー・アレンジメントをヴァレンティノの墓の上に置くように用意した。しかし多くのヴァレンティノの友人は、二人は結婚する予定などなかったと主張し、彼女の振る舞いは単なる売名行為だと非難した。」
と、ずいぶん香ばしいエピソードが書かれていて、ますます興味が湧いている。先日、鎌倉で手に取った古い文庫本「チャップリンの愛した女たち」、中をぱらぱら見てみると、ポーラ・ネグリで一章書かれていたので思わず買った。チャップリンに興味は薄いけれど、ポーラ・ネグリについてはもっと知りたい。
ルビッチ特集では「寵姫ズムルン」にも出ていたけれど、映画自体さほど面白くなかったので、俄然、リュシュカとの再会を心待ちに…!
from L.A.
L.A.支部 りえこさんが東京に到着。ということで編集会議という別名の串揚げを食べる会。初めてメンバーが揃いました。
りえこさんよりのお土産は、UCLA festival of Preservationのパンフレット。表紙はルビッチ「極楽特急」!昨夜観たばかり。確かにこのような三角関係の物語だけれど、劇中にこんなシーンはないから、スチル用に撮影されたものと思われる。
pink pop!
花椿 夏号、テーマはpink pop!青山ブックセンター本店でもらった。内容の充実度と、無料という事実のギャップ。企業広報誌とはいえ…資生堂ありがとう!通学時間が長かったから(往復5時間/毎日)、雑誌を読んで読んで読む思春期だったけれど、最近は、たまに期待して買っても結局は広告の束でげんなり。有料の雑誌がどんどんつまらなくなって、花椿が際立つって、2017年っぽい。
http://hanatsubaki.shiseidogroup.jp/magazine/309
どこもかしこもピンクで、ピンクに因んだ映画も紹介されている。ロシュフォールの恋人たち、パリの恋人、プリティ・イン・ピンク…。私にとって、印象的な映画のピンクって何かな…と思い巡らしてみると、あった。
mac book air theater!
「ぼんち」!市川崑監督。ぽん太(若尾文子)が、ぼんち(市川雷蔵)の家を訪問する場面。真上から撮られた日本家屋に、パッと咲くピンクの番傘。
二号さんの本宅伺いという儀式のような。小脇に抱えた風呂敷もピンク。包まれていたのは…
下駄。歩きやすい下駄から、塗りの下駄に店先で履き替え、装いを整える。どちらも鼻緒はピンク!
大好きな「ぼんち」でもこの場面、特に好きで、女たるもの、ピンクの番傘パッと咲かせて生きていくべきであるな!と、観るたびに思う。おばあさまからの「粗相のない結構なご挨拶でおました」と厳格ながらも満足げな口調の台詞で場面がきちんと締まるのも好き。
Kitano!
「浅草キッド」読書中で北野熱が高まっているところ、今朝起きると「アウトレイジ 最終章」の公開日やキャストの情報解禁!去年、続編のニュースが流れてから続報がなかったので、最近改めて調べてみて、2017年公開と書いてあったので、いつかしら…と思っていたところだった。朝から一気に元気になり、10/7と手帳にメモ。初日に行きたい!
みんなみんな殺されちゃって、もういい頃合いの俳優、残ってないんじゃ?と思っていたら、思いついていなかっただけで、まだまだいた。層が厚い。「アウトレイジ ビヨンド」のヒットマン・高橋克典は殺す一方で殺されてないはずだけれど、最終章には登場しないのかしら。一言もセリフないのに存在感あったから、最終章にも登場してほしい。
「浅草キッド」を読み終わったら、次はこれかな?と「顔面麻痺」を買ってみた。KITANOの春。
浅草
近々、浅草に行く予定なので、本棚に積んであった「浅草キッド」(ビートたけし著/新潮文庫)を移動中読んでいる。あの口調で脳内再生しながら読むせいか、するする読めて時間を忘れて没頭してしまうので、あっという間に降りる駅に着いてしまって、しぶしぶ鞄にしまう。
浅草フランス座のエレベーターボーイから始まる下積み時代。たけしさんが書くと、浅草の街が生き物みたい。街の鼓動が行間から聴こえてくる。
フランス座、現在は正式名称「浅草フランス座演芸場東洋館」。2年ほど前、東洋館であった映画のイベントに行った時の写真を発掘。浅草六区、映画館発祥の地なのに、もう映画館はひとつも残っていない。館内に、ビートたけしと、座付き作家だった井上ひさしの写真。
http://www.asakusatoyokan.com/information/
エレベーターボーイの仕事は、館内清掃も含まれるらしく、階段を箒で掃いて、モップがけもしてたって書いてあり、帰りに降りた、あの階段か!と思いながら読んだ。階段の踊り場には、たけしさんの絵(の、たぶんレプリカ)が飾ってあってギャラリーみたいになっていた。
この「頭上注意」の位置!
絵は、なかなか雑に扱われていて、ちょっと破れてたり。絵の前に容赦なく看板なのか道具なのかが置かれているのも、味わい深くて良かった。飾ってる意味ねぇじゃねぇかバカヤロ!って声が聞こえてきそう。今読んでいるのは、たけしさんと師匠のやりとりで、師匠の口調がたけしさんそっくり。芸を盗みながら口調も盗んだんじゃないかって、そっくり加減で、たけし口調で脳内音読するうちに、あっという間に読み終わりそう。
【about】
Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom
【search】
【archives】
【recent 28 posts】
- 1900s (3)
- 1910s (5)
- 1920s (10)
- 1930s (26)
- 1940s (18)
- 1950s (23)
- 1960s (58)
- 1970s (14)
- 1980s (40)
- 1990s (46)
- 2000s (37)
- 2010s (240)
- 2020s (28)
- Art (30)
- Beijing (6)
- Best Movies (5)
- Book (47)
- Cinema (2)
- Cinema award (15)
- Cinema book (58)
- Cinema event (99)
- Cinema goods (15)
- Cinema history (2)
- Cinema memo (127)
- Cinema Radio 28 (8)
- Cinema Studio 28 Tokyo (88)
- Cinema tote (1)
- Cinema Tote Project (1)
- Cinema trip (43)
- cinemaortokjyo (2)
- cinemaortokyo (100)
- Drama (3)
- Fashion (40)
- Food (65)
- France (15)
- Golden Penguiin Award (9)
- Hakodate (6)
- Hokkaido (3)
- HongKong (3)
- iPhone diary (1)
- journa (1)
- Journal (247)
- Kamakura (1)
- Kobe (1)
- Kyoto (18)
- Macau (2)
- memorandom (4)
- Movie theater (209)
- Music (43)
- Nara (15)
- Netflix (3)
- Osaka (2)
- Paris (13)
- Penguin (15)
- Sapporo (3)
- Taiwan (46)
- TIFF (24)
- Tokyo (357)
- Tokyo Filmex (14)
- Weekly28 (10)
- Yakushima (3)
- Yamagata (11)
- YIDFF (6)
- Yokohama (5)
- Youtube (1)