帳尻

季節が毎年きっちり帳尻合わせてくることへの感嘆は、年を追うごとに増す。あんなに長らく寒く、永遠にタイツを脱げないのでは…と危惧していたのに、今日は薄手のコートも暑いぐらいで、素足に靴を履いて出かけた。あっという間にサンダルの出番かな。昼間、歩いていたら強風が吹き、はらはら桜吹雪が舞って、風よ止め!雨よ降るな!と、自然現象に対する注文が増える時期。
「ムーンライト」素晴らしかったので、ぼんやり余韻を反芻し、俳優陣みんな良かったけれど、母親役のナオミ・ハリスも素晴らしかったね。007のマネーペニー役として知って、お顔の美しさはもちろん、しっかり動物的な野性味もある身体が素敵と思っていたので、「ムーンライト」、どこかで観たことある顔…え?と意外なルックスで、時間を追うごとに加速度を増してナオミ・ハリスの艶が奪われていったのが、天晴れと思った。低予算で撮影日数も少ない「ムーンライト」の撮影、ナオミ・ハリスの撮影は3日のみ、しかも「007 スペクター」のプロモーションでアメリカに滞在した隙間に…という事実を知って、なんたる集中力!そして時間の使い方の上手さよ!と、ひとしきり感嘆した。
シャンテ

TOHOシネマズシャンテ、この並びの無双っぷり。しばらく前に右端(「お嬢さん」)を観て(最高、もう一度観たい)、今日は左端を観た。数日後に真ん中を観る予定。しかもスターバックス前には桜が旺盛に咲いていた。
自宅から近いことと、観客層が落ち着いていて雰囲気が良いのが好きで、日比谷、有楽町、銀座界隈で映画を観ることが多い。考えてみれば、来年TOHOシネマズ日比谷ができることで、シャンテも日劇もクローズする予定だったはず。どちらにも思い出が山ほどあるけれど、新しくできるピカピカのシネコンも、私は愛しそうな気もする。
シャンテで映画を観て、日比谷駅までの短い距離を歩くと、宝塚劇場、帝国ホテル、そして日生劇場と堂々たる建物ばかり、そそくさとメトロの階段を降り、映画の余韻を壊すことなく家に帰ることができる。これぞ私の好きな東京。
Mica Levi

昨日の写真と見比べて、間違い探し!ではないけれども、桜の下で撮った写真は5枚。そのうち2枚、青いオーブ?のようなものが写っており、みぞみぞ。
銅像、鴎外記念館が見える場所にあり「舞姫」をモチーフにした「舞」という作品。日本まで追いかけてきたのに気持ちを無下にされた女の怨念が青い光を生み…と、ちょっと背筋が凍ったのだけれど、検索してみるとスピリチュアルなサイトがいくつもヒットし、オーブも色によって意味が異なり、青は幸せの兆しだとか…ふーん…良いものだと思い込むことにしよう。
今週は「ムーンライト」を観なければ。あと「牯嶺街少年殺人事件」も4/14(金)までだから週末に観るならラストチャンス。4時間あるので、おいそれと仕事の後に時間があれば…など悠長なことが言えない。それから「ジャッキー」も観られるかな。
「ジャッキー」、ナタリー・ポートマンも、いかにもジャッキー・スタイルな衣装もさることながら、音楽を一番楽しみにしており、オスカー作曲賞にもノミネートされたミカ・レヴィは、スカーレット・ヨハンソン主演「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」でも音楽を担当していて、あの映画を観てから時間も経った今、記憶を辿ってみると、映像や物語より音楽ばかり思い出され、むしろ音楽以外の部分は食べ終わった魚の、骨に付着した箸でとりきれなかった白身部分…ぐらいの存在感で、映画の記憶の骨格を、音楽がつくっている、耳が愚鈍な私にそこまで記憶させるなんざ、ほんま、やるね、ミカ!(ポンと肩に手を置く)。
特にこの「Death」という曲。ひょー!全裸のスカヨハが次々捕食していくシーンを思い出す。「全裸のスカーレット・ヨハンソン」なんて全世界が待望していたはずで、全裸より着衣のほうがエロティックな人だな、と私は思ったけれど、メロドラマのラブシーンでもなく、やたらドラマティックに撮ってくれるムード映画でもなく、好き嫌いがきっぱり分かれそうな前衛的な「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」でパッと脱いだスカーレット・ヨハンソンの全裸カードの切り方、まっこと粋な女である。
東京低空

東京低空を飛行する舞姫。春雷が光り、雨が止み、桜はどんな具合かしらと図書館への道すがら御気に入りを偵察に行ったら、まだ6分咲きというところでホッとした。
人生最後の日に観たい映画・暫定3本は「東京上空いらっしゃいませ」→「天井桟敷の人々」→「極楽特急」なのだけれど、ルビッチ以外にも4月、「東京上空いらっしゃいませ」も東京のスクリーンにかかる!4月の東京の天国っぷりったら!
神保町シアターのこちらの特集で!
http://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/program/dancing.html
2〜3年は観ておらず、私の中で「東京上空いらっしゃいませ」が欠乏しておるので、チャージしに行く。
今日は朝7時から仕事だったので、これにておやすみなさい…zzz…
パリのしごと人

Cinema Studio 28 Tokyoのメンバー、グラフィックデザイナーのあずささんにお誘いいただき、銀座メゾンエルメスへ。10階、上映ルームとは反対側に、こんな気持ちいい部屋があるなんて!整えられた緑、木にはレモンがいくつか。銀座のどこかのビル屋上に養蜂場があって、銀座産の蜂蜜が売られていると聞いたことがあるけれど、エルメス、数個だけのレモンを収穫し、蜂蜜で漬けて、エルメス特製レモンシロップmade in Ginzaを個数限定で商品にすればいいのではないかしら。オレンジの箱に入った麗しいレモンシロップ。

エルメスの手しごと展のプログラムから、トークセッション。「パリのしごと人」というお題で、映画プログラムのディレクター、アレクサンドル・ティケニス氏が来日し、先日観た「パリの職人たち」のプログラムについてをメインに語る内容。
以前、ブログでアレクサンドル氏のプログラミングがいつも秀逸で…と書いたのを、あずささんが読んで覚えていて、トークに当選したら誘おうと思っていたのだとか。嬉しい。好きなものは好きと誰かの目に触れる場所に書くべし!と最近よく思ってます。
2011年から始まったアレクサンドル氏のプログラミング、エルメスの年間テーマを様々な角度から捉え、問いを投げかけるように古今東西の映画から選ぶセンスが並外れており、最初に「!」と思ったのは、スポーツがテーマの年に「泳ぐひと」がかかったこと。アメリカンニューシネマの珍品。スクリーンにかかったの後にも先にもあの時のエルメスしか知らない。アメリカンドリームが破れ虚と実の間を漂う男と豪邸のプールたち。あの物語を、富の象徴のような銀座の一等地でかける大胆さ不条理さに痺れた。毎回もらえるリーフレットに掲載された文章も、年間テーマと選ばれた映画の関係について、薀蓄を極力排除した視点から、例えば「気狂いピエロ」のような語り尽くされた映画であっても、自らの言葉で改めて捉え直して綴られており、簡潔ながらエモーショナルでもあり、読むたびはっとする。これを書く人はどんな人なんだろう?と好奇心を煽る文章。
エルメスのプログラミング専業の人ではないと思うけれど(経歴の説明はなく、謎のままである/追記:パリで映画史の教鞭をとる…とのこと)、これまでのエルメスのテーマや選んだ作品についての説明や、今回の「パリの職人たち」の各映画についての背景も語るトーク、聞き応えがあった。アニエス・ヴァルダ「ダゲール街の人々」の30年後を撮った映画があること(trente ans plus tard ってタイトルメモしたのだけど、検索しても出てこない…)や、短篇「帽子職人」は様々な職人を追ったシリーズものの1つで、こちらも彼らのその後を追ったシリーズがまた存在すること(L’Âge de faireとメモしたのだけど合ってるのかな)等を知り、映画のために期間を区切って対象を捉えても、撮り終わった後も時間は流れ人生は続くから、ひとたび誰かに肉薄すると、時間が経て、また追いかけたくなるのかな、と撮る人の心理を妄想した。他に女性の職人ばかりを追った「24 portraits d’Alain Cavalier」というドキュメンタリーへの言及もあり、いつか観られる機会があるかしら。
会場からの質問にアレクサンドル氏が答えたことに、年間を通じてのテーマに沿ったプログラミングは、ドキュメンタリー、フィクション、アニメ、製作国などバランスをとることを意識し、パリに暮らしながら、顔の見えない東京の観客に向けて映画を選ぶことはとても難しいが、エルメスのチームと情報交換し、日本で何が公開され何がされていないのか等を教えてもらって選ぶ。若い観客にも来て欲しいから、わかりやすさを意識した映画も交えている、とのこと。
魅惑のプログラムや文章の奥にいた人のお話を聞けて充実した時間。私が特に楽しみにしているのは短篇・中篇数本がかかる回で、今回の「パリの職人たち」然り、映画の並びも、ある映画を先に観ることが、後にかかる映画を補完したり刺激したり…と、複数の映画が相互に作用しながらテーマを浮かび上がらせる、アレクサンドル氏のプログラミングの粋を味わえる。
春めく

しばらく前、銀座の老舗の靴屋のディスプレイが、こんなだった。春だからって大量発生しすぎではありませんか。なかなか暖かくならずもどかしい3月、しかしウールのコートはもはや着たくないので、週末に潔くクリーニングに出そうと思う。薄ものの重ね着でしのぐのだ。
寒さゆえか、もうすぐ桜の季節という事実にピンとこないけれど、帳尻を合わせるように暖かくなり、月末には咲くのだろうか。今日は暖かく、少し春めいていた。
鈴木清順監督が亡くなった時、「けんかえれじい」の夜桜のシーン、あらゆる桜のシーンの中で最も好きだと思い出した。訃報であのシーンを思い出したのは、散る桜が美しかったからかしら。
6月、神保町シアターで追悼上映があるとのこと。黒にジャガードで桜のような模様が入った、夜桜みたいなワンピースで馳せ参じる所存。
傾斜

先週末、オリヴェイラを観に行ったアテネフランセ文化ホール。ここのチケットカウンターがレトロで好きだけれど、毎回写真を撮り忘れる。そして座席もベストポジションを未だ決め兼ねている。
傾斜のほとんどない映画館……岩波ホール、かつて新橋文化劇場もほとんどなかったような、アテネフランセ…他にも幾つかあって、だいたい古く、座席にドリンクホルダーもないことが多い。身長が高くないこともあって、だいたい前の方に座るのだけれど、アテネフランセは案外混んでいることが多く、前の方が埋まりがち。後ろの数列は僅かな傾斜があったので、そこを選んでみたら、普段後ろに座らないので何やら新鮮な景色。
アテネフランセ文化センターの場内に漂うアウラは、永きにわたる異国文化伝播活動の歴史の重みに加え、壁面がカーテンで覆われていることも理由としてあるだろう。
ずいぶん前、インターネットの大海で、ここで開催されていたという淀川長治の講義録を発見し、楽しく読んだけれど、今はもう探せない。文庫本にまとめられているようなので、読んでみようかと思う。
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