2重螺旋の恋人

有楽町で『2重螺旋の恋人』を観た。
https://nijurasen-koibito.com/
フランソワ・オゾン、器用な監督で何でも撮れそうだけれど、だからこそ私にとって当たり外れが大きい。『しあわせの雨傘』なんて本当につまらなくてオゾンが撮る必要あるのかな?とすら思った。『8人の女たち』より『まぼろし』より初期の『焼け石に水』が一番好きだったかもしれない私には、『2重螺旋の恋人』は久々の当たりだった。
主演マリーヌ・ヴァクトは『17歳』のヒロインだった女優で、なんだか植物のように触れれば散りそうな脆さだった『17歳』から数年、華奢な身体はそのままに、みっしり肉も骨も詰まった動物に化けていた。フランス女優らしく惜しみなく脱ぎ、次は脱がない映画に出ないと、そろそろマリーヌ・ヴァクトが登場して脱ぐだけで、また脱いでるよ(笑)って失笑を買うかもしれない。マリーヌ・ヴァクトの見た目やラフな装いが好きで、時々画像検索して見惚れているけれど、自分の美しさに無頓着な美しい人っていいなぁ。シルクなどのとろみある素材のクタッとしたシャツやブラウスが世界で一番似合う。
双子をキーワードに出生の謎が解き明かされてゆくミステリー。染色体の関係で三毛猫はだいたい雌、雄の三毛猫は極めて珍しいという事実をこの映画で知った。中盤まで真顔で観ていたけれど、実はコメディなのでは?と思い始めてから初期オゾンを彷彿とさせるグロテスクなシーンが散りばめられていることに気づき、俄然楽しくなる。
終盤、強烈な存在感を放つ老婦人に驚き、誰かと思えばジャクリーン・ビセットだったのでさらに驚いた。トリュフォー『アメリカの夜』ヒロインのあの美しい人。老いが重くのしかかったジャクリーン・ビセットを、オゾンが美しく撮ろうとしていないせいか、ジャクリーン・ビセットの登場するシーンだけデヴィッド・リンチ映画のような趣があった。
東京上空

オフィスから見える建設中のオリンピックスタジアム、着々と完成に近づいている。最近ぐっと形を成してきた。新宿のビル群がスタジアムの屋根から生えているように見えて、謎のラピュタ感もある。
『東京上空いらっしゃいませ』、観たいなぁ。
秋の奈良

残暑厳しき折、遠くに送るため、銀座にかりんとうを買いに。たちばな。東京3大かりんとうとは、湯島の花月、浅草の小桜、銀座のたちばな、このうち支店もオンラインショッピングもできないのは銀座たちばなだけ、らしい。
今時、その場所でしか買えないものほどロマンティックなものはない。
なら国際映画祭の情報が徐々に更新されてきているけれど、今年は行けない予定。審査委員長はムンジウ。楽天トラベルと連携して映画鑑賞券つきの宿泊予約もできるようだし、河瀬監督の作風や人柄は好き嫌いが分かれるでしょうが、欲しいものばりばり手中におさめる種類のバイタリティに圧倒される。
前回グランプリ(ゴールデンSHIKA賞)を獲ったイランの女性監督は天理市で映画を撮り、オープニングで上映されるそうで、詳細が出たのでチェックしてみると、主演は加藤雅也さん(奈良出身)、そして今をときめく石橋静河さんも出るようなので興味が湧いてきた。東京でも公開されるかな。
『二階堂家物語』、詳細はこちら。
オーシャンズ8

『オーシャンズ8』は、TOHOシネマズ日比谷で。
http://wwws.warnerbros.co.jp/oceans8/
このところ、女性の描かれ方にモヤモヤすることが多くなってしまい古い映画(特に邦画)から遠ざかっているけれど、では2018年現在、果たしてどんな描かれ方が正解なのか?の最適解、もしかして『オーシャンズ8』では。
タイトルどおり8人の女性が結託しメットガラの夜、カルティエの巨大ダイヤを盗みに行く。出所したサンドラ・ブロックが入所中、練りに練った計画を実行するためメンバーを探して口説きまず7人、やがて8人が集う。バランスよくアジア系、インド系も含まれる点は現代ハリウッドらしい多様性への配慮というところだけれど、集められた女たちが誰も湿っぽい物語を背負っておらず、シンプルに目的達成のため考えうる最高の精鋭が集められただけで、計画に参加する目的が、女だからと虐げられた鬱屈を晴らすためではなく、貧しさから脱出するためのお金目的でもなく、面白い仕事きたね!腕が鳴る!のテンションなのが素晴らしく、そんな女たちだからということか、つまらないマウンティングも発生しない。
ラスト、それぞれの人生に戻った8人が得た大金で何をしたかが短く紹介される。8人のうち、独身であることにモヤモヤしていた1人が、結婚してパリで幸せなハネムーンを過ごす描写があったのがとりわけ良かった。女の幸せのバリエーションとして「結婚して幸せに暮らす」が「身軽に一人旅に出る」「趣味の店を開く」「新たなキャリアにチャレンジする」などなどと並列にあって、誰もが当たり前に肯定されていた。何かを得たら何かを失わなきゃ、なんてこともないし、何も我慢することもないし、欲しいものをのびのびと手に入れ、欲しいものは人それぞれ。
メットガラのキラキラも楽しいけれど、自らのブランドのコレクションが酷評され、目のまわりを流れたマスカラで真っ黒にしたヘレナ・ボナム・カーターがヌテラ瓶抱えてメソメソしながら舐める一瞬のシーンで、この映画の面白さを確信。男前すぎるケイト・ブランシェット、リアーナのbefore/afterに見惚れるのはもちろん、ハリウッドでの自分の評判を逆手に取ったアン・ハサウェイの開き直りと満開の美しさも天晴れ。これ、男の人が観るとどんな気分になるんだろ?と一瞬思ったけれど、ま、どうでもいいか。
Cinema memo : 秋のエルメス

酷暑でシンプルな映画しか観られなかった夏の東京、これから上映される映画のメモばかり増えてゆくけれど、秋には、映画への集中力も取り戻せているかしら。
銀座の路地、新橋会館。5・6階の「稽古場」が気になる…。
9月10月、メゾンエルメスでのチネチッタ特集、どれも面白そう。ずいぶん前に観て、もはやマギー・チャンが出ていたという事実しか覚えていないオリヴィエ・アサイヤス『イルマ・ヴェップ』もかかる!
http://www.maisonhermes.jp/ginza/le-studio/archives/770026/
Cinema memo : KANO

今年はお盆も仕事をしていたけれど、長らくお盆は休んでいた習慣の蓄積が「なるべく休みたい」の無意識を形成し、打ち合わせが入らなかった隙に午後から休みをもらって、ランチがてらビアホールでビールを飲んだ、の図。
甲子園決勝はリアルタイムで観られなかったけれど、今年は本当に楽しかったなぁ。些細なことまでニュースになった金足農業のエピソードを読むと、私の夏のノスタルジアも喚起された。高校の先生だった母は数年単位で県内のあちこちの学校を異動し、農業高校で働いていた時期の夏休み登校担当日(のような日。授業や行事はないけれど教師が持ち回りで登校し学校の実務をする日)、他に誰もいないから私も母の職場についていき、ビニールハウスの点検に付き合ったり、草むしりを手伝ったり、広いプールで浮かんだり。幼かった私に農業高校の校内はアミューズメントパークみたいだった。
農業高校が決勝に進むのは1931年、日本統治下だった台湾から出場した嘉義農林(嘉農)以来ということで、未見だった『KANO』は今こそ観るべきと思い出した。公開時の熱に煽られて映画館で観ることは確かに楽しいけれど、興味を持った時こそ映画を観る最適のタイミングで、複製芸術だからそれが可能、ということをこんな時に実感します。
RIVER

上へ上へと伸びゆくトーキョー。
解禁されたtofubeats「RIVER」(映画『寝ても覚めても』の主題歌)、素晴らしくて毎日30回は聴きながら夏の東京を歩いてる。
このtweetを読んで、
アルバムのブックレットに入る文章から「RIVER」について部をチョイ見せ。実際は1万字弱の制作日誌が入ります。 pic.twitter.com/oxeaat5vIG
— tofubeats (@tofubeats) 2018年8月16日
「まずは映画を見終わったあとに見ている方々が朝子のことを嫌いにならないような曲にしたいな、というようなことをボンヤリ考えた」という箇所、優しいなぁ、と何度も読んだ。
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