青い時間

この界隈に引っ越してから、夏といえば不忍池に蓮が満開、と知りながらも目撃したことはなく、今年ようやく見た。池のどのエリアで咲いているのか、位置をようやく把握。あの世とこの世の境目のような景色。

何で刷り込まれたのか、蓮が咲くときに鳴るポン!という音の真偽を調べていたら、無印良品のコラムにたどり着いた。
https://www.muji.net/lab/living/120801.html
蓮の花が咲くのは、午前3時45分頃だそうです。それは、夜から朝に変わる時間だといいます。自然の音を録音し続けている音楽家の話によると、朝の4時ぐらいに鳥の声も虫の声も一斉に止まる瞬間があるのだとか。すべての動きが止まり、あらゆる生命が生まれる、そんな不思議な瞬間があるらしいのです。蓮の花の咲く時間も、このことと関係しているかもしれません。
この「鳥の声も虫の声も一斉に止まる瞬間があるのだとか。すべての動きが止まり、あらゆる生命が生まれる、そんな不思議な瞬間」って、ロメールもまさに『レネットとミラベル 四つの冒険』の「青い時間」という1篇で描いており、あの映画以外にこの不思議な時間に触れているものは初めてだったので、読みながら、わ!と声が出た。
ロメールが映画に仕立て、蓮の花が咲く音が聞こえる青い時間。
クレアのカメラ

有楽町、ホン・サンス&キム・ミニ特集で『クレアのカメラ』。
http://crest-inter.co.jp/sorekara/crea/
相変わらずのキム・ミニ受難物語だけれど、今回の4作のうち最も気楽に観られる1本だった。カンヌの気候、陽光があまりに気持ち良さそうだったからかもしれない。過去にホン・サンスは『アバンチュールはパリで』というなんだか文化村マダムのいかにも好きそうなタイトルの映画を撮っているけれど、
http://www.bitters.co.jp/paris/
これがびっくりするぐらいマイペースなホン・サンス映画で、パリを舞台にした映画らしさが微塵も感じられない。かろうじてパリ要素があるとしたらオルセー美術館で撮っているシーンがある程度だけれど、ホン・サンスがオルセーで撮るとしたら、あの絵が登場するのでは?という絵が案の定登場して(しかもホン・サンス・ズームで寄ってた記憶!)爆笑しちゃった。ええ、クールベ「世界の起源」ですとも。しかし『アバンチュールはパリで』というのは安直な邦題に過ぎず、原題は『昼と夜』っぽいシンプルなタイトルだったような。
カンヌで撮られた『クレアのカメラ』はその点、カンヌの街や空気もしっかり映っており、カンヌ映画祭の裏側も覗き見られて一粒で何回も美味しく、妖精のような立ち回りのイザベル・ユペール(アニエスベーの黄色いカーディガン、おそらく私物だろうな)にキム・ミニ(カンヌの仮設オフィスで仕事する際の黒いシンプルなワンピースが素敵)、ホン・サンス・ミューズふたりが並んでカンヌを歩くだけで十分に映画が成立している、新鮮で極上の素材だから生のまま齧って大丈夫、というこの上なく贅沢な映画だった。
キム・ミニが働く仮設オフィス、ドアに貼られたポスターが一瞬映り、それがホン・サンスの『あなた自身とあなたのこと(Yourself and yours)』のポスターだったから、相変わらずの虚と実、公と私の入りまじりっぷりに冒頭から微笑、キム・ミニの歌う可愛すぎる歌を経由し、微笑は最後まで続いた。
Cinema memo : ワイズマン

半蔵門線大手町駅のクールなむき出し感。
秋に『ジャクソン・ハイツ』の公開が決まったフレデリック・ワイズマン、過去作の特集上映のニュースも流れてきた。
9/1〜14、イメージフォーラムにて。
http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/1894/
案外すぐ!問題は、夏のせいで小難しいこと考えられない私が、9月担った途端にワイズマンの映画を観られるテンションになれるかどうか、という点にある。特集上映があるたびに、気合を入れなければ観られない1本をコツコツ観ることにしているけれど、ついに『DV』『DV2』に挑戦する時が来たのかもしれない。
カメラを止めるな!

噂の『カメラを止めるな!』、TOHOシネマズ日比谷で。お盆、かろうじて休んだ平日の朝、500人ほどのスクリーンは満席ではなかったけれど老若男女集っており、映画が始まると有名な俳優は誰も出ていないし、低予算ならではのチープさもあって、これがヒットするのか、ブームってすごい!
確かに普段、映画の話をしたことがないような友人知人も軒並みこの映画を話題にしながら、誰もあらすじも詳しい感想も教えてくれなかったのは、なるほどこういう展開だからか、と観終わってみて納得。映画撮影の裏側ものとしてトリュフォー『アメリカの夜』的な溢れる映画愛とチャーミングさ。
を感じたものの手放しに熱狂はしなかったのは、あまりにも!な分かりやすさ、これからね!伏線を!回収しますよ!と、どどーんと宣言し、ほら!これがね!あの!伏線の回収です!わかりますか!ってどんどん教えてくれちゃったからかな。セリフもないのに目線ひとつで多くを妄想させてくれちゃう粋な映画が好きなルビッチ党だし…。けれど、この分かりやすさこそがこのインディーズ映画をTOHOシネマズ日比谷でかかるようなヒット作に押し上げたのね…とも同時に考えたのでした。
http://kametome.net/index.html
夜の浜辺でひとり

有楽町で。ホン・サンス『夜の浜辺でひとり』は、去年台北で観て以来2度目の鑑賞。
台北で観た時のことはこちらに書きました。日本で配給されるか不明だったので、台北の東の外れのシネコンまで観に行った。つるんとした巨大なショッピングモールがある南港というエリアは、東京で例えるなら二子玉川のような場所ではないかしら。
http://cinemastudio28.tokyo/cinemaontheplanet_007_part2
今回、日本で特集上映されたホン・サンス&キム・ミニ映画4本はどれも、私生活での2人を否応無しに想像してしまう物語ばかりだったけれど、日本人の誰もいない台北郊外のシネコンで淡々と中国語字幕で物語を追いかけていると、ずいぶん遠い場所で映画を観ている私に、彷徨うキム・ミニの姿が身体の奥まで染みてきた。
物語の中で役柄がどう生きるかということ以上に、女優として仕事をする中でホン・サンスと出会い、それまでの自分とは違う場所に来てしまったキム・ミニの現在を勝手に想像し、肝の据わり方に妙な感慨を覚えた、というべきか。その覚悟に圧倒されたからか、4本の中で『夜の浜辺でひとり』が最も好きだった。まるで自分のような役柄を演じるなんて、どんな気分になるのだろうか。
ドイツで声をかけ時間を聞いたり、韓国のマンションホテルで窓を拭いていたり、不意に現れる謎めいた男。前半の終わり、死体のように力の抜けた彼女の身体を肩に乗せて連れ去ってゆく男の不気味さ。あの男は、彷徨う女優に取り憑いた振り切れない愛の幻影だったのだろうか。
http://crest-inter.co.jp/yorunohamabe/
Cinema memo : 70mm

日比谷界隈の夏空。
フィルムセンター改め国立映画アーカイブで秋、『2001年宇宙の旅』70mm版特別上映があることを知った。
上映は10/6〜7、10/11〜14、チケットは9/1から発売。
http://www.nfaj.go.jp/exhibition/unesco2018/
映画の上映、フィルム→デジタルへの変遷があっけなく急速で、これまで当たり前に享受していたフィルム上映が、ずいぶん贅沢でノスタルジックなものとして扱われるようようになるまで、これまで自分がどんな素材で映画を観ていたかに無頓着だったけれど、70mmで映画を観たことって、果たしてあったのだろうか。初体験かもしれない。需要に対して上映回数が少ない気がするけれど、無事チケット買えるといいなぁ…。
ミッション:インポッシブル/フォールアウト

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』はTOHOシネマズ日比谷で。これまでIMAXを求める際は新宿まで行っていたけれど、近くに環境が整ってありがたい。
パリ、ロンドンの中心で展開する物語は有名な建造物ばかり登場して観光気分を味わえるし、挑戦してみたいアクションをまずやってみて、それらを繋げるように物語を組み立ててゆくなんて往年の香港映画みたい…。このシリーズはもはや筋書き云々よりトム・クルーズの無闇な身体能力の高さを堪能する目的で観ており、加齢に逆行するようにエクストリーム加減が加速する生身のアクション、シリーズ次回作が楽しみと同時に、無理しないで…の念が増してゆく。トム・クルーズも生物だからやがて死を迎えることは避けられないとしても、撮影中の事故で唐突に世を去ることなく、死因:老衰等で大往生してほしいものです。
そんな、興奮の裏側にびっしり「心配」が張り付いた状態でポカーンと画面を眺めながらも、長きに渡る映画、観客への貢献に、なんだか胸がいっぱいに。トム・クルーズって、なんだか年々好きになっていくタイプの俳優。好きな俳優を聞かれて筆頭に名前が出てくるわけではないけれど、「功労賞」を捧げたい相手として心の中で地位が磐石になってゆく。
それから、そういえばイーサン・ハントって既婚者だったね、と冒頭の夫婦のシーンで思い出したけれど、妻(ミシェル・モナハン)と、前作に続き登場したイルサ(このシリーズのレベッカ・ファガーソン大好き!)、同じ系統のルックスで、イーサン・ハントの好みはブレないなぁ…と妙に感心すると同時に、今作から登場したホワイト・ウィドウを演じるヴァネッサ・カービーって、若い頃のニコール・キッドマンと同じ系統のルックスに思えて、トム・クルーズの好みもブレないなぁ…と妙に感心するという楽しみ方もあった。
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