中和

「海辺の生と死」からの流れで、こちらを読み始めた。「マーヤの自己改造計画」は大団円のエンディングだった。マーヤからミホのこのギャップ。心が追いつかないわ。確実に重い気分になるだろうので、ペンギン付箋をしおりがわりにして、脱力感で重みを中和する作戦を思いついたのだけれど、

しおり作戦のこと、すっかり忘れた状態で今朝、パッと本を開いたら、ぬっ?とペンギンが出現して、朝の千代田線で驚きの声をあげそうになったわ。
まだまだ読み始めだけれど、映画「海辺の生と死」は、”まるで映画の主人公のようなふたりの振る舞い”も含めて、現実を忠実に再現したのだなぁ。
今朝は、血判入りの誓約書に、ひぃっ!となったけれど、
こちらに写真あり
http://honz.jp/articles/-/43525
誓約書にとどまらず、血判を押すために指先を切った敏雄が貼った絆創膏を、ミホがずっと保管していたという事実に驚く。ふたりに関するものを何から何まで記録し保管していたらしい。こういう、何から何までとっておくタイプの人に対して、私は軽く恐怖心を覚えるので、ページをめくる手もおそるおそるになってしまう。
読書する集中力がずいぶん久しぶりに戻ってきたのは、ネットに触れる時間を意識的に減らした結果のはず。良いこと。
Life is short, fall in love , girls!

台風一過。昨日と今日で気温差が10度以上あって体の調律が難しい。真夏のような雲も浮かんでいることだし、電車には乗りたくないけれど、ちょっと出かけたい。半袖のワンピースで根津まで散歩。坂を上がって弥生美術館へ。
昨日偶然知った「命短し恋せよ乙女」という企画展。会場に少しだけ英語解説があって、Life is short, fall in love , girls!と英訳されていて、清々しい気持ちに。
概要はこちら。
http://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html
大正時代は、世の中を賑わせた恋愛事件が頻発しました。カリスマ女優・松井須磨子の後追い自殺、世界的な物理学者・石原純を誘惑、失墜させたと非難された原阿佐緒――衝撃的な恋のいきさつを写真と新聞記事から紹介し、さらに小説&挿絵からも事件を読み解きます。
弥生美術館はいつもユニークな切り口からの展示ばかりだけれど、この展示、よくぞ貴重でニッチな資料をこんなに集めましたね、ありがとう!と驚くものばかり。当時者のご家族も協力していらして、学芸員の方、どうやって依頼したんだろう…と、ふと思った。先祖の恋愛事件にちなんだ品々なんて、ゴシップ的興味からお願いするわけではないんです、って説得するの難易度高いのでは。
展示資料は秘め事の開示にふさわしく?手紙が多く、白蓮が送った夢二デザインの封筒の手紙がずらりと展示されていたけれど、白蓮、晩年まで美しくって、こんな美しい人がこんな美しい封筒で恋文を送っていたんだなぁ…と、うっとり。
夢二とお葉、山田順子、谷崎と佐藤春夫の妻譲渡事件などなど、広くはない会場をぐるっとまわるだけで、みなさんの斜め上発想な行動と情熱にあてられてぐったりするほど。でも…面白い!ゴシップ的面白さも否定しないけれど、恋愛から結婚に至ること自体がやんわりと罪だった大正時代、好きな人を好きと宣言して素直に行動するだけでも一大事件だった、という事実が興味深く、だいたいの人が、結婚していながら他の誰かを愛してしまって…という流れだけれど、そもそもの結婚が親が決めた相手としぶしぶだったりするから、人生で好きな人に出会えて良かったね…当時は破廉恥だったとしても…と妙に応援する気分になった。
そして不貞!姦通!と騒いだ世間も「愛人の後を追って自殺した松井須磨子」には日本女性らしい一途な成り行きである、と世論も好転したり、人妻ながら藤原義江を追いかけ離縁→再婚に至った藤原あきは「その後しっかり家庭を築き、徐々に世間も納得した」など紹介されていて、本人たちも奔放なら、今も昔も変わらず、世間ってずいぶん勝手なもんね!と、ちょっと呆れ気分に。何をやっても何か言われるなら、もうまさしく「Life is short, fall in love , girls!」であるな。
そんな中、私がもっとも惹かれたのは、平塚らいてう。教科書的&朝ドラ的知識しか持っていなかったけれど、今回の展示で知って好きになった。新しい女に引き寄せられてか、らいてうを取り巻く男たちも面白い。
紹介されていた恋愛事件はまず、帝大生と駆け落ち→心中未遂を起こすこと。若き男女が駆け落ちしたのだから、当然そういう関係なんでしょう?って世間は騒いだけれど、らいてうパパが「いや、駆け落ちしたからって、男女の仲があるとは限りませんよ?」って、あいつはそんなステレオタイプな女じゃないぞって主旨のコメントしたらしく、事実、そんなことはなかったらしいので、なんと娘の性格を理解したパパであることよ…。帝大生が「人がもっとも美しいのは死の瞬間だから、僕は君を殺す!」など、こじらせ炸裂な動機で煽ったらしいのだけれど、らいてうが相手や色恋に興味があるというより、死への興味を隠せなくて駆け落ちしちゃうとか、最後に日和った帝大生が山で包丁を捨て、体力がなくなった帝大生を励ましながら、らいてうが木の下に一晩安全に過ごせる場所を確保した…とか、エピソードがいちいち香ばしい。たぶん、らいてうは帝大生のヘタレっぷりを最初から見抜いていて…この男、口ばっかりで実行に移すような肝は据わっておらぬぞ、と…一連の成り行きを俯瞰して観察したかったんじゃないかしら。迸る激情でも痴情のもつれでもなく、好奇心の延長という雰囲気。
事件を世間的に丸くおさめるために、帝大で教えていた夏目漱石が二人に結婚を促したけれど、結婚すれば万事丸くおさまるなんて、しょうもない!まっぴらごめん!って拒否するのも、らいてうらしい。エドワード・ヤン「台北ストーリー」のセリフでもありました。結婚は万能薬ではない、って。
いろんな資料を見ていて、なんとなく、らいてうは自分の生き方を確立することが最優先で、恋愛にはさほど興味がなかったんじゃないかな?と思ったけれど、その後、人生のパートナー、運命の相手・奥村博史に出会うくだりの紹介は、この展示でもっとも心温まる一画だった。奥村博史が、この世にはらいてうに似合う指輪がない!ってデザインして作った指輪がいくつか展示されていて、ちまちました華奢なものではなく、どーんと石が大きく、おおらかなデザインで、ちょっと西洋人のような雰囲気のらいてうのルックスにもキャラクターにも似合いそうな指輪で、ああ、らいてうを理解する人が人生に出現して良かったね…帝大生と死ななくて、その後も人生が続いて良かった…!と、指輪の前で、わー!と出会いの素晴らしさに心で拍手。
この奥村博史という人物が、らいてうのようなマイペースで世間の目も気にしない新しい女にぴったりの、新しい男という印象で、もっと知りたくなった。らいてう曰く博史は「5割は子供、3割は女で残りの2割が男」という成分の男だそうで、この発言を巡って2人がちょっと喧嘩したというエピソードも紹介されていて、笑ってしまいました。
展示は9/24(日)まで。図録は市販されている。欲しいわ。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309750255/
自伝の紹介はこちらにあるのだけれど、博史にほとんど触れられていない。自伝には書いてあるのかしらね?
http://1000ya.isis.ne.jp/1206.html
らいてう、すごく映画になりそうな人生なのに、扱いが難しいということか、ほとんど映画にもなってないのね。戦前松竹だったら、監督:清水宏、らいてう:桑野通子で映画化してほしかったわ。らいてうを描くの、溝口でも小津でもステレオタイプになっちゃいそうだけれど、清水宏ならできたと思う。我が信頼の宏。
【本日更新】Cinema on the planet 005 松山旅行記後編 市内観光

本日更新しました。
映画にまつわる場所を巡るリレー連載「Cinema on the planet」第5回はグラフィックデザイナー・川畑あずささんの松山旅行記。前編・伊丹十三記念館に続き、後編は市内観光。
松山、海あり山あり城あり温泉あり、路面電車もあって、なるほど多くの映画の舞台になるのも納得の魅力的な街なのですね。松山で撮られた映画は他にもあるけれど、あずささんが思い入れのある映画のチョイスにも個性が光ります。
映画に出てきたお店でご飯を食べて、ロケ地を巡り、地元の人に混じってミニシアターで映画を観たり。映画は時々、見知らぬ街に私たちを連れて行ってくれるなぁ!と、しみじみするユニークな旅行記です。
美味しそうな食べ物も満載で、行きたい場所リストに加えくたなること間違いなしの後編、どうぞ楽しみください。
こちらから!
前編はこちら
https://cinemastudio28.tokyo/cinemaontheplanet_005_part1
Cinema Studio 28 Tokyo map、じわじわ充実。マーキングみたい。
Cinema Studio 28 Tokyo map(google map)
予習

目の手術の予定だったけれど、来週に延期された。連休は眼帯生活!と思っていたのに拍子抜け。窓を開けていると、祭囃子が聴こえてきて、いよいよ秋の開始。祭囃子と入れ替わりで雨の音。どこにも行けなさそうだし、と借りておいた「アウトレイジ」を観る。
カレーって食べてる人を見かけると、口の中がカレー味になって、ああ!カレー食べたいって気持ちが溢れるけれど、「アウトレイジ」もそんな感じ。新作情報がどんどん映画ニュースで流れ、前二作の名場面ショットも流れてきて、ああ!アウトレイジ観たい!って渇望していたので、大満足。
もう筋書きを覚えていても、何度観てもいいなぁ。あれ、こんなかっこいいショットあったっけ?って何度も発見がある。今回は柄本時生くん、なかなか面白い役で出てたんだなぁって初めて気づいた。
北野映画の中で、「アウトレイジ」シリーズの音楽がとりわけ好きなのだけれど、みんな大好き・水野(椎名桔平)が殺されるシーン、改めて音楽いいわぁ。

殺され場面もさることながら、その後の平行移動ショット、

ここで音楽が消えて、車の走行音だけになるの…まったく、痺れるね!
「アウトレイジ ビヨンド」は2時間で終わるのもったいない、半日ぐらいずっとこの世界に浸っていたいと思うほど、さらに好き。台風が近づいて外に出られなくなったら、明日はビヨンド観ようっと。
ピカデリー

表参道駅を設計した人は通勤ラッシュを知らなさそうだし、新宿ピカデリーを設計した人は映画館に通う人じゃないんだろうな。どちらも動線が酷くて、なるべく近寄りたくないけれど、ピカデリーで「散歩する侵略者」を観てきた。監督と長澤まさみさんのトークつきだったので!生まさみ!
黒沢清監督は、俳優女優の好みが私と完全一致の人なので、私にとってのオールスター歌謡祭をにまにま眺めるような時間だった。
今夜、ピカデリーで見た長澤まさみ。ショートの方が美しさが際立つまさみ!
http://www.oricon.co.jp/news/2097369/full/
マーヤの教え

図書館で順番がまわってきて、今週ずっと移動中に読んでいる「マーヤの自分改造計画」という本、すこぶる面白く今年のbest3にランクインしそう。
詳しくはこちら
https://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20170404110724.html
スクールカーストの下のほうにいるマーヤが、パパの持っていた1950年代に書かれたティーンが人気者になるためには?的how to本を忠実に実践していく。マーヤはメキシコとアメリカの国境あたりに住んでいる13歳の中学生で、これはマーヤが書いた実話。
アメリカ、スクールカースト…といえば思い出すのは映画「ロミーとミッシェルの場合」。いこさん連載ご参照(こちら)!似てるところと違うところが同時にあって面白い。マーヤも、ロミーとミッシェルと同じぐらい元気をくれているから、あの映画を好きな人にもおすすめしたい…と言っても、まだ全部読み終わっていないけれど。明日の電車で読み終わるかな。
後半に読み進むにつれ、マーヤに倣って堂々と、そして人には優しく!という気持ちが高まり、周囲の人に優しくするだけじゃなく、街で困ってる人に遭遇したらもじもじしないで率先して声をかけるもんね!と拳を固めていたところ、宅急便を送るためにファミリーマートに向かい、famiポートで操作しようとしたら女性の先客がいた。長らく格闘しているらしく、後ろに並ぶ私に気づくと、先に譲ってくれた。お礼を言って操作を終えたけれど、彼女の問題は解決していない。お友達との会話が聞こえてきて中華圏の人らしいことがわかったので、私は内なるマーヤを起動した。
ハーイ、何か困ってるっぽいけど、私に助けられることあるかな?マーヤの口調を真似するとこんな感じだけれど、ここは東京なのでそんな口調ではなく、話しかけてみたら、学生さんで、日本語検定を受ける手続きをしコンビニ支払いにしたけれど、払込票を出力するために必要な2つの番号、表示されたのをスクリーンショットしてきたけれど、どれを入力しても解決しないらしい。
スクリーンショットだけでは情報がじゅうぶんじゃないから、申込受付のメールとか届いてないかな?と聞き、探してもらって、URLにアクセスしながら操作してみると、入力するうちの1つは電話番号で、すごくわかりづらい書き方で書かれており、これはトラップ!混乱する人が多いのでは?電話番号を入力すると処理が進行し、無事に払込票が発行された!わー解決了!
何度もお礼を言われたけれど、お礼ならマーヤに言ってよ?あの子すごいよって心の中で思いつつ手を振って別れた。途中相談したレジのお兄さんまで中国人で、私を「やたら日本語の発音のいい中国人だって思ったよ!」と勘違いしたらしく、ファミリーマートに入ってから出るまで中国語しか話すことはなかった。マーヤはメキシコとアメリカの境目にいるけれど、ここだって東京だけど中国みたいな場所だったよ…マーヤ…。
自分の行動や存在で、誰かにその人なりの行動を起こさせるって至難の業だと思うけれど、13歳のマーヤはそんな女の子。最後まで彼女の革命を見届けなきゃ。
あ、日本語検定のメール、不親切だし、外国人が受検するのだから、せめて複数の言語で説明があればいいのに…と思ったけれど、あのややこしく説明不足なfamiポート操作説明を読みこなすことから、日本語検定は始まってるってことかしら、もしかして。
持つべきものは

伊丹十三記念館の「記念館だより」で、「タンポポ」がNYで上映される様子を追ったドキュメンタリーの存在を知り、観たい!って、しばらく前に日記に書いた。
https://cinemastudio28.tokyo/2017/08/20/
ちょうどこれを書いた頃、遠くから来た友達と会って伊丹十三の話になり、私は28で更新したばかりの記事方面のアプローチから、友達は星野源ファン方面のアプローチから伊丹十三記念館に行きたいね、という話になり、友達の口から、そういえばこういうドキュメンタリーがあって…と、まさに「タンポポ、ニューヨークへ行く」に話が及んだので、わ!なんで知ってるの!と、偶然に驚き。観たいけれど環境がなくて、と私が話したら、今日ポストを開けると、遠くの街から郵便で番組が届いていた。持つべきものは筆まめで親切な友。みんなで回覧して大事に観ます。ありがたや…。
友達の関心は、伊丹十三賞を星野源が受賞したこと。来館リポートも詳細に記念館サイトに載っていて、これが読みたくて記念館のHPにアクセスする人、とても多そう。スターって、すごい。
http://itami-kinenkan.jp/award/award09_report.html
あずささんの松山旅行記は後編を準備中。映画好きだけではなく、星野源さんの足跡を追いかけて松山を目指すファンの方にも、有用な情報がきっとあると思ってます。お楽しみに‥!
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