ちはやふる

多発していた口内炎は金曜には治りかけていたけれど、免疫力低下のサインとして重く受け止め、睡眠→料理→食べて→睡眠→料理…を繰り返し、ドラマ「カルテット」視聴者としては、食べたくてみぞみぞしていた唐揚げを作って食べて大満足。餃子、アジフライと回を重ねるごとに食べたいものが増えて困る。冬の軽井沢の、あんな別荘でひたすら料理して食べてのんびりしたいものだわ。
DVDを返却すべく、借りていた「ちはやふる」上の句、下の句(前後篇)を、昼寝しながら観たり観なかったり。
競技かるたにかける青春。最近、1本の映画を前後篇に分割して、順に公開する方式の映画が増えているように思うけれど、興行収入の倍増を狙っているのだろうか。「ちはやふる」、スポーツのような競技かるたの試合の場面はCGを多用してかるたがシュッと舞いスピードもあって楽しかったけれど、それ以外の場面は妙に間延びして、その不思議なテンポに慣れず集中力を削がれた。間延びした場面、ギュッと省略してせめて150分ほどの1本の映画にまとめたほうが良かったのじゃないかしら…。登場人物たちと同じぐらいの年代の高校生などがターゲットのはずだから、お財布的にも前後篇観るの厳しいよね…と、さらに続篇を匂わす終わり方に、まだ続くんかい!とツッコミを入れる。エンディングに流れるPerfumeの歌はなかなか良かったけれど。
広瀬すずちゃん目当てで観たので、たっぷり観られた点では満足。「海街diary」でもサッカーの場面があったけれど、競技かるたの俊敏な動き、いかにも運動神経の良さそうな彼女にぴったり。
明日からまたBest movies 2016の続きを書きます。
5 Best movies 2016 / Part2

5 Best movies 2016、2本目は濱口竜介監督「親密さ」、2012年の映画。
前後篇からなる255分と長尺のこの映画、夏にオールナイトで観ようと試みたものの夜に弱い私は案の定、後半すっかり眠ってしまい、いつか昼間に観る機会があればと願っていた。案外早く機会が巡り、秋に南浦和であったロングフィルムシアターという、長尺映画ばかり選んでかける奇特な映画祭で再会した。昼間だったから、今度は眠らずに全篇を観た。観終わってみると、真夜中とはいえ、こんな映画が目の前でかけられていたのに、よく眠れたものだね!と自分に呆れた。
「ともに演出家であり、恋人同士でもある令子と良平は互いに傷つけ合いながら舞台劇『親密さ』初演を迎える。」
前篇は「親密さ」を上演するまで。脚本を書いたり稽古をしたり。一方、海の向こうでは戦争が始まり、キャストのひとりも戦地に行く決意をする。開演が迫る中、遅々と進まない稽古、果たして幕は上がるのか…と不安に襲われながらインターミッション。後篇は2時間ほどの舞台「親密さ」をそのまますっぽり内蔵しており、あれほど前篇でハラハラしたのが嘘のように「親密さ」は完成し観客の前で演じられている。やがて「親密さ」は幕を下ろし、時が過ぎ、恋人同士だったふたりは駅で再会する…という、不思議な構造を持つ映画。年末に濱口監督特集で他の映画を観て知ったことに、「親密さ」よりずいぶん前の「何喰わぬ顔」は、映画の中に映画をすっぽり内蔵しており、「親密さ」の芽吹きを感じられた。こんなのいつ発明したんだろ?と思っていたら、最初から発明していたのか。
後篇、舞台「親密さ」で読み上げられた手紙に書かれた言葉が記憶から消えない。ここしばらく耳にした中で、もっとも切実な愛の言葉だったように思う。口にして伝えるのではなく、手紙という手段を経由することで、言葉は切実さを増していた。手で書き、受取人以外の人目に触れぬよう封をする儀式を経ない限り、生まれない種類の言葉たち。
「親密さ」を観るのが先だったか、あの夜が先だったか順番は忘れたけれど、しばらく前、少し遠くで深夜に仕事が終わり、真夜中のタクシーに乗った。眠れずに窓から外を見ていると、渋谷駅近くに差し掛かったあたりで、歩道を歩く一組の男女が目に入った。
ずいぶん前、頑張れば渋谷から歩いて帰れなくもない距離に住んでいた頃、時折、夜中にこの辺りを歩いて家に向かった。終電を逃したからという理由の時も、なんとなく電車に乗りたくなくてという理由の時もあった。ひとりの時も、隣に誰かがいる時もあった。窓から見える、あの男女のように。
真夜中の東京の、街灯のオレンジに照らされて歩く男女は、映画の場面のようにフィクショナルで、演出されたように美しかった。タクシーの中で私は、過ぎ去った自分の若さとたった今、擦れ違った気がしていた。時空を隔てた幽体離脱のように、自分が自分を少し離れた場所から眺めている。永遠に失くさないと信じていても、あっさり隣にいる人の連絡先も失ってしまうし、名前すら忘れてしまったりもする。タクシーは夜道を進み、やがて彼らは見えなくなった。
映画館の暗闇で「親密さ」を観る気分は、真夜中のタクシーの窓からかつての自分と擦れ違ったあの夜に酷似している。この映画について濱口監督が書いた言葉を目にした時、確かにそんな部分で見たかもしれない、と思った。
「『親密さ』は、若い人たちに見て欲しいとよく言うのですが、正確には自分の『若い部分』によって見てもらえたら、と願っています。」
5 Best movies 2016 / Part1

春節も立春も過ぎ去り、2017年もすっかりスタートして久しいですが、Best moviesを書き、きちんと2016年にサヨナラの手を振りたいものです。
2016年、後半はサイトのオープン準備に勤しんでおり、特にweb構築を自分ですると決めてからの11月以降の記憶がない。メモを見ると11月、12月に20本ほど観てるっぽいけど、あのスケジュールの中どうやって時間を捻出したのか記憶が朧げすぎて狐につままれた気分。そんな理由もあって、ここ数年で最も鑑賞本数は少なかったけれど、覚えている範囲では1本1本の濃度は濃かった。
Best moviesを選ぶ基準は人それぞれあるだろうけれど、新作・旧作の区分はせず、2016年に初めて観た映画という定義で選びました。そう決めないと年1度は観るルビッチが永遠にBestを占拠し続ける事案が発生することと、新作・旧作を分ける理由づけが希薄で、日本公開がたまたま2016年で本国ではずっと前に製作されていることもあったり、永らく観たかった映画とリバイバルでようやく出会ったり、ということも、よくあることだからです。
Best moviesは5本選びました。順位はなく、つけられるはずもありません。
まず1本目、「ディストラクション・ベイビーズ」真利子哲也監督。
公式サイトより。
愛媛県松山市西部の小さな港町・三津浜。海沿いの造船所のプレハブ小屋に、ふたりきりで暮らす芦原泰良と弟の将太。日々、喧嘩に明け暮れていた泰良は、ある日を境に三津浜から姿を消す──。それからしばらく経ち、松山の中心街。強そうな相手を見つけては喧嘩を仕掛け、逆に打ちのめされても食い下がる泰良の姿があった。
街の中で野獣のように生きる泰良に興味を持った高校生・北原裕也。彼は「あんた、すげえな!オレとおもしろいことしようや」と泰良に声をかける。こうしてふたりの危険な遊びが始まった。やがて車を強奪したふたりは、そこに乗りあわせていたキャバクラで働く少女・那奈をむりやり後部座席に押し込み、松山市外へ向かう。その頃、将太は、自分をおいて消えた兄を捜すため、松山市内へとやってきていた。泰良と裕也が起こした事件はインターネットで瞬く間に拡散し、警察も動き出している。果たして兄弟は再会できるのか、そして車を走らせた若者たちの凶行のゆくえは──
ロードショーで見逃がし、早稲田松竹で捕まえてみると、「ヒメアノ〜ル」との2本立て。間違いなく2016年最もハイカロリーな2本立て、2本の映画の中で一体何人が暴力を受けたのだろう、という暴力映画たち。
「ヒメアノ〜ル」が最後、彼が人を殺す動機が明かされるのに対し、「ディストラクション・ベイビーズ」は最後まで泰良が暴力を振るう理由は明かされない。動機なき純粋なる暴力。何の説明もなく冒頭から日常の一コマのようにナチュラルに暴力が映され、周囲を巻き込み加速する。
もちろん暴力行為を支持も称揚もしないけれど、モラルは観ている間は完全に傍に追いやり(追いやることができなければ、最後まで観るのは辛いのでは)、ひたすら描かれるただただ純粋な暴力は、サバンナを駆ける野生動物たちの無駄のない動きや、オリンピック選手の筋肉をうっとり眺める時のような、不思議な陶酔をもたらすものがあった。
泰良(柳楽優弥)、動物として大平原に産み落とされていたなら違和感もなかっただろうに、人の形で松山に産み落とされてしまって、あなたも大変ね、と思わせる不穏な説得力。その野蛮かつ優雅な佇まいに、小悪党ども(菅田将暉、小松菜奈)が惹きつけられ内なる暴力を開発されていくさまも、弟(村上虹郎)に同じ血が流れていることを示唆する終わりも、消えたはずの泰良がまた地面から生えてくるような土着の匂わせかたも、すべて祭りの光と残り香に混じってこちらに届き、向井秀徳の音楽が流れる中、エンドロールを眺めながら嚙みしめる興奮は2016年随一のものだった。
知らない、ふたり

ちょっとした買い物をしようと東大構内を抜け、本郷三丁目まで歩いたけれど、その店は定休日だった。何でも調べられるご時世、閉まったドアの前で呆然とするのは、新鮮な感慨があった(悔し紛れ)。
借りていたDVDを返すべく、今泉力哉監督「知らない、ふたり」を観る。何年か前、UPLINKの見逃した映画特集で「サッドティー」を観て以来、名前を覚えた。日本のホン・サンスと呼ばれているとかいないとか、というのも頷ける作風。「知らない、ふたり」は東京国際映画祭の日本映画部門で上映されたけれど、チケットが謎の瞬殺っぷりで買えなかった。
観るうちにチケット瞬殺の理由がなんとなく解り、韓国のアイドルグループ?のメンバーが主役含め何人か出ているらしい。主要キャストの半分以上は韓国語を話し、物語に独特のLost in translationをもたらしている。ツルツルに整った顔や髪型は役柄から生活感を奪い、日本の若手俳優(さほど有名ではない)が演じていたら、「サッドティー」のような面白みがあったかもしれないな、とエンドロールで流れる、そのアイドルグループが歌ってるらしいポップスを聴きながら考えた。
のんびりしたリズムで進行する物語ながら、アパートの外階段で、主人公に訪れる呪いが解かれる瞬間にはハッとした。ひとり、登場人物の名前が「サンス」なのは、ホン・サンスにちなんでいるのだろうか。
The Lobster

オスカー・ノミネーション、お!と思ったのは、主演男優賞のアンドリュー・ガーフィールドは「沈黙」ではなく別の映画でノミネートされたことと、脚本賞に「ロブスター」がノミネートされたこと。
「ロブスター」、オリジナル脚本だったのか…あの奇想天外な物語は。秋に観たものの、何も書いていなかったのでメモ。ヨルゴス・ランティモス監督によるディストピアSF恋愛映画。東京での公開、あっという間に終わった気がするけれど、大好物だった。
http://www.finefilms.co.jp/lobster/
公式サイトにあるとおり、独身者は施設に集められ45日以内にパートナーを見つけられなければ、自ら選んだ動物に姿を変えられ森に放たれる。コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、レア・セドゥ、ベン・ウィショーと主役級の俳優たちが揃って生真面目に奇妙な登場人物に扮しているのも見どころ。
動物かぁ…私はペンギンだな。水面や鏡に自分の姿がうつるたび、今日も可愛い♡って、うっとりできるもの。と悠長に妄想していたら冒頭から「ペンギンはダメ。協調性がないから」とピシャッと言われギャッ!舐めた態度で失礼いたしました…。
ツッコミどころ満載の展開で、笑ってしまう場面も多かったけれど、冷静に考えると奇抜な衣装を纏いながらも、掴めそうで掴めない愛たるものの深淵が問いとして次々に提示されることに唸った。
好きな女性と同じ行動(鼻血を流す)を無理矢理とってみて相手の気を惹こうとする。同じ価値観だね、と主張して恋が生まれる(本人は大真面目だけど周囲にはバレバレ)、犬(=兄)が惨殺される場面はカップルになったはいいけれど、所詮つきあいも短い選んだ他人と、肉親どちらが大事なのかの問いが突きつけられているように思えたし、最後は愛のためなら自分をどこまで差し出せるか。あなたの痛みは私の痛み…と、谷崎のような展開に。あまり観たことのない映画だったから、保守的と言われるアカデミー会員がこれを選ぶとは意外だった。
冒頭、コリン・ファレルは車に乗せられて施設に送られて行く。朧げな記憶を辿ると、コリン・ファレルは妻と合意のもと、お互い納得の上、別れに至ったと自分に言い聞かせ、周囲にもそう主張しているだけで、実際は捨て犬のように捨てられたんじゃないかと思った。要らなくなったから、あの施設に移送されたのでは。ドナドナ…。
集中力

TOHOシネマズ スカラ座で。スコセッシ「沈黙」初日。
160分以上の映画の半分以上は拷問シーンで、観るのには集中力を要するけれど、恐ろしいことに、無駄な描写が1秒もなく息継ぎができず、観終わったらずいぶん疲れていた。
舞台挨拶でイッセー尾形さんが、観終わった後は言葉が出てこず、3日ほど経った後に、ようやくポツポツと言葉になり始める。けれど、その時の言葉は、観終わった直後の気持ちとは違っている。そんな感動もあるのだな、と初めて知った。と、おっしゃっていて、同じ気持ち。窪塚洋介さんは、大きな眼鏡をかけているね、と思っていたら、おそらく縮尺の問題で、眼鏡は普通サイズで、顔が小さすぎるのだと思う。最後、記事ではカットされるかもしれないけれど、と語った言葉、記事になっていた(こちら)。
主演

「永い言い訳」のメイキングエッセイ、最後の更新を読み終える(第4回)。相変わらずの「幸夫」のバリエーションに、またも辟易としつつ、役の名前でこんなに遊べるなんて、役への愛着のあらわれかもしれず、永いメールの連なりを読むことももうないのかと思うと、少し寂しい気持ちにもなったので、不思議な人。
パンフレットに付属のメイキングDVDは、秋のうちに観た。監督と主演の攻防は、静かな格闘技といった様相だった。
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