今年観た映画

初冬の資生堂パーラー、頬を指す寒さにピリッと輝くネオン。
映画祭シーズンも過ぎ、28の企画のために今年観た映画を振り返る。観た映画をメモしていないけれど(手帳を辿ればリスト化できるはず…)、近年稀にみる鑑賞本数の少なさだったはず。その理由は、映画のサイトを運営するために映画を観る時間が削られる、というなんとも言えないパラドクスがあったにせよ、限られた時間、渾身の選択の結果、選んだ1本だからこその満足度の高さもあった。
しかし、年を重ねたせいなのか何なのか、重苦しい映画って年々、受け付けなくなってくるのね。自我を静かに見つめるような映画より、よくできたフィクションに救われる瞬間がたくさんあった。と言っても、まだ12月は始まったばかり。
気がつけば「グッドタイム」を逃していた。もはや栃木と沖縄でしかかかっていない。どうすればいいの…。
http://www.finefilms.co.jp/goodtime/
エモーション

昨日、市川準監督特集で観た「大阪物語」は、ヒロイン(池脇千鶴!)の両親を沢田研二、田中裕子が演じていて職業は漫才師という物語だから、「親の仕事場」としてのなんばグランド花月が映る。いかにも舞台裏という名前が似合うあの雑多な舞台裏も、なんばグランド花月でロケしたんだろうか。ミヤコ蝶々も登場し、大阪の魅力はよくわからんへんけど、まぁ、うどんがおいしいことだけは確かやな。ってセリフがあって、大阪のこってりしたエリア出身だった祖母を自動的に思い出す。祖母は年越しに蕎麦を食べるのを嫌がり、一人だけ年越しうどんを食べる程度に大阪の女であった。
そんなエモーションを引きずったまま夜、M-1を観ていると、ジャルジャルの登場から退場までの一連の流れがどうしようもなく映画的で、「お前…よう今ボケれんなぁ」のひとことなんて、テレビをつけたつもりだったけれど、あれは犬童一心の書いたセリフで、これは市川準の映画かしらと思うほどに、「大阪物語」の続きだった。優勝できなかったけれど、明日、関西じゅうの学校の休み時間、みんなあのネタの真似、盛大にすると思う。
秋のフレーム

電気を点ける前の会議室、眺めが絵画。東京は秋。終わろうとしているけれど。映画祭やら仕事やらで屋内ばかりにいるうちに、季節が進むスピードについていけなくなっておる。
秋、どう撮っても美しい季節だし、秋の映画ってたくさんあるでしょう。と思い出そうとしたけれど、パッと思いついたのはアニエス・ヴァルダ「幸福」のラストシーンだけであった。他にもっと秋の美しさを捉えた映画はたくさんあるだろうに、あの映画のあの場面のうすら怖さがその他の映画記憶を上書きした。
この芥子色のニットの秋!
映画祭が終われば落ち着いて文字が書けるかと思ったおったが、それは甘い考えというものだった。週末からペースを取り戻したい。
本棚

りえこさんからいただいた、LAでの台湾ニューシネマ特集のポストカードサイズのチラシが素敵で、本棚の中華圏ゾーンに飾る。北京や台北で買った本もいくつか。台湾ニューシネマのビジュアル、どの国、どの言語でもセピアがかったノスタルジックなデザインになる傾向にあるのが面白い。
ついでに、映画本が増えたので並べ替え。本好きの人には、本だけは治外法権的に増殖することを諦めまじりに許可する、という人も多いけれど、私は収容場所の上限をあらかじめ決め、溢れるものは処分していくタイプである。ごく稀に後悔するけれど、それよりも自分にとってフレッシュなものだけ選んで所有することの気持ち良さが勝る。
夏から続けている持ち物の整理、このところ気分が加速し、段ボール数箱単位で毎週部屋から物が消えてゆく。いま6合目あたり。年内には終わらないので、旧正月までに10合目に到達したいところ。
Ginza&Coffee

LAから東京に来たりえこさんと、フィルメックスで中国映画「とんぼの眼」→小籠包を食べ→満腹すぎて散歩して身体を軽くしようと歩いたら→珈琲飲みたいよね、とカフェへ→シュトーレンまで食べてさらに満腹に→エルメスでアン・リー「恋人たちの食卓」を観て→資生堂で買い物し→新橋へ、という銀座界隈の日。この季節の銀座はキラキラで、どこを歩いても特別な街にいる感慨がある。
銀座でちょっと珈琲を飲みたい時の私のお気に入りは、教文館4階にあるカフェきょうぶんかん。窓辺に座ると銀座を往き交う人々を観察でき、珈琲は良心的な値段。ちょっとしたサイズの甘いものも。塊で販売されがちなシュトーレンが一切れオーダーできたので、クリスマス気分も味わえた。間もなく12月。
カフェきょうぶんかん
http://www.kyobunkwan.co.jp/cafe
近未来

土曜、フィルメックスでシルヴィア・チャンの映画を観たので、最後に彼女を映画で観たのは何だったっけ?と考え、おそらくジャ・ジャンクー「山河ノスタルジア」ではなかったかしら。話は逸れるけれどジャ・ジャンクーの映画は中国語の原題は良いけれど邦題が残念なことが多いな…ノスタルジアとか、哀歌(エレジー)とか、湿っぽくて。
「山河ノスタルジア」、変な映画だな…と思ったけれど、その感想の理由は、最後のパートが2025年という中途半端に近めの未来で、ジャ・ジャンクーがまさかのSFを頑張って撮ったからかもしれない。ジャ・ジャンクーの考える2025年の生活、現在の延長線上にある、ずいぶん地に足のついた未来表現で、「やたらタブレットが大きくて透明」とか「デリバリーのバイクのデザインがちょっと未来風」とか、ゴリゴリのSF映画にありがちな、奇抜な未来に一足飛び!という高揚は皆無で、チープですらあった。
など、今日、ZOZOSUITのサイトを見て、あぁ未来って案外すぐ来るんだな、と思いつつ、あの映画を思い出したのだった。こういうの、すぐ試してみる方なのでZOZOSUIT、ろくに説明も読まず注文しておいた。楽しみだな、未来。
東京上空

2017年・秋の東京上空いらっしゃいませ。
眺めのいいテラスから、工事中の競技場も新宿のビル群も東京タワーも紅葉も遠くに富士山も見える。夜は夜でネオン煌めき、ここに人が立っているのを眺めるのは、「her」のホアキン・フェニックスを眺めるような近未来アーバン感がある。「her」、ハリウッドでもビーチでもない近未来LAが映し出されていて、あの景色好きだったなぁ。
「泳ぎすぎた夜」を引きずりながら本棚の前に立ってみると、「雪は天からの手紙 中谷宇吉郎エッセイ集」が目に入ったので、鞄に入れる。電車で読んだメールに、これから帯広に向かう、と書かれていて、寒そう…と思いながら本を開くと、最初のエッセイが「雪の十勝」だった、というシンクロ。東京の寒さにすら怯えているけれど、雪は雪で羨ましい。
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