睦月

睡眠したり栄養を摂ったり、リペアに集中するうち、過ぎ行く睦月の最終日に、ようやく攻撃力かすかに回復の兆し。鉄は熱いうちに打て、が今年のテーマと考えたはず。この気持ちも早く君が食べないと冷めてしまうって宇多田さんも歌ってた。
旧正月前に書き始めるつもりだった2016Best、旧正月も過ぎて紛れもなく新年。選び終えてはいるので、近く書き始めるつもり。秋以降、観た映画のタイトルはかろうじてメモしたけれど、その頃の記憶まるごと薄く思い出せない。フィルメックスで王兵の新作も観たように思うけれど、中国の路上で言い争う男女の像が幻のように脳内にある。時間の感覚が歪んでいて、オリヴェイラ特集に通ったのがまだ去年というのが信じられない。カニバイシュのような映画を忘れずに記録するには、珍品大賞こそ選ぶべきだろうか。my best H.K.(=Hiroshi Kawaguchi)は、選べるほど観なかったので2016年はパスするつもり。
Noël Coward

ルビッチ「生活の設計」について調べるため、「ルビッチ・タッチ」を読むと、「期待されるにじゅうぶんな企画でありながら、どこかでつまずきを見せた作品」「今回はいつもの妙技の再現はならなかった」「俳優たちもそれぞれに魅力はありながらも、ラント夫妻とカワードのトリオとくらべれば、見劣りするのは是非もなかった」とあり、ノエル・カワードの戯曲の映画化で、舞台の方は大好評を博していた、と書かれているのだけれど、あの映画の出来をもって、舞台版の魅力には及ばないなんて、舞台の方はさぞかし面白みの最上級に位置していたのだろうか。
名前はしょっちゅう耳にしながら、ノエル・カワードについて詳しく知らない、と思ったので、簡単に調べてみると、wikipediaだけでもはや面白い。
「人生はうわべだけのパーティー」と考える彼は、真剣に人を愛したり、真剣に国を愛したり、真剣に人生に悩んだりすることを極端に嫌った。シリアスな人生劇より、洗練された喜劇を好んだ。
第二次世界大戦が始まると、「戦争は憎しみの舞台。芝居という魅力の舞台に立つ者には最も不向きなものだ」とカワードは発言し、戦争支持の風潮に背を向けた。そのため、非国民のレッテルを張られ批判された。その時、チャーチルは「あんなやつ、戦場に行っても役に立たない。一人ぐらい恋だ愛だと歌っているヤツがいてもいい」と旧友を弁護した。
ルビッチ・タッチとも相性の良さそうな人だこと。私好みの思想の人である(深刻なのキライ)。チャーチルの弁護もいい。20年代のファションにも影響を与えたそうで、いくつか画像を見てみても洗練されており、若い頃も年を重ねてからもフォトジェニック。俄然、カワードと同時代にタイムスリップし、30年代の観客として「生活の設計」を観てみたい妄想に駆られる。30年代の舞台を観ることはできなくても、30年代の映画は観るチャンスがあるのは、複製芸術の素晴らしいところだけれど。
知らない、ふたり

ちょっとした買い物をしようと東大構内を抜け、本郷三丁目まで歩いたけれど、その店は定休日だった。何でも調べられるご時世、閉まったドアの前で呆然とするのは、新鮮な感慨があった(悔し紛れ)。
借りていたDVDを返すべく、今泉力哉監督「知らない、ふたり」を観る。何年か前、UPLINKの見逃した映画特集で「サッドティー」を観て以来、名前を覚えた。日本のホン・サンスと呼ばれているとかいないとか、というのも頷ける作風。「知らない、ふたり」は東京国際映画祭の日本映画部門で上映されたけれど、チケットが謎の瞬殺っぷりで買えなかった。
観るうちにチケット瞬殺の理由がなんとなく解り、韓国のアイドルグループ?のメンバーが主役含め何人か出ているらしい。主要キャストの半分以上は韓国語を話し、物語に独特のLost in translationをもたらしている。ツルツルに整った顔や髪型は役柄から生活感を奪い、日本の若手俳優(さほど有名ではない)が演じていたら、「サッドティー」のような面白みがあったかもしれないな、とエンドロールで流れる、そのアイドルグループが歌ってるらしいポップスを聴きながら考えた。
のんびりしたリズムで進行する物語ながら、アパートの外階段で、主人公に訪れる呪いが解かれる瞬間にはハッとした。ひとり、登場人物の名前が「サンス」なのは、ホン・サンスにちなんでいるのだろうか。
【本日更新】Cinema on the planet 002

Cinema Studio 28 Tokyo、開館後、年末年始休暇→しばし冬眠しておりましたが、冷たい空気に混じる春の微かな足音。むくっと起き上がり、鈍い瞼を擦りながら本日更新。
Cinema on the planetはリレー連載。第2回はLos Angeles支部 りえこさんにエジプシャン・シアターを紹介していただきます。
オスカー・ノミネーションも終わり授賞式を待つこの期間。遠く東京でも中継でハリウッドの景色を1年で最も目にする季節。待ちきれない「LA LA LAND」の舞台でもありますね。
エジプシャン・シアター、まずはpart1歴史篇から。表紙モデルに抜擢されて「え?俺?俺が表紙なの?」って言ってる表情のエジプト人の視線の先の赤いドアをクリック、ハリウッドならではの夢のあるスケール感、どうぞお楽しみください。
お茶の間

昨日あった「LA LA LAND」ジャパン・プレミア、チケット確保を試みたものの、あんなに秒速で座席が埋まるの初めて見た、という瞬殺っぷりで手も足も出なかった。500席以上あるヒルズのスクリーン7がものの数秒で埋まっていた。
ライアン・ゴズリングというより、監督の話を聞いてみたかったのだけれど。
今日はNHK「あさイチ」に2人が出ると知ったので、録画予約して家を出た。帰宅して再生してみると、番組の9割はゲストの太川陽介が占めており、「LA LA LAND」の2人は終了前2分ほどで、その扱いに驚いていたら、この後インタビュー収録したものを、別日に放送するらしい。
朝の番組っぽいセットに、タレントとアナウンサーに囲まれた俳優と監督、シュール。飛ぶ鳥を落とす勢いの若手監督も、お茶の間っぽさの破壊力に呑み込まれていた。お茶の間、強い。
ラスト1本

細々と取り組むこと多く、鼻息荒く千栄子愛を語りながらも、なかなか千栄子に会いに行けない日々。これだけは!と、ラスト1本、「悪名」のみ。
千栄子…(声にならない叫び)!なんて贅沢な映画なのだろう。脚本・依田義賢、撮影・宮川一夫は、チーム溝口でもある。宮川一夫のカメラワークが冴え渡っており、つやつやした勝新、田宮二郎の可愛くて色っぽいこと!
この時代の大映映画、まさに映画遺産と呼ぶにふさわしい。そしてこんな凝った映画をあれだけ量産していたのだから、経営も傾くはずである、と妙に納得。感想はまた後日。
The Lobster

オスカー・ノミネーション、お!と思ったのは、主演男優賞のアンドリュー・ガーフィールドは「沈黙」ではなく別の映画でノミネートされたことと、脚本賞に「ロブスター」がノミネートされたこと。
「ロブスター」、オリジナル脚本だったのか…あの奇想天外な物語は。秋に観たものの、何も書いていなかったのでメモ。ヨルゴス・ランティモス監督によるディストピアSF恋愛映画。東京での公開、あっという間に終わった気がするけれど、大好物だった。
http://www.finefilms.co.jp/lobster/
公式サイトにあるとおり、独身者は施設に集められ45日以内にパートナーを見つけられなければ、自ら選んだ動物に姿を変えられ森に放たれる。コリン・ファレル、レイチェル・ワイズ、レア・セドゥ、ベン・ウィショーと主役級の俳優たちが揃って生真面目に奇妙な登場人物に扮しているのも見どころ。
動物かぁ…私はペンギンだな。水面や鏡に自分の姿がうつるたび、今日も可愛い♡って、うっとりできるもの。と悠長に妄想していたら冒頭から「ペンギンはダメ。協調性がないから」とピシャッと言われギャッ!舐めた態度で失礼いたしました…。
ツッコミどころ満載の展開で、笑ってしまう場面も多かったけれど、冷静に考えると奇抜な衣装を纏いながらも、掴めそうで掴めない愛たるものの深淵が問いとして次々に提示されることに唸った。
好きな女性と同じ行動(鼻血を流す)を無理矢理とってみて相手の気を惹こうとする。同じ価値観だね、と主張して恋が生まれる(本人は大真面目だけど周囲にはバレバレ)、犬(=兄)が惨殺される場面はカップルになったはいいけれど、所詮つきあいも短い選んだ他人と、肉親どちらが大事なのかの問いが突きつけられているように思えたし、最後は愛のためなら自分をどこまで差し出せるか。あなたの痛みは私の痛み…と、谷崎のような展開に。あまり観たことのない映画だったから、保守的と言われるアカデミー会員がこれを選ぶとは意外だった。
冒頭、コリン・ファレルは車に乗せられて施設に送られて行く。朧げな記憶を辿ると、コリン・ファレルは妻と合意のもと、お互い納得の上、別れに至ったと自分に言い聞かせ、周囲にもそう主張しているだけで、実際は捨て犬のように捨てられたんじゃないかと思った。要らなくなったから、あの施設に移送されたのでは。ドナドナ…。
【about】
Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom
【search】
【archives】
【recent 28 posts】
- 1900s (3)
- 1910s (5)
- 1920s (10)
- 1930s (26)
- 1940s (18)
- 1950s (23)
- 1960s (58)
- 1970s (14)
- 1980s (40)
- 1990s (46)
- 2000s (37)
- 2010s (240)
- 2020s (28)
- Art (30)
- Beijing (6)
- Best Movies (5)
- Book (47)
- Cinema (2)
- Cinema award (17)
- Cinema book (58)
- Cinema event (99)
- Cinema goods (15)
- Cinema history (2)
- Cinema memo (127)
- Cinema Radio 28 (8)
- Cinema Studio 28 Tokyo (92)
- Cinema tote (1)
- Cinema Tote Project (1)
- Cinema trip (43)
- cinemaortokjyo (2)
- cinemaortokyo (100)
- Drama (3)
- Fashion (40)
- Food (65)
- France (15)
- Golden Penguiin Award (11)
- Hakodate (6)
- Hokkaido (3)
- HongKong (3)
- iPhone diary (1)
- journa (1)
- Journal (248)
- Kamakura (1)
- Kobe (1)
- Kyoto (18)
- Macau (2)
- memorandom (4)
- Movie theater (212)
- Music (43)
- Nara (15)
- Netflix (3)
- Osaka (2)
- Paris (13)
- Penguin (16)
- Sapporo (3)
- Singapore (1)
- Taiwan (47)
- TIFF (24)
- Tokyo (358)
- Tokyo Filmex (14)
- Weekly28 (10)
- Yakushima (3)
- Yamagata (11)
- YIDFF (6)
- Yokohama (5)
- Youtube (1)
