さとみ

「アンナチュラル」、清々しい最終回で大満足。続編に期待。徹頭徹尾ルビッチばりの省略が効いていて、殺人の自白があっても、どんな量刑が課せられたのかは省くのね。このドラマはそれを描くものではないと。キャラクターでは木林さんが断然好きだった。
私が観ようと思った理由は脚本家と、石原さとみが主演であること。放送終了直後、LINEの石原さとみ公式アカウント(登録してる♡)から動画が届いた。「アンナチュラル」の放映中、感想をたくさんいただき、あれどうなるの?とか、あのシーン良かったよ、とか、見た目じゃなく物語に入り込んで感想をいただけることが本当に嬉しかったと語っていた。石原さとみについてこれまで印象的だったのは、手帳に、化粧品のキャンペーンガールになるとか、月9で主演するなど、目標を書き込んでいて、振り返ってみればそれが全部叶っていると語っていたこと。完全に行動が仕事のできるビジネスパーソンのそれである。動画を観ながら、手帳に書いたんだろうな、と思った。どんな役を演じても「石原さとみ、可愛い♡」の感想ばかり溢れるドラマじゃなく、役名で感想が溢れるようなドラマに出たい、って。
「シン・ゴジラ」でのカヨコ・パターソンも好きだった。あんな女は現実には存在しない(失笑)的な感想が周りからもたくさんあったけれど、映画はフィクションなのだから、現実に存在しそうな人ばかり登場しても面白くないでしょう?と聞き流した。公開時に読んだWWDのインタビューが、カヨコ・パターソンの役作りについて詳細に語っていて面白い。カヨコのような女性が着そうなファッションを研究し、ミリ単位で洋服を作ってもらって、それを着るために節制したとか。
https://www.wwdjapan.com/308158
このインタビュー、連ドラで自身が着る洋服が売れることについて、「そんなに高くないものだからだと思います」「その世代が好きな洋服は何って何だろうといつも考えながら選んでるので、刺さって嬉しいなと思います」って冷静に答えてるのもいい。可愛いだけの女優じゃないの。だから私はさとみが好きなんである。
映像視聴時間

ペンギンの近くにいたカモノハシ。ペンギンに負けず劣らず可愛かった。触りたくなるモフモフ感がしっかり残されているところに、剥製づくりをされる方の動物への愛情を感じる。
今週ふと考えてみて、現時点の私の生活で、映像視聴に費やせる時間は週に4〜5時間がせいぜいだな、と思う。年明けからドラマ「アンナチュラル」を放映時に観て、録画でもう一度観るので計2時間。そうすると残り時間で観られる映画は週1本、と振り返ると計算が合う。ここ数年、ずいぶんバランスを欠いた時間配分で映像視聴時間を捻出していたけれど、映画祭の時期は別として、人生においてその時期は終わったらしい。あまりに家にいなかったから、まるで手をつけていなかった部屋の片付けにもう半年以上追われている。残務整理の気分。
「アンナチュラル」が今夜終わるので、他のバランスが今のまま保たれたら、もう1本映画を観られるようになるかなぁ、でも、博物館にカモノハシ観に行っちゃうかも。などつらつら考えながら、最終回待機中。ドキドキ。
http://www.tbs.co.jp/unnatural2018/
夜の博物館

早春の夜、上野の科学博物館へ。おすまし顔の皇帝ペンギン。

カメラ目線のイワトビペンギン。イケペンですね。

キヌガサタケ、レースのフレアスカートのよう。こんなに自分が美しいってこと、キヌガサタケは知ってるのかな。

東京・春・音楽祭という催しのプレイベント。ナイトミュージアムコンサート。あちこちで音楽の演奏、研究員の方のトークも。
http://www.tokyo-harusai.com/program/page_4941.html
研究員の方のトーク、どちらも参加した。花の色について語るつもりだった植物研究の方が、うっかり花粉の話だけで時間を使い切ってしまったり、宇宙研究の方が、独特のトーンでゆらゆら動きながら静かに、私の専門は変光星についての研究で…とおっしゃったり、その人が好きなものについてお話しする時の、独特のロマンティックさに溢れたトークで、うっとりした。
音楽は地下2階、絶滅した動物の骨が並ぶフロアで聴いた、バンドネオンで演奏されるピアソラや、モリコーネの映画音楽が素晴らしかった。混んでいたので奏者は見えず、ずっと象の先祖のような巨大な動物の猛々しい骨を眺めながら聴いた。
ブレッソン「やさしい女」でとりわけ好きだったのは、男女がパリの自然史博物館を歩き、女が「動物はみんな同じ。配列が違うだけ」と骨を眺めながら言うシーン。男は、女の表面にしか興味がなくて、女が好きな骨については興味がなさそうな表情だったのを覚えている。
3月に入ってから謎の眩暈や、気が滅入ることの連続で、限りなく消耗しきっていたけれど、剥製や音楽や菌類や骨や植物標本により、しばらく乗り切れるほどには復活した。宇宙全体の7割を構成するエネルギーは、まだ解明されない謎で、ダークエネルギーと呼ばれるらしい。わかりあいたいのは根源的な欲望だとしても、7割もわからない宇宙の片隅で生きていて、何かをわかった気になるのもずいぶん野暮であるな。ありがとう、夜の博物館。
夫婦善哉

いこさん連載第5回は「夫婦善哉」。先日、家のスクリーンで観てみた。ものすごく久しぶりで、最後に観たのは学生の頃、京都文化博物館のフィルムシアターだったと思う。その頃は、フィルムシアターでかかる映画をしらみ潰しに観て、こと古典!名作!と呼ばれる映画は、観ねばならぬと思っていたんですな。真面目な頃もあったもんです(遠い目)。
当時観て、現在に至るまで何度も観ている映画はたくさんあるのに、「夫婦善哉」にふたたび手が伸びづらかった理由は、再見してみてよくわかった。船場を舞台にした物語は好きだし、読んでないけれど織田作の原作も良いのだろうな、淡島千景は運動神経が良さそうな動きで好きな女優さん(小津「麦秋」で初めて観てから好きだった。あの動きの機敏さは、宝塚出身というのもあるのかしらん)、いこさんのように森繁♡ではないけれど、私の好きな淡島千景があんなに好きっていう男はんやったら、そらええ男なんでっしゃろ、と後光効果で森繁も素敵に見えてきちゃう。主役2人の台詞まわしも動きも自然で流れるようなんである。
けれど!演出のモタつきがすべての良さを半減させておる…極上の素材が弛れたリズムの上でただ踊らされるだけ…を2時間目撃し、監督は誰だったら正解だったんだろうか、と妄想が止まらない。モダーンな人が良かったな。それでもやっぱり主役2人は可愛くて、キュンとくる場面がところどころできらめきを放ってはいた。
森山未來&尾野真千子主演だった、NHKドラマ版「夫婦善哉」、録画が残ってるはずだから、あちらを観てみようかしら。森山未來、関西弁で動きの綺麗な男。ぴったりでは?
https://www6.nhk.or.jp/drama/pastprog/detail.html?i=meotozenzai
英訳をお願いする用にメモを作るべく、オダサク(原作者:織田作之助)の画像検索をしたのだけれど、

オダサク、めっちゃ可愛いですね。酒場から心が遠のいた私でも、こんな人と大阪の大衆酒場で隣り合わせたい欲がむくむく湧いた。
いこさん連載第5回、ぜひお楽しみください。
【本日更新】彼方からの(甘い)便り Happy Hour from Kyoto 第5回

本日更新しました。
いこさん連載「彼方からの(甘い)便り Happy Hour from Kyoto」第5回は、夫婦映画のクラシック『夫婦善哉』と、映画から連想する京菓子をご紹介。早春の珍品と呼ぶにふさわしい、連載史上もっともエキセントリックな京菓子が登場します。
そもそもこれってお菓子なの、それとも食事?その境界線ってどこだっけ。そもそも今って冬の終わりなの、もしくは春の始まり、どっちなの?!って、みぞみぞする淡い季節にぴったりの謎めいた京菓子!
この連載のトップページはいつも取り上げた京菓子の包み紙や外箱の画像なのだけれど(過去のものはarchivesを見てみてね!)、今回の包み紙、こんなに春はあけぼの〜って言葉が似合うビジュアルがありましょうか!と来る季節に胸躍りました。
『夫婦善哉』って有名でよく耳にするけれど、そういえば観たことないなぁって人も多そう。いこさんと初めてお会いした時、好きな俳優の話題になって、「森繁♡」って答えが返ってきた時はちょっと驚きましたね。今まで「森繁♡」な人に会ったことなかったから、「…どうして?」って聞き返しちゃった。エクセントリック京菓子を入口に、映画にも出会ってもらえると嬉しいな。暖かいお茶を用意して、どうぞお楽しみください!
いこさんのブログも是非!
15時17分、パリ行き

震災から7年目の3月11日は日曜日。タイトルにちなんで15時17分の上映が設けられた丸の内ピカデリーにて、クリント・イーストウッド「15時17分、パリ行き」を。
http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/
アメリカという国には、憧れたことも強い興味を持ったこともないけれど、イーストウッドの映画でアメリカのA面を、ワイズマンのドキュメンタリーでB面を追いかけているようにも思う。あの大国に対して、ずいぶん偏った視点だと思うけれど、個人の視点がまんべんなくフラットでフェアになることなんて、永遠にない。イーストウッドについては、どんなテーマであろうと映画に仕立てることができ、出来上がりの平均点がすこぶる高い、熟練の職人のような監督だと思っており、観終わると、はいはいアメリカすごい、アメリカ立派、アメリカえらい。と棒読みでアメリカを讃えたくなるような気分になるものも多いけれど(単に私がアメリカに強い興味がないだけで、イーストウッドは褒めておる)、ごく稀に、狂気ほとばしる不思議な映画を職人の完成度で仕立て上げることがあって、目が離せない。
「ヒアアフター」という映画は、日本ではちょうど震災の頃に上映され、冒頭に迫力ある津波のシーンがあるため上映中止になった。あの時期テレビで震災の映像を見続けたため、「ヒアアフター」を観ることが怖い、という人もいるのではないか。私は恐怖感が落ち着いた頃、ギンレイホールでひっそりかかったのを観に行き、ものすごく変な映画で興奮しました。あの世とこの世の境目にアクセスするようなスピリチュアルな物語。イーストウッドが監督していなければ、トンデモ映画になりそうなところを、イーストウッドだから最後まで観られる映画になっている。もしかしてイーストウッド、俺、なんでも映画にできるからさ?こういうの撮ってみても映画になるかな?って実験してみたんだよね。って気分で撮ったのではなかろうか、と深読みしたくなる異形の映画であった。
前置きが長くなったけれど、最新作「15時17分、パリ行き」は、実際に起こった列車内でのテロ事件を食い止めたアメリカ人の物語。これだけ読むと、はいはいアメリカすごい、アメリカ立派の系譜かと思うけれど、「実際に、テロを食い止めた若者3人が、映画で主人公を、つまり本人が本人を演じる」と知って、えええええ!と俄然観たくなった。私はこういう、その人がその人を演じる映画に興味があって、これまでそれに果敢にトライするのは女性が多い印象だったけれど、男性が!観る!と興奮しなががらいそいそと映画館へ向かった。
わー、これはとても不思議な映画。イーストウッドの中でもカルト映画になる可能性を秘めておる。まず映画の構成がとても不思議で、94分の映画のうち、70分はテロ以前の彼らの半生、テロに遭遇する直前のヨーロッパ旅行。15分ほどテロの再現シーン。ラスト9分は英雄になった彼らとエンドロール、という時間配分(計ったわけではないので体感時間)。テロ以前の70分を観ている時の自分の感覚がなかなか前代未聞で、何しろ彼らは本職の俳優ではなく、演技経験のない素人だから、運命の旅行に至るまでの生い立ち(母子家庭で育った、注意欠陥障害の疑いがあり、ミリタリーマニアで、いじめられっ子どうし仲良くなる)は物語仕立てで語られたとしても、旅行中の映像が、もう本当に、ホームビデオ?結婚式のビデオを延々と知り合いのリビングで鑑賞させられているような苦々しい逃げられなさ。イーストウッドが撮った豪華ホームビデオである!と言い聞かせても、自分はいったい何を観ているのだろう、映画館のスクリーンで?という気分に陥った。
けれど、テロの再現シーンを観終わると、どう考えても冗長に思えたbeforeテロの70分が、1秒たりとも無駄ではなかった…すべての伏線が回収された感…(呆然)…イーストウッド神!と、謎の高揚を味わう。そこで終わると綺麗なオチで、アメリカえらいえらい、と帰ることができるところを、ラストの英雄になった彼らとエンドロールパートが、一気にこの映画を不気味なものにしていた。
事件はアムステルダムからパリに向かう列車の中で起き、テロを食い止め乗客を救った彼らはアメリカに帰る前、フランスで讃えられる。登場するのが当時のオランド大統領。オランドそっくり!と思えば、あ、本物か。叙勲式の映像は、実際の式典を記録した映像を使っている。さっきまで再現ドラマとして演じられていたパートも、主人公3人は本人たちが演じているから、当たり前だけれど記録映像の中の人物と同一人物。つまりここで、ノンフィクションをフィクションとして再現する映像→ノンフィクション映像、と映像が切り替わる、と理解した瞬間の気持ち悪さはなんだか味わったことのない種類のものだった。
オランド大統領が「4名の勇気により…」と4名を讃えるスピーチをする。ん?4名?映画の中では、アメリカの幼馴染3人しか写っておらず、けれど実際にはもう1人、テロ食い止めに貢献した人物がおり、4人目のその人がいきなりここで画面に登場し、何も説明されない。誰やねん?とポカーンとし、帰宅して調べた。イーストウッドは4人の英雄をまんべんなく描くのではなく、3人の幼馴染にフォーカスした物語を仕立てるために、残り1人の存在をばっさり無きものにしたのだな。これぞ編集力!物語る私たち!この式典の場面は彼らを育てたママたちも参加していたように思うけれど、ママたちは本物のママが演じているのではなく女優が演じており、記録映像と女優の演じるフィクションが巧みな編集で滑らかに繋げられ何の違和感もない。途中、こんな女性いたっけ?と思った女性は、フランスに駐在するアメリカの大使の女性らしく、彼女は本物だったらしい。女優のように綺麗な人だったから、何がなんだか…(混乱)…もう…!全篇に渡って、これは本物、これは俳優、とわかりやすく色分けされた状態で観てみたいぐらい。
トータル94分を振り返ってみると、彼ら3人は生まれながらの英雄ではなく、まるで恵まれた境遇でもなく、学校ですらシングルマザーを冷遇し…というジリジリする痛みが、英雄になることで一気に昇華する。伏線は気持ちよく回収され、イーストウッドらしい映画だけれど、「本人が本人を演じる」という選択がこの映画を妙に謎めいたものにしている。これ、プロの俳優が演じていれば、何の面白みもなかったのでは。演技経験のない3人の男性陣がどんどんオーラを纏っていく過程、ひとりの人物なんて「軍隊に入るために、減量をした自分」を再現するために、一度太って痩せた?デニーロか!とツッコミたくなるぐらい見た目が変化し、素人とプロの境目ってどこにあるのだろうか。
混乱しているので文章がまとまらないけれど、3人だけではなく、テロの場面はその場に居合わせた人物が他にも本人役で多数出演して(テロリスト以外)、テロを再現している。銃で撃たれて重傷を負う男性の迫真の演技…さすがに俳優が演じてるのよね?と思えば、俳優ではなく撃たれた本人なのだそう。撃たれた夫を心配する妻も本物の妻だそう。えええ!こんな場面に遭遇したならばトラウマになって、再現ドラマなんて観たくもない、演じるなんてもってのほか、と思いそうなところを、彼らはそうじゃないんだな、こんな乗り越え方もあるのか。思いもよらぬ人間のタフさよ。
普通の人々がヒーローになり、そして「イーストウッドが自分の映画を撮ってくれる。あのイーストウッドが!」という点まで含め、彼らにとってのアメリカンドリームの実現だったのだろうか。イーストウッドを通じて知るアメリカは、やっぱりちょっと興味深い。この映画の変なところを延々と喋りたいから、周りの人たちには是非観てもらいたいものです。「ヒアアフター」とセットで!
イーストウッドと3人の映像。「映画で自分を演じられて、最高でした」
15:17

チケットカウンターで「15時17分からの『15時17分、パリ行き』お願いします」って言うのちょっと躊躇して、15時のパリ行きお願いしますってお茶を濁したのは私ですが、前の人の言い方を真似しただけです。
イーストウッドって時折、すごく変な映画を作って、賞レースに絡むような他の映画より、そちらを好きになることが多いけれど(『ヒアアフター』とか!)、この映画もそうなるのかな。
現実と虚構の間をまだふらふらしているので、感想は明日。
http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/
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