見違える

「新感染 ファイナル・エクスプレス」、主演俳優(コン・ユ)が素敵だったので公式サイトのキャスト紹介を読んでいたら、
http://shin-kansen.com/about/cast.htm
妊婦役の女優、どこかで観たことが…と思っていたら、ホン・サンス映画常連のチョン・ユミちゃんだった。常連も常連、「ソニはご機嫌ななめ」ではヒロイン。私が特に好きなのは「教授とわたし、そして映画」。ホン・サンス映画ではあまり化粧っ気がないのが、「新感染 ファイナル・エクスプレス」ではちゃんとメイクしていたからかしら。それから、最後まで主演俳優と対立する自分勝手な行動ばかりとるおじさん役の俳優(キム・ウィソン)もホン・サンス映画常連だった。
韓国映画について詳しくなく、ホン・サンスばかり観るから俳優の名前もたいして覚えず、「またあの人出てる…またお酒飲んでぐだぐだしてる…」程度の認識しかないけれど、あまりにみなさん映画の中でぐだぐだしているので、韓国映画に詳しいお友達に「ホン・サンス映画に出てくる俳優さんたちは、他の監督の映画に出る時は、しゃんとしているのであるか?」と真顔で確認したぐらい。「しゃんとしているのであるよ」と答えてもらったので、ふーん、と思っていたけれど、「新感染 ファイナル・エクスプレス」ではキリッと緊迫した顔をしていて、俳優さんって凄いなぁ…と変な感慨が生まれた。キリッとしすぎてて、誰かわからなかったのよ…。
もはや誰も口にしなくなった感もあるけれど、ホン・サンス、パタッと日本配給しなくなったのは何故だろう。新作どんどん生まれているのに。写真は台北で観た「夜の浜辺でひとり」のチケット。早朝上映割引でチケットも安く、今のところ日本公開の噂も聞こえてこないので本当に観てよかった。
新感染 ファイナル・エクスプレス

映画初めは早稲田松竹。はじめてのヨン・サンホ特集。アニメ「ソウル・ステーション/パンデミック」をまず観て、次に実写映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」。話題になっていることは知りながら、映画祭シーズンと重なって見逃し続けていたので待望の鑑賞。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2018/shinkansen.html
ソウル発の高速鉄道KTXで突如起こった謎の感染爆発。疾走する密室と化した列車内で凶悪化する感染者たち。愛するものを守るため、決死の戦いが今始まる!
なんてよくできた映画なの。エンタメ映画の見本のよう。設定が設定だけに「新幹線大爆破」とか「天国と地獄」とか「ゾンビ」などあれこれ同時に思い出したけれど、「新感染 ファイナル・エクスプレス」はやっぱりどれにも似ていないオリジナルな映画なのだった。登場人物たちの背景説明が大胆に省略されており、でも物語の流れで徐々に一人ひとりの輪郭が浮き彫りになるのが見事だし、恐怖の車内に団体で乗り込んだ運動部の部員たちが野球部という設定も、後々ゾンビと戦うにあたって武器(=野球道具)が車内に揃ってる状況を自然に生み出していて小憎い。様々な乗客が社会の階層や属性の象徴であることも物語の進行につれて明らかになり、対ゾンビ戦のハラハラとエモーショナルな場面が交互に訪れ、ベタベタした湿り気を丁寧に排除しながら高速で物語が展開する。
ゾンビ群、視覚的にうへぇ…となるので、2度目の鑑賞は心が怯むけれど、時間を置いたらまた観たくなりそう。主演俳優が大沢たかおと東出くんを足して割ったようなルックスで、画面がゾンビと血で染まる中、彼が映ると一服の清涼剤のよう。エリートらしい白いパリッとしたシャツが、時間の経過とともに血と汚れで滲み、格闘のたびに彼を覆っていた高慢さが剥がれ、人間性が露わになってゆく。
ソウル発釜山行きの高速鉄道、現在のKTXが開業する前のセマウル号に乗ったことがあって、ずいぶん遠い記憶だけれど、あのルートかぁ…と懐かしく思い出した。車両だけではなく、連結部分やトイレまで余すところなく物語に効果的に使われていた。
原題はシンプルに「釜山行」とのことで、「新感染 ファイナル・エクスプレス」…しんかんせん…新幹線…ダジャレか!こんな物語なのに!と賛否両論だったようだけれど、「釜山行」そのままだとしたら、普段、韓国映画を観ない観客にまで広がらなかったのでは。タイトル問題、悩ましくも興味深いものですね。
映画初め ソウル・ステーション/パンデミック

映画初めは、早稲田松竹。はじめてのヨン・サンホ特集。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2018/shinkansen.html
まず、アニメ「ソウル・ステーション/パンデミック」から。
すべての事の始まりは、とある夏の夜、ひとりの年老いたホームレスが首に大ケガを負い、誰にも助けてもらえずソウル駅で息絶えたことだった。すると、そのホームレスは地獄の淵から甦ったかのように凶暴化して復活。それをきっかけに未知のウイルスに感染して豹変した人々が、街のあちこちで正常な市民に猛スピードで襲いかかり、無差別に噛みつく事件が続発する。
パンデミックという単語が聞き慣れなれないのでwikiで調べてみたら「ある感染症(特に伝染病)が、顕著な感染や死亡被害が著しい事態を想定した世界的な感染の流行を表す用語である」とのこと。絵のトーンが、なんとなく去年観た中国のアニメ「Have a nice day(こちら)」に似ているな、と思っていたら物語のニュアンスも少し近いものがあった。「Have a nice day」は経済成長で格差が広がる中国の地方都市の底辺を描いた物語で、「ソウル・ステーション/パンデミック」も、ホームレスに売春婦、行き場のない、帰る家を持たない人々の物語。どちらもネットカフェが登場するのが何やら象徴的で、経済的理由なのか現代っぽいということなのか、PCを持たずスマホを頻繁に活用し、スマホのバッテリーが切れることが生命線を絶たれることとイコールのように描かれている。
この後に続く実写映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」の前日譚という位置づけの「ソウル・ステーション/パンデミック」は社会の暗さばかり煮詰めた内容だけれど、「新感染 ファイナル・エクスプレス」でばっさり省略されている、物語が発動する土台としての社会がしっかり説明されており、アニメ→実写の順に観るとそれぞれの良さをそれぞれが補完して深く楽しめる、名画座ならではの豪華な番組。
自動的に「ソウル・ステーション/パンデミック」が2018年1本目に。お正月はカラッとした深みのない映画を観たい、という希望からは外れたけれど、大満足。
戌年

髪を切りに銀座へ出て、和光のウィンドウを眺める。犬でウィンドウがみっしり詰まっていた。クリスマス頃、和光のウィンドウがAIモチーフと聞いて見たかったけれど、見逃した。
和光のウィンドウ・アーカイブ
https://www.wako.co.jp/display/
犬といえば、フィルメックスで観た「泳ぎすぎた夜」、どうやって撮ったのだろう?という珠玉の犬シーンがある。五十嵐耕平監督は「息を殺して」でも犬を撮っていたし、若くして犬映画の巨匠の風格。
お年賀

いこさんがお年賀にくださった京都・亀廣保のお干菓子の、なんとかいらしことよ…。紅白の結び目は犬の首輪モチーフだそう。
いこさん連載第2回「ロミーとミッシェルの場合」で紹介いただいたお店です。四季折々、お店に行ってみたいものですねぇ。
https://cinemastudio28.tokyo/happyhourfromkyoto_002
志る幸

東京へ戻る途中、京都でいこさんと新年会。
「食べ過ぎなのであっさりとしたもの」「出汁っぽいもの」とリクエストしたら、「志る幸」はどうでしょう?映画「河口」のロケ地ですね、と返事が。なんという素晴らしい提案なのでしょう。ちょうど昨日、奈良で「河口」を思い出していたところ。
1961年の松竹映画「河口」は岡田茉莉子主演。ふんだんにロケで撮られた贅沢な映画で、森英恵の洋服で着飾った岡田茉莉子が銀座・数寄屋橋界隈を駆け回ったり、京都、奈良も登場したり。
「志る幸」はお味噌汁のお店。写真の利休弁当が名物で、セットのお味噌汁は白味噌に豆腐が基本だけれど、追加料金で具の変更が可能で、私は「おとしいも」を注文。すりおろし山芋がとろとろふわふわと白味噌に浮かぶ至福の味。その他の料理も、どれも私好みの薄味。食に対する興味が薄いほうで、東京でもあまり外食しないけれど、それは東京の味が口に合わないからなのかな…と最近思っている。あれもこれも食べたくて、どうしよう!って思うのは、京都にいる時だけ。
さて、「志る幸」。内装が不思議で、カウンターは八坂神社の舞台を模しているらしい。五条大橋っぽいエリアもある。そこはかとなく漂う実家の仏間っぽさ。この奇妙さは、珍品映画「河口」のロケ地にあまりにもふさわしい。
私の「河口」レビューはこちら
http://cinemastudio28.blogspot.jp/2016/07/blog-post_17.html
いこさんのレビューはこちら
http://iqc195.blogspot.jp/2016/07/blog-post_90.html?m=0
ああ、本当にへんてこで面白い映画だったな、また観たい。
奈良

初詣は興福寺。
元旦、国宝館がリニューアルしたとのこと。以前の薄暗い集会所のような場所に国宝が無造作に配置されていた国宝館、あれはあれで味があって好きだった。上野に遠征しようものなら行列数時間待ち、のアイドル・阿修羅像も独占し放題のガラガラで(明らかに人間より仏像のほうが数が多い)、暇を持て余したと思われるスタッフの方がつつっと寄っていらして丁寧に解説してくださって、どんな質問にも答えてくださった過去の思い出。新しい国宝館や、つるっとシャレていた。
興福寺の五重塔を見るたびに、小津の「宗方姉妹」が撮られたのはここだったっけ?と確認するけれど、違う違う、薬師寺だった、と毎度同じことを繰り返す。
https://yamatoji.nara-kankou.or.jp/020movie/M000000033/
久しぶりに鹿にも遭遇。

あれ…なんだか様子がおかしい…?と近づいてみたら、

みんな寝てる!15時頃だったから、昼寝かな。
1月3日の奈良は、奈良にもこんなに人間がいたんだね、という混みようだった。
【about】
Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom
【search】
【archives】
【recent 28 posts】
- 1900s (3)
- 1910s (5)
- 1920s (10)
- 1930s (26)
- 1940s (18)
- 1950s (23)
- 1960s (58)
- 1970s (14)
- 1980s (40)
- 1990s (46)
- 2000s (37)
- 2010s (240)
- 2020s (28)
- Art (30)
- Beijing (6)
- Best Movies (5)
- Book (47)
- Cinema (2)
- Cinema award (17)
- Cinema book (58)
- Cinema event (99)
- Cinema goods (15)
- Cinema history (2)
- Cinema memo (127)
- Cinema Radio 28 (8)
- Cinema Studio 28 Tokyo (92)
- Cinema tote (1)
- Cinema Tote Project (1)
- Cinema trip (43)
- cinemaortokjyo (2)
- cinemaortokyo (100)
- Drama (3)
- Fashion (40)
- Food (65)
- France (15)
- Golden Penguiin Award (11)
- Hakodate (6)
- Hokkaido (3)
- HongKong (3)
- iPhone diary (1)
- journa (1)
- Journal (248)
- Kamakura (1)
- Kobe (1)
- Kyoto (18)
- Macau (2)
- memorandom (4)
- Movie theater (212)
- Music (43)
- Nara (15)
- Netflix (3)
- Osaka (2)
- Paris (13)
- Penguin (16)
- Sapporo (3)
- Singapore (1)
- Taiwan (47)
- TIFF (24)
- Tokyo (358)
- Tokyo Filmex (14)
- Weekly28 (10)
- Yakushima (3)
- Yamagata (11)
- YIDFF (6)
- Yokohama (5)
- Youtube (1)
