後味

ルビッチ特集、未見だった映画を観ることができた歓びはもちろんのこと、何度観ても素晴らしい不朽の映画群をスクリーンで観ることができた恍惚。ハーバート・マーシャル好きなので(ダーリン!)「極楽特急」「天使」は不動の首位タイながら、今回どういうわけか「ニノチカ」がとりわけ染みた。物語だけならば「ニノチカ」がベストかもしれない。
最近読んだこの記事が良かったので
http://style.nikkei.com/article/DGXMZO15940270R00C17A5BE0P00
同語反復的だが、「世界文学とは何かと考えることが世界文学である」というのが今の状況だ。文学の道を極めた偉い先生が「これを読めば大事なことは大体わかるから読んでおきなさい」というものをありがたがるのではなく、読み手一人ひとりが自分にとって切実な作品を手にしながら、自分だけの地図を作っていくことが大切だと思う。
世界文学について考える際に大きな問題となるのが翻訳だ。翻訳という営為の本質は、容易にはわかり合えない二つの文明圏をつなぐこと。「うまいか下手か」という技術の話ではない。
ついに「亡命ロシア料理」を開き、読み始めた。沼野充義さん翻訳。目次から漂うアウラ、既に只事ではない。「容易にはわかり合えない二つの文明圏をつなぐこと」、「ニノチカ」はまさにそれを描いた物語だものね。
通ヴェーラ終了

ルビッチ特集、観る予定だったものを全部観終わり、通ヴェーラ終了。特集自体は金曜まで続きます。最終週の私のオススメは「山猫リュシュカ」「君とひととき」です!
http://cinemavera.com/schedule.php
すっごく「通った」なぁ…!と、4/22から今日まで数えてみたら24日、そのうち11日行った!通った感あるはずだわ…。家に帰るのが真剣に面倒で、階段の踊り場に布団敷いてしばらくここで暮らしていいですか?って交渉寸前だった。11日、2本立て=22本だけれど、「花嫁人形」を2回観たのでタイトルでは21本。ルビッチの映画って、これだけ観ても全く胃もたれしないのは、説教臭さが1ミクロンもないからかしら。私の好きなもので溢れていること以上に、嫌いな要素が見当たらない、というのが大きいように思います。
エネルギー充填したから、残りの今年も頑張って生きていけそう…(拳を固めながら)!はぁぁ…夢の映画、映画の夢!シネマヴェーラの皆様、夢見心地な春をありがとうございました!
ポーラについて

シネマヴェーラで「山猫リュシュカ」再見。2年前、初めてこの映画を観た後、自分に起こった現象も再現され、リュシュカの後味を味わいながら、演じたポーラ・ネグリについて調べ始める。
幸い今回は手に入れたばかりの「チャップリンの愛した女たち」が手元にあり、ポーラについて潤沢な記述があった。昨日書いたwikiのエピソードは、あながち誇張表現ではないらしく、チャップリンとの恋愛においても、ポーラの言動はいちいち芝居がかっていた。ましてや相手はチャップリン。他者と共に居るにはあまりに各々が自分を愛しすぎているように思えた。チャップリンの妄信的なファン(今なら接近禁止令を即座に出されるであろう、恐ろしい行動力のストーカー女性)とポーラが鉢合わせたくだりなど、ルビッチが映画にすべき喜劇的題材。
読み終わり、wikiに歌手としてヒットを出したと書いてあったけれど、そういえば声を聴いたことがないと思い、youtubeでチェックしてみる。ポーラの見た目に似合う、迫力ある低い声。これぞ女優の歌、という表現力で惹きこまれる。
恋の熱に浮かされたように、「山猫リュシュカ」を観た後、もれなくポーラについて調べてしまうのは、スクリーンから魅力をざぶざぶ浴びながらも、あまりに彼女について何も知らない、と思わされるからだろう。モノクロだから肌や髪、眼の色も知らないし、サイレントだから声もわからない。100年近く前の映画だから、調べても情報量は限られている。頼んでもないのに気をつけていないとあちらからざぶざぶと情報が流れてきがちな昨今、魅惑のポーラ・ネグリと、ポーラについて調べる私の関係は、何やら示唆的でもある。
Pola

ルビッチ最終週スタート。「山猫リュシュカ」もあるよ。私も近々観に行くつもり。
主役:リュシュカはポーラ・ネグリという女優で、画像検索すると美麗な写真もたくさん出てくるのに、ルビッチ映画でははすっぱな表情を浮かべていることが多い。どんな人なんだろう、と以前wikiで調べてみたら、
「チャールズ・チャップリンとの婚約やルドルフ・ヴァレンティノとのロマンスも話題になった。特に1926年、ヴァレンティノが亡くなった後の彼女の振る舞いはメディアの注目となった。彼女はヴァレンティノと結婚する約束をしていたと明かし、彼の棺が列車でニューヨークからロサンゼルスまで運ばれるのについてゆき、列車が止まる度に写真家のためにポーズを取った。葬式では何度も失神、彼女の名前が綴られた大きなフラワー・アレンジメントをヴァレンティノの墓の上に置くように用意した。しかし多くのヴァレンティノの友人は、二人は結婚する予定などなかったと主張し、彼女の振る舞いは単なる売名行為だと非難した。」
と、ずいぶん香ばしいエピソードが書かれていて、ますます興味が湧いている。先日、鎌倉で手に取った古い文庫本「チャップリンの愛した女たち」、中をぱらぱら見てみると、ポーラ・ネグリで一章書かれていたので思わず買った。チャップリンに興味は薄いけれど、ポーラ・ネグリについてはもっと知りたい。
ルビッチ特集では「寵姫ズムルン」にも出ていたけれど、映画自体さほど面白くなかったので、俄然、リュシュカとの再会を心待ちに…!
5月

5月ってなんて素敵な月なんだろう。どこもかしこも緑と光が零れんばかり。家のまわりや通勤途中のなんでもないありふれた生垣にもハッとして、まっすぐ歩けない。
読む本がたくさんあって、今週は積んであった北野武「顔面麻痺」を読み始めたら、恐ろしく面白く、電車を乗り過ごす事案が発生。冒頭、集中治療室での描写は、冬に観たフレデリック・ワイズマンのドキュメンタリー「臨死」で映されていた、ベッドに横たわる物言わぬ人々が言葉を発したような、読み得ない何かを読んでいるような不思議な文字群。
小さい頃にテレビで観て、目を逸らしたいけど逸らせない、何か強烈なものを観た感触だけが記憶に残っている、事故からの復帰会見、読了したらyoutubeで観る予定。
来週はカンヌ映画祭開幕!矢田部氏のブログを更新のたびに読んでいる。
9/9

去年の7/7は新宿ピカデリーに行き、「クリーピー」を観た後、黒沢清監督とゲストの前田敦子さんのトーク、そして監督にパンフレットにサインしていただき、「また前田敦子さんとの映画が作られることを楽しみにしています」と言ったら「ええ…彼女は本当に素晴らしい…」と監督はおっしゃった。世にも素敵な七夕の夜だった。前田あっちゃんファンで、どの映画も素晴らしいけれど、黒沢清監督が撮った「Seventh Code」が特に好きなので、この2人の組み合わせには期待してしまう。
今朝起きたら、監督の新作「散歩する侵略者」の追加キャストが発表されていて、前田あっちゃんの名前が!嬉しい!9/9公開。
「散歩する侵略者」、もとはイキウメという劇団の舞台で、その舞台をちょうど10年前、今は亡き青山円形劇場で観た。完成度の高い脚本だと思ったけれど、私はきっと舞台版より黒沢映画版のほうが好きなのではないかと予測。カンヌの反応も楽しみ。
飲食男女

GW前、台湾気分が盛り上がっていた頃に観た李安(アン・リー)の「飲食男女」。邦題は「恋する食卓」だったかな。料理上手な父親と娘たちの物語だと記憶の彼方にあって、再見すると実際そうだった。記憶以上に父親の料理は本格派で、後の流れで圓山大飯店のレストランの偉い人だと知る。東京に置き換えれば帝国ホテルの料理長のような位置づけ、という理解で合っているだろうか。
据え置きの大きな中華鍋、中華包丁、お玉で炒めものもスープも何から何まで作る合理的な台所と無駄のない手の動き、ダンスの振りつけのように美しい流れがあった。目が離せない。本格的、伝統的な中華を父親が作ってくれるのに、娘たちはもうそれぞれの人生の悲喜こもごもで慌ただしい。

冒頭数分にこの映画の魅力が濃縮されていて引き込まれる。そしてタイトルの出た瞬間のかっこよさ!李安の撮る台北は、エドワード・ヤンの台北ほどポエティックではない。どちらの台北にもどちらもの良さがある。次はどの台湾映画を観ようかな…。
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