Cinema Radio 28/ラジオはじめました

本日更新しました。と言っても記事ではなく…音声配信を始めます。題してCinema Radio 28。
ラジオを始める理由は28ほどあるけれど徐々に話していくことにして、コロナ禍を経験し、私にとって誰かとの会話は「生きているからこその愉しみ」と思いました。映画にまつわる会話であればなおさらのこと。不定期更新ですが長く続けます。楽しみにしていただけると幸いです。
■Cinema Radio 28とは?
WebマガジンCinema Studio 28 Tokyo主宰・辻本マリコが毎回ゲストを招き、「映画にまつわる28の質問」からゲストに数問選んでいただき、映画にまつわる人生の記憶や思い出、好みや妄想についてお話しを聞いていきます。

■第1回ゲスト
小栗誠史さん(会社員・広報担当)
https://www.instagram.com/oguri_masafumi/
トム・クルーズって/赤潮の日、鎌倉の古書店で/シャルロットはシャルロット/90年代アジア映画・フランス映画/HIP HOPとの出会い/自主映画出演?!/映画館、どこに座るか/謎めいたタイ系アメリカ人作家/文学と映画/紙のラジオ/Moon Riverは永遠のスタンダード
以下、右下の▶︎をクリックで聴けます。
SHIKI RADIOについてはこちら
https://www.instagram.com/takeuchishikiseisakusho/
One movie,One book
https://cinemastudio28.tokyo/onemovieonebook
Golden Penguin Award
https://cinemastudio28.tokyo/goldenpenguinaward
■聴きかた
◎このサイトから聴く
最新の放送回から順にアーカイブしています。▶︎をクリックで聴けます。
https://cinemastudio28.tokyo/cinemaradio28
◎stand.fmで聴く
<Webから>
stand.fm/Cinema Radio 28チャンネルより放送回の▶︎をクリックで聴けます。
https://stand.fm/channels/627530b7fd1be6fc4649d435
<アプリから>
アプリストア(AppStore / Google Play)よりアプリを無料ダウンロード、Cinema Radio 28を検索してください。
海外からもアプリ利用・聴取可能です。
■Music
オープニング・エンディングの音楽はジャズベーシスト・川本悠自さん演奏のMoon Riverです。
Youtube映像もムードたっぷりで素敵なので是非!
Moon River
川本悠自 Yuji Kawamoto Solo Bass Performance
Weekly28/はなればなれに/水無月

時間が経ち、2023年も半分が終了。
5月、横浜ジャック&ベティでエルンスト・ルビッチの話をした後、帰宅即入眠、明け方に目が覚めたのでtwitterを開くと追悼ジャン=リュック・ゴダール映画祭のトークゲストで以前、東京国際映画祭プログラミングディレクターをされていた矢田部吉彦さんの登壇を知り、チケットを予約した。
矢田部さんが「ゴダールについて語るという神をも恐れぬ行為」「ここ数日パニック」とtwitterで書かれており、数多の映画のQ&A司会やトークゲストとして登壇経験のある方でもゴダールは超緊張案件なのだな、と興味を持ったから。ルビッチ『生活の設計』を再見したばかりで男2・女1の三角関係の物語・ゴダール版を久しぶりに味わえるのも楽しみだった。

『はなればなれに』、B級映画っぽさがありゴダールの中でも好きなほうだったけれど、ある程度は価値観がアップデートされた令和の自分が観ると、パリの若者の無軌道な青春が輝いていようと、踊るアンナ・カリーナが無敵だろうと、ゴダール演出でとりわけ引っかかる女性の扱いの酷さにげんなりした。女性の身体に触れる何気ない動作が必要以上に暴力的でドキッとする。乱暴にモノを扱うみたい。次第に女性の心が離れていくと対話による歩み寄りを試みるでもなく、哲学書や思想本に答えを求めるように避難する男性ばかり出てくるように思う。
上映後のトーク、なんと矢田部さんお一人で登壇され滔々とゴダールについて語る!という回で、どれだけトークに慣れていようとこの形式・しかもゴダールは確かに超緊張案件だと思った。これまで聞いた上映後トークで同じ形式はずいぶん前、自作上映後に一人登壇し訥々と語る吉田喜重監督以来。ゴダールについて一人語りだなんて、人生において何があっても回避したいこと上位に入る。
矢田部さんのお話はゴダール自身の死について、ゴダールが生涯描いたテーマは「死」と「愛の不確実性」だったこと、アンナ・カリーナとの関係。ゴダールの人を人とも思わないような気まぐれさに振り回されたアンナ・カリーナが疲弊していき結婚生活は早くから破綻していたことなど。
『はなればなれに』に男に名前を聞かれたオディール(アンナ・カリーナ)が「モノ(Monod)よ。オディール・モノ(Odile Monod)」と答えると、男が「安売りスーパー(モノプリ:Monoprix)みたいだな」と冷たく返す場面があり、ちょっと嫌な感じ…何の意味?と考えていたら、ゴダールの実の母親の名前がオディール・モノだったと矢田部さん解説により知り、ゴダールの女性嫌悪の根深さに少しゾッとした。
古い映画を観る時、当時の歴史や文化を前提に描かれたことを念頭に置き、現在の価値観で好悪をジャッジしてはいけないと思うものの、映画は私にとってどこまでも娯楽だから、余暇の時間とお金を使って墨を飲むような気分になりたくない…と、せめぎあいの気持ち。

『はなればなれに』もしんどくなってしまった私の、記憶の中でのゴダール初期ベストは『アルファヴィル』で、再見する機会があってもしんどくならないことを願う。
<最近のこと>

夏越しの大祓も3年ぶりに神事が復活。茅の輪、無事くぐれたから無病息災が約束された。

水無月も無事食べ、ますます無病息災が約束された。東京で水無月を買える和菓子屋は少ないけれど、近所のつる瀬には売っていてありがたい。
6月30日、20年近く会っていなかった友人から連絡がきて再会。私がいろんな場所から書いていた日記を、友人もいろんな場所から楽しみに追いかけてくれていたようで嬉しかった。とりとめもないことでも書いて、公開して、続けておくものだなぁとしみじみ。

Weekly28/ピアノ&シネマ2023御礼/金澤文鳥

5月2日、横浜ジャック&ベティにて柳下美恵さんのピアノ&シネマ2023、上映後のトークゲストとして参加させていただきました。
終了後、(私と同じく)一番好きな監督はエルンスト・ルビッチ!という方に声をかけていただいたり(同志よ!)、温かい感想もいただき、貴重な機会をくださった柳下美恵さん、素敵な観客の皆さま、ジャック&ベティスタッフの皆さま、本当にありがとうございました!
上映前、ジャック&ベティの3階(バックヤード、映写室がある)に入らせていただいたのですが、貴重な映画資料が無造作にざくざく置かれていて、歴史ある映画館のかっこよさ満載で、何日でも居られそうな場所でした。
鑑賞したDプログラムを振り返り。
『磁石警察』(1902年)
19世紀にパリで人気を博したサーカス団・ビュイック座の組体操のような動きを撮ったコメディ。映画の誕生(1895年)から数年後のこんな超短編が120年経った現在も、遠い国で大事に上映されていることが素敵。
『キートンの即席百人芸』(1921年)
当時最先端の撮影技術を駆使しバスター・キートンが何役も演じ分け、多彩なキートンがスクリーンに同時存在する。1921年にこれを撮るなんて、気が遠くなるような緻密で複雑な撮影だっただろうと想像すると、メイキングを観たくなる。
バスター・キートンの顔ファン(顔が好き)なので、女性、老人、猿!といろんなキートン・コスプレを楽しめるし、目鼻立ちがくっきりした顔だからこそ何に扮してもキートンらしさが残るのが面白い。女性役を演じるメイクを施したキートン、坂本龍一にそっくりでは…?考えてみれば同じ系統の顔立ちかも。
『花嫁人形』(1919年)
ルビッチ!常に新しい発見がある映画で、トークのためしばらくオッシちゃんのことを考えていたせいか、上映中はオッシちゃん以外のことを考えていた。
・ルビッチは俳優出身で、映画監督になってからも演出は言葉で伝えるのではなく自分で見本を演じてみせたと読んだので、あのキュートな馬の演技もルビッチが演じてみせたのかな。馬たち、ちょっとした脚の曲げ方が表情豊か。
・女嫌いの男性が遺産相続のため結婚の必要に迫られ考えたアイディアが「人形と結婚する」こと。1919年、「女嫌い」はどう表現されるの?とインサートの字幕を読むとmisogynist とあり、こんなケースで使う単語なのか。今ならmisogynist と一括りにせず、表現のバリエーションがありそうだけれど。
・『花嫁人形』はギリシャ神話『ピグマリオン』にヒントを得た創作で、脚本はルビッチ。元ネタがあるにせよ、男女が結婚することが当然の前提として展開する物語が多い時代の映画において、女性が苦手で結婚を強要されてしんどい登場人物なんて斬新で、ルビッチ、つくづくモダーンな人と思う。
・ルビッチ映画についてのレビューに、ゴージャスな映画だが不倫ものは観ていてしんどくなると書かれているものが時々あり、遠い昔につくられたフィクションだとしても観る側の感覚は日々変化しているから、そんな感想を抱くのも自由と思う。そして結婚する/しない、異性と/同性と、三次元とは限らない/二次元かも?などパートナーシップの多様化や、誰かのパートナーシップ形成への他者の介入を良しとしない傾向が進む中、いずれ『花嫁人形』も、女性嫌いな男性に金銭を条件に結婚を強要するなんて個が尊重されていない、観ていてしんどいって感想を抱く人が増えてくるのかもしれない。
・そうなると何かと「そろそろだね」「もうそろそろだよ」と若い女性が婚姻を手配されがちな小津映画なんて大半が観ていてしんどいカテゴリーに入る未来がくるのかな。
・数年前だけれど愛の対象や形は様々で、誰も愛してなくても良い現代なら『花嫁人形』の彼も生きやすいのでは?と思いながら読んだ記事がこちら。
批判もあったが「勇気付けられた」 初音ミクさんとの“本気の挙式”を終えて
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1811/21/news031.html
トーク中に紹介させていただいた、私がルビッチにハマるきっかけになった、ジャン・コクトーが内装を手掛けたパリの映画館 Studio28 の写真を発掘しました。2007年撮影のため、現在は少し変わっているかもしれません。
モンマルトル、メトロ Blancheが最寄り。ジャン・ジュネの映画『アメリ』で有名になった界隈にある。

BAR&JARDIN Accès Libreとあり映画を観なくても、併設のバーと庭には自由に入れる。

エントランス。モノクロ時代のフランス映画で、このエントランスがちらっと映るシーンがあったけれど、思い出せない…。ロメールだったか、ユスターシュだったか。

その日の上映作品紹介。当時、ジェーン・バーキン監督『Boxes』が封切りだった。

エントランス内側にあるジャン・コクトーのサイン。

チケットを買い、上映待ちのロビーの風景。1928年オープンの歴史ある映画館だから、ロビーの壁が写真や資料で映画博物館のよう。

スクリーンは1つだけで、内装はドリーミー!壁と天井が紫、緞帳と椅子が赤、キノコのシャンデリア!私が観た『ウィンダミア夫人の扇』も20年代につくられたもの同士、場の雰囲気に合っていたけれど、非現実的な内装だから『花嫁人形』もすごく似合いそう。

庭は白い天幕のような布がかかっていて、フランスの映画スターがたくさん!

テーブルも俳優の写真のコラージュ。メニューはフィルム缶に貼ってある。当時は映画館とバーをスタッフが兼任していて、声をかけると飲み物を持ってきてくれた。
https://www.cinema-studio28.fr/
【最近のこと】

ジャック&ベティ、川畑あずささんデザインの黄色いポスターがあちこちに貼られていて、パッと目を惹く鮮やかさで素敵でした。
川畑あずささんはCinema Studio 28 Tokyo のデザイン担当。このサイトのすべてのデザインを手掛けていただいています。
あずささんにいただいた金沢土産の金澤文鳥(文鳥パッケージの羊羹)、めちゃくちゃ可愛い。鳥類の親近感でうちのペンギンズも色めきたっている。instagramで#金澤文鳥 で検索すると、金澤文鳥とリアルな文鳥を一緒に撮っている写真がたくさんあって眼福でした。


Weekly28/ルビッチ予習復習/Weekly28ロゴ

ゴールデンウィーク!
ここのところ強烈な寒暖差・気圧差に身体をやられ気味で、今朝ようやく復調してきたところ。新緑の季節、楽しむ!
下の投稿でお知らせした横浜ジャック&ベティのイベントに向け、エルンスト・ルビッチ予習復習のため、Amazon Prime Videoで数本鑑賞。ゴロゴロ寝転びながらルビッチを観られるなんて便利な時代になったものですね!と令和の映画好きの特権を享受しながらも、やっぱりルビッチは映画館のスクリーンで観てこそ、独特のルビッチ・オーラを堪能できるものだなぁ、とも思いました。
けれど未知の監督だけれど、ちょっと観てみたいという方には気軽にトライできる配信サービスは有り難いもの。私が観た数本について、メモを残してみます。それぞれ、タイトルをクリックするとAmazonリンクに飛びます。
互いのものを盗み合う泥棒仲間のガストンとリリーは、パリで化粧品会社を経営する女社長マリエットに取り入って彼女の財産を盗むが、ガストンに恋心を抱くマリエットは彼らの正体を知ったうえで逃がすのだった。
もし人生最後の映画を選べるなら『極楽特急』でお願いします、と長らく思ってます。オープニングに流れる主題歌はメロディも歌詞も素敵だから葬儀で流してほしいです(遺言)。うっとりする衣装、粋で軽快なコメディ、幸せなエンディング。ルビッチ俳優の中で最推しであるハーバート・マーシャルが主演であることもポイント高い。ハーバート・マーシャル、お顔だけ見ると彼より男前はたくさんいるだろうけれど、立ち居振舞いの美しさにおいて、これほどルビッチの世界に似合う人がいるでしょうか。『極楽特急』は2人の女性に挟まれ困り顔、下がり眉ハーバートをたっぷり堪能できる。
英国の外交官の妻マリアは、多忙の夫の目を盗んでパリに遊びに行き、魅力的な英国紳士アンソニーと知り合う。ところが、彼が夫の知り合いだったことから気まずい三角関係が始まるのだった。「生活の設計」に続く、ひとりの女と2人の男の奇妙な恋愛模様が見所。
マレーネ・ディートリッヒが唯一出演したルビッチ映画。先に『極楽特急』を見直してみてガストン(ハーバート・マーシャル)は素敵だけれど、女社長マリエット(ケイ・フランシス)の人物造形が隙だらけな点が気になり、泥棒が付け入るための隙と思えば違和感ないものの、旦那が遺した会社を継いだものの経営のことは何もわかりませーん!の態度のアホっぽさが若干引っかかり、その後『天使』を観るとディートリッヒ演じるマリアの格好いいこと!大人!惚れる!と人生最後の映画は『天使』かも?と翻意しそうになったものの、どこまでも大人の艶を感じさせる演出が最後まで続き、こんなの人生最後に観てしまうと、いつか『天使』のような大人になりたかったのに、憧れただけで自分の人生が終わってしまう…と打ち拉がれそうだから、やっぱり『極楽特急』に限るな、と心を戻した。
限りなく生活感のないディートリッヒ、他の監督の映画では孤高の女として描かれがちなところ、『天使』では、たくさんの可愛らしい表情を楽しむことができる。物語としてはディートリッヒを巡る男ふたり(夫/夫の古い友人)との三角関係だけれど、夫を演じるハーバート・マーシャルの優美さといったら『極楽特急』以上なものだから、ふたりのどっちを選ぶって?夫に決まってるでしょ!愚問ですね!以上!という気持ちになることだけが難点。
列車の中で知り合った画家のジョージと劇作家のトム、広告代理店に勤務する美人ジルダは、お互いに性的感情は抱かぬという紳士協定に従って同居生活に入るのだが…。コミカルな三角関係がルビッチ得意の洗練されたユーモアと共に展開する。
男性ふたり、女性ひとりの三角関係の設定が後にヌーベル・ヴァーグにも影響を与えたと言われている映画で、例えばゴダール『女は女である』やトリュフォー『突然炎のごとく』が該当するのかな。揺れる関係の力学という点では確かにそうかもしれないけれど、『生活の設計』のジルダという女は、アンナ・カリーナやジャンヌ・モローが演じた彼女たちより、ずっと以前に誕生していた、ずっと先進的な女ではなかろうか。「紳士協定」のキラーワードを都合よく使いこなし、自分で決めた掟をあっさり破る感情に素直な女。芸術の母でありたいと男を煽り、結果として確かに芸術の母になる女。何も要求しないのに、すべてを手に入れる女。それでいてコケティッシュで憎めない女。絶世の美女!運命の女!というムードのないミリアム・ホプキンスが演じるからこそ、ジルダという女の軽やかさが際立っている。
ジルダがあまりにモダーンな女で、「紳士協定」の重要要素である「ノー・セックス!」のセリフが何度か登場するので、未婚の女が発する言葉として1932年にはあまりに過激ではないか?と思ったけれど、ハリウッドのヘイズ・コードができたのは1934年だから、この映画はギリギリセーフだったのかな。
他にも数本観たけれど、長くなりそうなので、ひとまずこのあたりで。ルビッチらしさを堪能できる3本として、ルビッチ未見の皆さまにもおすすめです。
ジャック&ベティでの上映、詳細はこちら
https://www.jackandbetty.net/cinema/detail/3150/

diaryを毎日更新することは現在なかなか難しいけれど、せめて週に一度は記録がてら書こう!の意気込みのもと、昨年からWeelky28と称しながらも、なかなかの気まぐれな頻度の更新っぷりだけれど、デザイナー・あずささんにお願いしていたWeekly28のロゴが完成し、めちゃくちゃ可愛いので、このロゴを使いたくて更新頻度が増えそうです。映画館にいるペンギンズ…!!
今年に入ってから観たものの書いていない映画についても、振り返って記録していこうと思っています。
5月は、『TAR/ター』が楽しみ…!
【お知らせ】柳下美恵のピアノ&シネマ2023


お知らせです!
4/29〜5/12の2週間に渡り、横浜シネマジャック&ベティで開催される『柳下美恵のピアノ&シネマ 2023』、4プログラム9作品の中のDプログラム(バスター・キートン『キートンの即席百人芸』、エルンスト・ルビッチ『花嫁人形』)の5/2(火)上映後のトークに登壇させていただきます。
映画について人前で話すことに慣れていないけれど、なにしろ!最愛の!エルンスト・ルビッチ!のためなら!という気持ちです。
どんな人生を生きる人でも、自分がのびのびといられて、自分も気づかなかった魅力を引き出してくれる相手との出会いは貴重なもの。監督エルンスト・ルビッチ&主演オッシ・オズヴァルダの組み合わせは、わぁ!ふたりが出会えて良かった!とウキウキする多幸感に溢れています。とりわけ『花嫁人形』は100年後の観客すらニッコニコにさせる会心の一撃。冒頭からあまりのオシャレさとキュートさに打ちのめされることでしょう。
素敵なチラシは28のデザイナー・川畑あずささんによるもの。Dプログラム、ルビッチの名前の下に自分の名前があるのを見て、きゃあああああ推しの名前の下に私が….なんと尊い…と高揚しました。
そんなわけでGW、横浜で!詳細はこちらです。
https://www.jackandbetty.net/cinema/detail/3150/
Weekly28/Cine-Piano/兎

週末、サイレント映画ピアニスト柳下美恵さんの上映会に伺いました。
会場は川崎市アートセンター アルテリオ小劇場。新百合ヶ丘駅から徒歩数分。川崎市に足を踏み入れるの、ずいぶん久しぶり…。こちらのイベント。午後のオトナの部。
https://kawasaki-ac.jp/th/theater/detail.php?id=000481

しっかり傾斜のある座席で、スクリーンも大きく、鑑賞しやすい会場でありがたい。

最初はアリス・ギイ監督の短編作品集。アリス・ギイはゴーモン社のタイピスト・社長秘書として働くうち、リュミエール兄弟のシネマトグラフ上映を社長と観て、私ならもっと面白いものを撮れる!と主張。かくして世界初の女性監督が誕生!というユニークな経歴の人で、フランス・アメリカで活躍し生涯で撮った映画の数なんと1000本…。数分程度の超短編も多く含まれているそうだけれど、それにしても、なパワフルさ。
今回観た中では『ビュット=ショーモン撮影所でフォノセーヌを撮るアリス・ギイ』(1907年/2分)は、この時代の映画で、私は初めて観る「メイキング動画」で、こんな映像が現存しているなんて、と新鮮な驚き。撮影風景の絵画のようなエレガントさも素晴らしく、映画最初期のクラシカルさが好きなのだけれど、時代の風俗や服装がフィクションに反映されるのだから、撮る側の人たちも映画の中身同様にクラシカルなのだよな、と当たり前のことを再確認した。
そして『フェミニズムの結果』(1906年/8分)。フェミニズムの活動・主張の結果として、女性が男性的な役割を獲得し、男性が女性の役割を担う様子が描かれており、ちょうど今、NHKドラマ版を観ていることもあって、男女反転した大奥を描くよしながふみ版『大奥』の1900年代・フランス庶民バージョンのような映画で驚いた。権威的に振る舞う女性たちがカフェで談笑し、女性を支える役割の男性が育児や家事にいそしむ描写や、ジャケットとスカートのセットアップ、帽子までは女性の装いとして不自然ではないけれど、そこにネクタイとステッキを加えることで「男性的な役割を獲得した女性」を衣装で表現しているのが興味深い。
アリス・ギイ、世界初の女性監督という物珍しさに加えて、その立ち位置を存分に活用した批評性もしっかりあって面白い。なんというか、さすがリュミエールを観て、私ならもっと面白いの作れるけど!ってばんばん行動に移していくような本人のキャラクターがしっかり作品に滲み出ている。
後半は待望のエルンスト・ルビッチ『花嫁人形』(1919年)。何度も観ている映画だけれど、演奏つきで観るのは初めて。今回は柳下さんのピアノに加え、フルート、ヴァイオリンも加えたトリオ演奏での上映で、トリオならではの音の厚みや、声も使った(ニワトリの声!)演奏で、ただでさえ楽しい『花嫁人形』が、さらに楽しいものになっていた。
『花嫁人形』、ルビッチのドイツ時代のミューズとも言えるオッシ・オスヴァルダが主演で、久しぶりにオッシにスクリーンで再会できた喜びで胸がいっぱいになったけれど、改めてまじまじと観ると、その表情や間合い、なんと素晴らしい喜劇人であることよ。ルビッチとの相性はもちろん、オッシであれば吉本新喜劇であっても、現代のコントであってもすんなり馴染みそうなコメディ基礎体力の高さ。作られてから1世紀以上経つのに、上映中ずっと笑いが溢れていて、笑いにも流行があるけれど、これほど普遍的な笑いもあるのだな。
ルビッチとオッシのコンビでは『男になったら』も大好きなので、ルビッチの『男になったら』と、アリス・ギイ『フェミニズムの結果』の併映も観てみたい。男性/女性監督それぞれが描く女性が男性に・男性の役割になったら、の物語、見比べると面白そう。
<最近のこと>

コロナ禍の年始の過ごし方として、なけなしのお正月気分を味わうために楽しみにしていた東京国立博物館での恒例イベント「博物館で初もうで」。今年は会期ギリギリに駆け込みました。
https://www.tnm.jp/modules/r_event/index.php?controller=past_dtl&cid=5&id=10799
ドヤ顔っぽい表情の伊万里焼の兎を楽しみに行き、実物のドヤ感も可愛かったのだけれど、びっくりしたのはこちらのうさ耳の兜!

江戸時代・17世紀のもので「左右には兎の耳を模した脇立を付け、背面には𩊱の上端を波形にしています。兎は動きが素早く多産であることから、戦国武将にも好まれました」のキャプションがついていたけれど、戦場でこんな可愛い兜を身に着けた武将を見たら、戦闘意欲が減退して、まぁ…仲良くしようや?って停戦気分になってしまいそう。
Weekly28/祇園会館/1月

あっという間に1月も終わるので、滑り込みで記録を書いてます。
2023年、劇場初めは映画館ではなく、お笑いの寄席で。東京に戻る前に寄ったよしもと祇園花月。八坂神社の斜め向かいあたりにある古い建物・祇園会館の中にあり、学生時代、ここが名画座だった頃によく通っていた。2本立てで出入り自由の緩い運営だった。
時は流れて、ものすごく久しぶりに祇園会館の中に入ったのだけれど、これがもう….何ひとつ昔と変わっておらず、変わらなさに薄ら怖さすら感じた。不思議な柄の緞帳も客席のシートも、今どき和式のトイレすら、何も変わっていない。
時空が歪むとはこのこと。去年の秋、東京国際映画祭で久しぶりに上映されたツァイ・ミンリャンの『楽日』を観たのだけれど、あの映画の中の映画館に迷いこんだようだった。祇園会館は座席数も多い、巨大なホールであることも『楽日』そのものなんである。
『楽日』
https://2022.tiff-jp.net/ja/lineup/film/3504WFC14
翠子さんのこの回を読んで、また観たいと思っていた
https://cinemastudio28.tokyo/kumonouede_001

お正月らしく人気の芸人ばかり出てくる寄席で、笑いながらもずっとぞわぞわした。そういえば有楽町の有楽座も、映画館だったのが現在はよしもと有楽町シアターとしてお笑いの劇場になった。よしもと祇園花月も、よしもと有楽町シアターも、内装を何ひとつ触らず(=お金をかけず)陣地拡大するかのように劇場を増やしていくのは、さすが吉本興業の抜け目なさだけれど、どちらの劇場も出演する芸人さんたちが「客席の笑いが舞台に聞こえづらい」「会場が重い」と、やりづらさを口にするのをよく聞く。
これって劇場の構造がそもそも映画用(祇園会館は祇園踊りの会場でもあるので、踊りの発表用でもある)…つまり客席の反応次第で演目・出し物が可変する可能性が低い/ない見世物向きの劇場であって、映画のような複製芸術にはぴったりだけれど、お笑いのような客席とのやりとりによって漫才のネタが変化したり調整したりするような見世物には向いてない、ということなのかな。
在りし日(映画館時代)の祇園会館についてはこちら。映画上映は2012年3月で終了。
http://www.cinema-st.com/classic/c014.html
<最近のこと>

実に3年ぶりに帰省。初詣は春日大社。敷地は広いけれど境内は広くなく、コロナ禍の入場規制でなかなかの時間待った。

鹿たちも元気で何よりです!心なしか子鹿ちゃんがたくさんいたように思うけれど、観光客が減ってのんびり過ごした結果、たくさん子鹿が生まれた、などかしら。
【about】
Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom
【search】
【archives】
【recent 28 posts】
- 1900s (3)
- 1910s (5)
- 1920s (10)
- 1930s (26)
- 1940s (18)
- 1950s (23)
- 1960s (58)
- 1970s (14)
- 1980s (40)
- 1990s (46)
- 2000s (37)
- 2010s (240)
- 2020s (28)
- Art (30)
- Beijing (6)
- Best Movies (5)
- Book (47)
- Cinema (2)
- Cinema award (17)
- Cinema book (58)
- Cinema event (99)
- Cinema goods (15)
- Cinema history (2)
- Cinema memo (127)
- Cinema Radio 28 (8)
- Cinema Studio 28 Tokyo (92)
- Cinema tote (1)
- Cinema Tote Project (1)
- Cinema trip (43)
- cinemaortokjyo (2)
- cinemaortokyo (100)
- Drama (3)
- Fashion (40)
- Food (65)
- France (15)
- Golden Penguiin Award (11)
- Hakodate (6)
- Hokkaido (3)
- HongKong (3)
- iPhone diary (1)
- journa (1)
- Journal (248)
- Kamakura (1)
- Kobe (1)
- Kyoto (18)
- Macau (2)
- memorandom (4)
- Movie theater (212)
- Music (43)
- Nara (15)
- Netflix (3)
- Osaka (2)
- Paris (13)
- Penguin (16)
- Sapporo (3)
- Singapore (1)
- Taiwan (47)
- TIFF (24)
- Tokyo (358)
- Tokyo Filmex (14)
- Weekly28 (10)
- Yakushima (3)
- Yamagata (11)
- YIDFF (6)
- Yokohama (5)
- Youtube (1)
