3つめの28

先日、届いた小包。ロシアから。何一つ読めない…。この切手は?と思えば、今年のW杯、ロシア開催だったね。見知らぬあなた、タイムリーな切手をありがとう。

中身は28!!
2年前、Cinema Studio 28 Tokyo開館のお祝いに、パリ在住の親友が探して贈ってくれた一番上の28は、40〜50年代フランス製。それから自ら28を探し(主にネットの海に潜り)去年、1周年のお祝いに手に入れた真ん中の28、60年代ドイツ製。
そして今年、2周年のお祝いに探しあてロシアから届いたのが一番下、80年代ソヴィエト連邦製。並べてみるとデザインにお国柄があらわれてる。一番新しいはずのソ連製の重厚感よ。ここに届くまで、どの街のどんな場所に使われてたんだろうか。
Cinema Studio 28 Tokyo、何年目だっけ…?と思った際には、ぱっと壁を見ると、28の数がそれをあらわしており、実用的。
3年目に突入したCinema Studio 28 Tokyo、年明けには新たな連載がスタートする予定です。
Cinema Studio 28 Tokyo 2周年

Cinema Studio 28 Tokyoは、インターネットを漂う、
東京にあるらしい、あるかもしれない映画館
12月28日、映画の誕生日に生まれたCinema Studio 28 Tokyoは2周年を迎えました。
勢いよくスタートした1年目に比べ、
2年目は想定外のことが多々あり、スムーズに更新できず歯がゆい年となりましたが
だからこそ、混沌とした日常から映画館に逃げこみ観た映画の煌めきに救われることも多く、
映画という存在の新たな魅力を発見した年でもありました。
今年スタートした連載「雲の上で踊る」を執筆いただいている翠子さんの旦那さまは、
雲の上にある焙煎所「翠光ハイツ」で珈琲を焙煎していらっしゃいます。
2周年を記念し、
”imaginary movie theater blend” あるかもしれない映画館の珈琲
を作っていただきました、の図。
あるかもしれない映画館には、こんな珈琲が飲める一角があって、
珈琲を楽しみに集う観客もいるのでしょう。
きっと、あるかもしれない映画館っぽい味がするのです。
翠光ハイツ
(本当に雲の上にある!綴られる文章もさりげなく味があって何度も読んでしまいます)
http://suikoheights.tumblr.com/
3年目も引き続き、慌ただしい生活の隙間に、あなたの好きな映画館に向かうように、
遊びに来ていただければ嬉しいです。
台北暮色

渋谷にて、『台北暮色』。この映画の存在を知ったのは、去年の台北映画祭でもらった映画祭ガイド。時間が合わなくて観られず。その年のフィルメックスで『ジョニーは行方不明』のタイトルで上映された時も見逃し、先日『白夜』を観に行ったユーロスペースに貼られたポスターでようやく、見逃したあの映画に『台北暮色』と新たな名前が与えられ、公開中と知った。
http://apeople.world/taipeiboshoku/

台北という街の魅力は形容しづらい。古さと新しさの融合、様々な国や民族の様式が混じる、アジアの都会、迷路のような路地、親切な人々…そんな街は他にもあるけれど、すべての配合が絶妙、ということだろうか。
ヒロインの携帯電話に頻繁にかかってくるジョニー宛ての電話。一人から何度もではなく、複数の人物から頻繁にかかる。ある時はジョニーの誕生日を祝うべく電話の向こうで歌まで歌われる。ヒロインが受け、かける電話は、煮え切らない男や、離れた家族とのもので、電話で話す時のヒロインはどこか緊張しているのに、関係のないジョニー宛ての電話は不思議と声色も明るく、楽しそう。
台北、見知らぬ人物からの電話となると『恐怖分子』を連想するけれど、私が台北に滞在した時、台湾のSIMを挿した携帯に頻繁に間違い電話がかかってきた。同じ人物からの電話が、数時間置きに何度もかかる。煩わしくなった私はついに電話に出て、かけ間違いです、私は日本人旅行客ですよ?と繰り返して理解してもらったけれど、徐々に見知らぬジョニーに愛着が湧いた様子のヒロインの、かけ間違いです、の口調が柔らかくなってゆくのを観て、私もあんなふうに優しく話すべきだったのかもしれない、と思った。台湾の電話番号割り振りルールがおおらかなのか、間違い電話、案外よくある話なのだろうか。
侯孝賢の弟子筋である黃熙(ホアン・シー)監督の第1作。エドワード・ヤンの映画に出ていた柯宇綸や、張国柱が登場し、音楽は林強!と、先達の遺伝子も感じられ、映画祭のガイドブックには現代版『ミレニアム・マンボ』と書かれていた。確かに共通要素は多いけれど、儚げな中華美人のスー・チーに比べ、『台北暮色』のヒロイン、リマ・ジダンの台北を歩き走る、野生動物のような、動くたびピッと筋肉の存在を感じさせる身体が、この映画を現代のものにしている。人の間や都市を漂うだけではなく、意志のもとに鍛えないとあの身体は獲得できず、よる辺のない境遇のヒロインに筋の通った強さを与えている。リマ・ジダンが画面を動くたび見惚れた。
ヒロインと交差する人物たちのエピソードがスケッチのように描かれるが、どれも着地しない。地下鉄でかけた電話に、折り返しがくるかは描かれない。最後まで映画を見守ると、オレンジ色に照らされた街に車のランプが乳白色に光り、ああ台北の夕方は確かにこんな色だった、昼と夜の間をあんな色の光が包んでくれる街ならば、白でも黒でもない今日も、ただ生きていけるかもしれない。台北の魅力は、夕方なのだった。『台北暮色』、いいタイトルだな。
都内某所

毎日日記を書く生活に戻るためのリハビリ。
都内某所、オフィスが入ってるビル、長らく続いていた大改装が終わり、出来上がってみるとなんともどのジャンルにも属していなさそうなファンタジック、ちょっとレトロ、でもモダーン、謎の異国感の漂う内装に変化を遂げていた。ウェス・アンダーソン好きの友達に、好きかな?と写真を送ると熱狂してオフィス訪問を熱望された。確かにウェス映画ごっこが捗る雰囲気。

マイ・フェイバリット・ウェス・アンダーソンは
『ムーンライズ・キングダム』、揺るぎなく。
journal

いよいよ今年も残り1週間を切った。
映画納め、映画初めの映画も決まりつつある中、何か物足りない感が漂うのは何故…と考えてみれば、今年はルビッチを映画館で1本も観ていないのでは…? これは由々しき事態。観たいよー!と調べてみたものの、かけてくれる名画座もなさそう。術もなく、youtubeで『極楽特急』の欠片を拾う、の図。あと、Herbert Marshallって画像検索して目の保養をした。が、ルビッチ不足である。
映画納めは、『アタラント号』にする予定。
http://www.ivc-tokyo.co.jp/vigo/
真っ赤な星

テアトル新宿で。『真っ赤な星』は11月、完成披露上映会で鑑賞。この映画は、タイトルが決まる前からずいぶん長く存在を知って楽しみにしていた。
井樫彩監督の名前は、なら国際映画祭で偶然観た『溶ける』で知った。靴を脱いで上がってパイプ椅子に座るような公民館スタイルの上映で観たのだけれど、『溶ける』に圧倒され、これ撮ったのってどんな人なんだろう?って思っていたら、恥ずかしそうに監督が登場し、しかしニコニコしているだけで映画についても自分についてもほとんど何も喋らず、何も喋らなかったことで、ますます興味が沸いた。最終日、授賞式で『溶ける』は賞を獲ったけれど、やっぱり監督はほとんど喋らなかった。誰もが自分のことを喋りすぎる21世紀に、興味だけ掻き立てて去って行った人だった。
名前を覚えて、新作は必ず観よう!と心に誓い、その新作が『真っ赤な星』。
耳障りの良い言葉を選べば緑豊かな、選ばなければ何もない、と形容されそうな地方の街に暮らすふたりの女性の物語。今時そんな悲惨な現実はあるのだろうか…と訝しくも、きっとあるのだろうな、と同時に思わせる、周りの誰もが彼女たちに優しくない場所で、八方塞がりの日々を送る。徐々に気が重くなってくる物語だったけれど、辛くなる直前にすっと差し込まれる空や星、見晴らしのいい高台からの景色、朝焼け…彼女たちがいる景色があまりに鮮やかに切り取られていて、地獄のように思える地上も、俯瞰で見れば天国みたいな、綺麗なところだなぁ、と観終わって時間が経過すると、とても美しい映画を観たと思えたから不思議。『溶ける』を観た時にも確か、そんなことを思った。
台詞や音楽に頼らず、沈黙を恐れず、映画という表現と観客をスパッと信じてそうな、肝の据わりっぷり。井樫彩監督、現在22歳。映画を撮った時はもっと若かったはずで、年齢と表現の成熟にどれぐらい相関があるのかはわからないけれど、信じられなくて、監督いくつだっけ?人生何回目よ?ってプロフィールを二度見したくなる感じ。

完成披露だったので上映前に挨拶があり、ふわふわ動く真っ赤な星の風船と戯れて、やっぱり殆ど何も喋らなかった監督は右端の女性です。公開前後、いくつかのwebにインタビューが公開されているのをちらっと見かけたけれど、映画だけを観て、どういう人なんだろうな…?って考えているほうが楽しい気がして、ほとんど読んでいない。
2年前の夏、ある書店であったイベントに参加することになり、映画にまつわるアイテムを出品したところ、ほとんどお買い上げいただき、いくばくかの利益を得ることとなったのですが、そのお金は映画のために使うべきでは?と考え、使わずにキープしていたところ、井樫彩監督が新作を撮る、クラウドファウンディングで支援を募っているとの情報を得て、微々たる金額ながら、参加してみることにしました。
クラウドファウンディングのリターンとして『真っ赤な星』のサイトにも、映画のエンドロールにも、Special ThanksとしてCinema Studio 28 Tokyoの名前を載せていただいています。
東京での公開はもうすぐ終わる?ようですが来年以降、あちこちの街で公開が決まっているようなので、ご興味の方、新しい監督の映画を観てみたいというみなさま、是非に。
数あるクラウドファウンディングの中から、井樫彩監督の映画を選んだのは、『溶ける』を観たのが、なら国際映画祭だったからという理由があると思います。『溶ける』は地方に暮らす女子高生の物語。自分の居る場所がつまらなくて息が詰まって、どこかに行きたくてしょうがない。観終わった後、ぼぅっとして外に出てコーヒーを買い、池のほとりのベンチで飲んで顔を上げると、興福寺の五重塔が見えて、絵葉書そのものの、嘘みたいに整った視界だった。奈良は私の地元で、あの子のように、つまらなくて息が詰まって、どこかに行きたくてしょうがなかったけれど、こんな景色、他にどこにあるのかしら、世界中探したって奈良にしかないのにね、と可笑しな気分になったところで『溶ける』が一気に身体に染みてしまって、だから井樫彩監督は、私にとって特別な監督なのです。
正しい日 間違えた日

先週、早稲田松竹で。
ホン・サンス特集『クレアのカメラ』と『正しい日 間違えた日』を。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/2018/hongsangsoo.html
『正しい日 間違えた日』は、東京国際映画祭でずいぶん前に観て以来。夏の公開時、この映画だけ見逃した。映画祭では確か、『今は正しくあの時は間違い』のタイトルで上映されていた。偶然出会った男女が、ほんの少しの言葉や感情の掛け違いで異なる結末に至るシミュレーションゲームのような2部構成。前半は「あの時は正しく、今は間違い」、後半は「今は正しく、あの時は間違い」とハングルでタイトルが挿入される。映画祭のタイトルだと、後半の筋書きを正解のように肯定しまうから、敢えて中立的な『正しい日 間違えた日』のタイトルがロードショーでは採用されたのかな、と想像した。
キム・ミニとホン・サンスの出会いの映画でもあるらしい。その後、何本も続く2人の映画の中でどのキム・ミニもそれぞれ違ってどれも素晴らしいけれど、『正しい日 間違えた日』の、特に前半部分のキム・ミニは最強なんである。膝上丈のカジュアルなニットワンピースにタイツにスニーカー、モッズコート、化粧っ気のない顔に無造作な髪。手ぶら。何ひとつ作りこんだ要素はなく、極上の素材そのままで、なんだかわけのわからない、後光の射すような魅力を放っている。そんなキム・ミニと一緒に飲んでいる気分を味わえてしまう寿司店のカウンターの場面の擬似恋愛っぽさ。触れなば落ちん、の距離にいるのに、同時に永遠に手に入らなさそうな、関係や感情に決定的な名前を与えてしまう前の、ふわふわと刹那的な恋っぽい何か、の化身としてキム・ミニが映っていた。
と、キム・ミニにすっかりやられてしまうけれど、相手役のチョン・ジェヨン氏の酔っ払い演技も真に迫って見応えがあった。けれど先日、東京フィルメックスでホン・サンス映画常連の俳優が登壇し、「ホン・サンスの映画といえばお酒を飲むシーンですが、あれは、実際に飲んでいます」と語っていたのを思い出し、チョン・ジェヨン氏の見事な酔っ払い演技も、ただ本当に酔っ払っていたのかもしれない、と想像すると楽しい気分になった。
http://crest-inter.co.jp/tadashiihi/
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