台湾シンクロ
映画祭が始まるので?身だしなみを整えるべく、仕事帰りに美容院へ。渡された雑誌をずっと読み、ふと顔を上げると、鏡に窓の外の夜空とネオンが写っていた。あ、視界が「台北ストーリー」みたい。1985年の台北では富士フィルムの、2017年の銀座ではHaierのネオンが夜空に。やがてみんなフィルムで映画も写真も撮らなくなるって、中国の家電メーカーのネオンが銀座に輝く日が来るって、1985年には誰も思いもよらなかっただろう。
ネオンのシーンを確認するために、買ったまま積んであった「台北ストーリー」のパンフレットをめくったら、最後に主演の侯孝賢と、共同脚本の朱天文の対談が掲載されており、台湾ニューシネマの始まりの頃、(エドワード・ヤンも含め)いつも一緒にいては映画の話をしたという侯孝賢の言葉の次に、朱天文が、私たちはよく”明星珈琲館”というカフェでいろんな映画の話や企画の話をしました。そしてヤンさんの家で多くの外国映画を観ました。と語っていた。
明星珈琲館、台北の老舗ロシアカフェ。昨日の日記に書いたばかりという台湾シンクロ。エドワード・ヤン的スポットでもあったらしい。珈琲とお菓子をオーダーしただけなので、次に行ったら食事しようと思う。
Home Movie Day 2017
毎年10月の第3土曜といえば、ホームムービーの日。世界のあちこちで、かつて誰かが撮ったホームムービーが上映される会が同時開催される日。以前、フィルムセンターで開催された時に観たことがあり、和やかで楽しかったので、参加の機会を伺っており、今年は地元で観ることに。ずっと雨も降ってるし、台風も近づいてるし、歩いて行ける会場で観られるの、嬉しい。
会場は根津教会。
「聖なる夜の上映会」が開催された時も、立川流の教会寄席でも入ったことのある根津教会。この教会の雰囲気が好きで、入る機会を虎視眈々と狙ってます。1919年(大正8年)に建てられた木造建築。
スクリーンの後ろには十字架。根津映画倶楽部の運営による上映。プログラムは、
〇信州花散歩 高遠から小諸まで 1986年4月19,20日/シングル8/カラー/無声/約11分
〇大阪一家・8月の孫達 1975年8月/シングル8/カラー/無声/約10分30秒 (一部1980年3月)
〇竹翠荘建築 基礎造からコンクリ打ち上げまで 1971年6月~/スーパー8/カラー/無声/約4分30秒
〇もちつきおどり 1966年頃 春/スーパー8/カラー/無声/約8分30秒
〇(マレーシアのジャングルを小舟で往く) 撮影年不明/スーパー8/カラー/無声/約10分30秒
〇御祭礼 1959年9月11日/レギュラー8/白黒/無声/約11分15秒
〇島の生活 八丈島の記録 1931年7月/16ミリ(撮影は9.5ミリ)/白黒/無声/約10分
の豪華7本!楽しいのは、フィルムを提供した方が会場にいらして、観ながらホームムービーを解説してくださること。撮っているのは私の父で、映っているのは1歳半の私で…などなど。写真を撮るように記録される見知らぬ誰かのかつての旅。おじいちゃんが撮る孫が遊ぶ姿。上映される地域で撮られたホームムービーもあり、「御祭礼」は根津神社のお祭りで不忍通りが映っているけれど、1959年当時、電車が走っており「電車通り」と呼ばれていたことなど、解説していただいて初めて知った。「竹翠荘建築 基礎造からコンクリ打ち上げまで 」は本郷のお蕎麦屋さんの裏手に今もある建物を建てた時の映像で、あ、あの角の蕎麦屋さんのね!と地元住民ならではの土地勘を働かせ、当時と現在のギャップに驚きつつ、アットホームな上映を堪能。フィルムサイズに合わせて、映写機は3台を使い分けて上映された。川越の「もちつきおどり」のアクロバティックさには圧倒されたわ…。
観終わってロビーに出ると、様々な撮影道具も並べられていた。ハンディサイズは便利そうだけれど、フィルムで撮るとなると手ブレが心配…。今よりずっと撮影技術が求められたんだろうな。
ステンドグラスも、照明のシェードも華美さはなく、堅実な美しさ。
来年も是非、根津で観たいけれど、あちこちでの上映も観てみたい、というジレンマも。ありがとうございました、また1年後を楽しみにしております。
根津映画倶楽部
http://nezueigakurabu.blog42.fc2.com/
ホームムービーの日。日本での活動。
http://filmpres.org/project/hmd/
12月のメモ
目黒シネマの市川準特集を毎冬の楽しみにしている東京の映画好きは多いんじゃないかと思う。
去年はちょうど、このサイトの準備真っ只中で、ひたすら家に篭ってコード書いていたので目黒が遠く、泣く泣く見送った。一昨年は「トニー滝谷」を観た後、宮沢りえさんのトークを楽しみ、その日はトークのため併映の「つぐみ」が観られなくて、別の日にラスト1本で「つぐみ」だけ観るために再訪。つぐみが暮らす海辺の街の、潮の匂いが身体にまとわりつくような気がしながら、12月の東京、帰り道を歩いた記憶。
目黒シネマのtweet(こちら)によると、今年は観客が観たい映画を募りBest5を上映するリクエスト企画。ずいぶん前、私もサクッとweb投票したの思い出した。結果はこちらになったようです。
私が投票した「大阪物語」が1位で上映される!パチパチパチ!上位なのは、ソフト化されていなくて、ごくごく稀に映画館でかかる時しか観られないから、という理由もあるはず。私の血の4分の1は大阪で(父方の祖母が大阪の人。わりとコテコテの)、「大阪物語」を観ると自分の4分の1が大反応して血が煮える感じ。なんだかミヤコ蝶々の口調に、祖母を重ねてしまうのよね。なんでやろなぁ…ま、うどんはおいしいけどな。とにもかくにも我が心の、そして身体の中の大阪という街の印象にこれほど近い映画は他にない。市川準監督、東京の人なのにね。外の人ほどちゃんとよく見えるってことなのかな。12月、万難を配して久しぶりに観に行きます。
レイトショー
東京に戻ったら、レイトショーで「ヤンヤン 夏の想い出」がかかる週であった。ものすごく久しぶりに観た。
今年はエドワード・ヤンの映画を何度も観たので、あの俳優がこの役!とフィルモグラフィの中での繋がりも楽しめる。
金曜まで、早稲田松竹で。35mm。時間さえ許せば、恐怖分子→台北ストーリー→ヤンヤンと自主的に3本立てにすることもできる。
http://www.wasedashochiku.co.jp/lineup/nowshowing.html
銀ブラ
昨日、髪を整えに銀座に出たついでに、シャネルで写真展、エルメスで映画を観て、かねまつ本店で靴を修理してもらいがてら出たばかりの銀座百点をもらう、パーフェクトな数時間の銀ブラを達成した。あれもこれも無料でほとんどお金を使わなかった。老舗の懐の深さと安定感にうっとり。
夏、手土産を買った和菓子屋で8月号をもらって以来、毎月1回は銀座でのんびりして、ついでに銀座百点をもらいたいものよ…と心に決めたけれど、9月号をもらい損ねているうちに10月号が出てしまった。
季節感ある表紙、読みものの充実、クラシカルな文字組、魅力はたくさんあるけれど、銀座百点は何より、その月、画廊や劇場で何が観られるか情報が載っていて、銀座のタウン誌として機能しているところが素敵だと思う。誰もがインターネットで何もかも調べるわけじゃないものね。
映画のページもちゃんとあって、その月、銀座有楽町日比谷界隈の映画館でかかるたくさんの映画からかの数本のチョイスも銀座百点らしさがある。有楽町スバル座、行ったことないので行きたいけれど、観たいものがかからないというジレンマ。隣のページはとらやの羊羹の広告。
銀座百点
DEPARDON TOKYO 1964-2016
銀座、シャネル4階ネクサスホールで、レイモン・ドゥパルドン写真展。フランスから初めてアジアにやってきた、若き気鋭の写真家が撮ったオリンピックに湧く1964年の東京。その後何度も来日を重ね、2016年の写真はカラー。オリンピックのエンブレムのような円をモチーフにした会場、撮った年代によって3種類の色で壁が塗られている。
http://chanelnexushall.jp/program/2017/depardon/
映画で時折、海外の監督が東京で撮った映像が混じると、普段目にしている街の風貌が途端にエキゾチックな未来都市の匂いを漂わせるのが、不思議で面白いな、と思う。「ヤンヤン 夏の想い出」で、丸の内のビルの夜の窓の灯りが並ぶシーンを目にするたびに、涙が出そうになるのはどういう心の作用なんだろう。それからオリンピック自体には興味がないけれど、オリンピックを撮った映画って面白いものがあって、市川崑はもちろん、クリス・マルケルが撮ったヘルシンキ・オリンピックについての映画も楽しんだ(エルメスで観た。こちら)。記録するために派遣されたはずが、作家の色気がどんどん出てしまって脇道に外れてしまう映像たち。
レイモン・ドゥパルドンの撮った東京、オリンピックも、そんな豊かさがあって好みだった。初めての街に来て、生まれたばかりの目で世界を捉え直しているような。
これは64年のものではないけれど、バスの運転席の後ろから覗いた東京。「東京物語」にこういうショットあったなぁ。
こちらは64年。人もさることながら、街が、当たり前だけれど60年代の映画で観るままの街が写っていて興奮。都電もあるし、ビルはまださほど高くなく、東京の空が広い。街ゆく人々の和服比率の高さ。
64年を観た後に、2016年を観ると、2020年のオリンピックもこうやって記録されたなら、2070年頃に開催される写真展では、現在最新のガジェットや車も、人々の服装やメイクも、わぁ!古い映画で観たまんま!って、2070年の観客は思うのだろうな。
レイモン・ドゥパルドン、現在ドキュメンタリー(こちら)も上映されている。
ネクサスホールで開催される写真展、好みのものが多く、シャネルマークデザインのエレベーターのボタンを押すのも楽しい。
エレベーターに同乗するマドモワゼル。
写真展は、10/1(日)まで。間に合った。
映画祭ラインナップ
去年の東京国際映画祭。ホン・サンスとエドワード・ヤンの並び。強い!
今年のラインナップ発表されました。
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/list.php
旧作が多い。今年は30周年の節目だから、過去、映画祭で上映された映画もメモリアルっぽくかかるらしい。その分、新作の本数が圧縮された気がして、おめでたいけどちょっと残念。真っ先に「ホン サンス」で検索したけれど、上映なし。台北で観ておいて良かった!フィルメックスという可能性もまだ残ってる。タイのナワポン監督も検索したけれど上映なし。観たいよー(タイに向かって叫び)!
矢田部さんのコンペ詳細紹介ブログがチケット発売までに更新されることを願いつつ、ざっと眺めて気になるのは…
コンペから。「グレイン」は、あらすじと写真が好み!未知の監督の映画は、写真とあらすじから野生の勘で選ぶのが当たりを引きやすい傾向にある。
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=9
「マリアンヌ」、俳優ギョーム・ガリエンヌは監督もするのね。
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=19
アジアの未来部門、タイ映画好きなので気になる。「現れた男」
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=45
ワールド・フォーカス、クレール・ドゥニによるジュリエット・ビノシュ!「レット・ザ・サンシャイン・イン」!
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=119
ワールド・フォーカス、確か矢田部さんのブログで読んで、観たいと持っていた中国のアニメ。「Have a Nice Day」
http://2017.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=133
矢田部さんのブログ、この記事
http://www.cinemacafe.net/article/2017/02/18/47181.html
日本ですぐ配給されそうな有名俳優もの、有名監督ものはなるべくパス、日本映画も観たいけれど映画祭で見逃しても東京だと公開で観られるので優先順位を下げる…という例年のポリシーは今年も適用させ、今年何故か北米の映画が少ない気がするけれど、アメリカのインディーズ映画も他でなかなか見られないので、しっかりラインナップをチェックしておきたいところ。
以上、初見のざっくりメモ。
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