膝が主役

肌寒い梅雨の夜空をくぐって映画館に辿り着くと、アルメンドロスの切り取った1970年、アヌシーの水辺と陽光。ロメールの別の映画の最後のセリフのように「la vie est belle!!」って小さく叫びたくなった。人生は美しい!
ロメール特集に遅ればせながら参戦。
http://mermaidfilms.co.jp/rohmer2017/
ずいぶん細部を忘れていた「クレールの膝」を観たら、想像以上に膝が主役の映画で、あらすじを端折って伝えると「美少女・クレールの膝に触りたくてしょうがない男の物語」(ずいぶん端折ったね!)。撮影のせいか脚本が上手いのか観ているうちにクレールの膝に触りたくて触りたくてムズムズしてくるの。よく見つけたね、あんな膝、と唸るナイス膝キャスティング。ロメールもさぞかし、膝…膝…って血眼になって探したのでしょうね!
もう何度も観たから今回はもういいよなど、そろそろ言ってもいいほどのロメールだけれど、観てみるとやはり見飽きない。まだまだ観たい。
1935/2046

北京の映画博物館で見つけた、1935年の中国映画のパネル。大きめのドットのチャイナドレス。日本で観られる中国映画なんて本当に少なく、クラシック映画なんて観る機会がないので、どのパネルも面白かった。
「メットガラ」を観ていると、王家衛の落ち着いた的確なアドバイス、さすが中国上下5000年の歴史の裏付けを感じさせる金言の宝庫…と思うと同時に、「花様年華」のファッション界への影響の強さを思い知る。柳が風にたなびくようなマギー・チャンの美しさに異論はないけれど、みんなもうとっくに忘れてそうな続編?「2046」、私は好きだった。物語が破綻気味なのは王家衛映画の常だから特段驚かず、SF要素もある映像の美しさにうっとりした。そしてチャン・ツィイー!
「2046」のチャン・ツィイー、好みはありましょうが「花様年華」のマギー・チャンとはまた違う系統の中華圏の女の美しさをこれでもかと見せつけ、体幹のしっかりした自己肯定感の高そうな体つきのせいか、王家衛映画常連の女優たちと比べても世代がいくつか若いせいか、ごうごうと新風を吹き込んでいて素晴らしかった。
メタリックなチャイナドレスに、たっぷり塗ったマスカラ、シャラシャラ揺れる煌めくイヤリング…。ま、チャン・ツィイーが好きなだけなのだけれど。他の映画はamazonビデオに揃っているのに、「2046」がないのは、ジャニーズの堅牢な壁という理由でしょうか。
メットガラ

5月に観たドキュメンタリー「メットガラ」。
ファッションの世界は華やかで、この映画でも提示されたように、ファッションそのものがビジネス?アート?等、様々なグレーな問いを含んでおり、映画になりやすい題材ということか、ファッション・ドキュメンタリーは量産されている印象だけれど、私は割と警戒している。だって面白いものが少ないんだもの。「いくつになっても女・現役!」みたいな、ファッション誌の見出しのような証言セリフが散りばめられ、3年後には聴くだけで恥ずかしくなりそうな音楽が流れて纏められてしまって、これだったらファッション誌を読めばいいのでは…映画じゃなくて、という気分に陥る。
「メットガラ」はメトロポリタン美術館服飾部門のキュレーター、アンドリュー・ボルトン、泣く子も黙るアナ・ウィンターが登場し、製作過程に密着するのは「China: Through the Looking Glass」、中国文化の服飾への影響がテーマの展覧会…これだけ素材が揃えば、そうそうつまらないのは作られまいて…と淡い期待を抱き観に行った。
けれど、なかなか壮大な素材殺しを観たわ、と、どんよりした気分で映画館を出ることに。
西欧諸国よりも中華圏に対して心の距離がより近い私は、中国の歴史や文化に対する彼らの敬意や理解のなさばかり強調され、おおいに苛立った。注意しなければならないのは、敬意や理解がなかったかどうかはわからないけれど、映画がそんな一面ばかり切り取ったように見えたということ。
メトロポリタン美術館の東洋美術部門も協力し、インスピレーション源となった美術品(仏像や壺)とファッションを同時に展示するのは、大きな美術館ならではの良さがあるとして、人民服と毛沢東の肖像、さらに仏像を同じ展示室内に並べたい…と、いいこと思いついちゃった!とばかりにウキウキ提案するアンドリュー・ボルトンの前で複雑な表情を浮かべるウォン・カーウァイ、その後、静かに再考を促すウォン・カーウァイ…等、ハラハラしながらも珍奇な場面を目撃するもの珍しさはあったとして、視察やデザイナー訪問のため訪れた北京で、中国の女性ジャーナリストから中国に対する理解不足を指摘される場面では(質問はうろ覚えだけれど、確か少し批難するような口調だった→北京で会見をすることは、古い中国を発信するというメッセージになりかねないが、それについてどう思うのか?だったかな)、ようやく観たいものがきた!どんどん斬り込んで!と一瞬興奮したものの、たいして納得できる答えがなかった上に(答えたけれど、映画はそれを使わなかったのかもしれない…と疑うほどに、私はこの監督を1mmも信用していない)、カメラはジャーナリストが去った後の「彼女は1930年代(だっけな?)を生きているのよ」とイヤミを言うアナ・ウィンターの発言と軽い嘲笑の表情を捉え、この不快感は何だろう。監督はファッションは歴史にインスピレーションを得ながらも同時に過去を否定し「新しいこと」を更新していく…ことを示したいのかもしれないけれど、見せ方が上手くないせいかファッションの軽薄な一面だけが必要以上に強調されてしまっているように思えた。
しかし考えてみれば、これは「China: Through the Looking Glass」の準備過程であると同時に、セレブリティが集結し展覧会のオープニングを彩る「メットガラ」のドキュメンタリーなのだから、一夜限りの「メットガラ」の華やかさが映れば良いのかな、と、やけくそ気味に気を取り直す。この年のメットガラ、よく覚えている。中国を代表する女優たちがずらりと並ぶ写真、絢爛豪華で見惚れた。特にファン・ビンビン(范氷々)!「傾国の美女」という表現はこの人のために使うべきでは?という浮世離れした美しさで圧倒された。映画にはもはや期待しないから、動くファン・ビンビンをスクリーンで観られたらそれで良い…と待ち構えていたら…最後まで登場しなかった…!ファン・ビンビンだけではない、中国の女優は一人も、一秒も登場せず、存在自体が黙殺されていた。席順決めに困った結果、会場の隅に追いやられたクロエ・セヴェニーが、ひとりぼっちなのー!と騒ぐ、呆れるほどどうでもいい場面に数秒使うのであれば、中国女優を映しておくれよ…。こんな年の「メットガラ」をテーマに選んだにもかかわらず、もしかして監督、中国、お嫌いでしょうか?メットガラでのファン・ビンビンはこちら。コン・リーのドレスも美しい!彼女たちが映されず、ディズニー魔女のようなギャグのような帽子?をかぶったサラ・ジェシカ・パーカーが映されたことに、断固抗議したい。
映画はつまらなかったけれど、展覧会は中国を黙殺して成立するはずもなく、きっと素晴らしかったのだろうな。アンドリュー・ボルトンは「キングスマン」に登場しそうな英国紳士でフォトジェニックだし、オートクチュールも、それを着たアメリカのセレブリティも登場するから、そちらに興味があれば目の保養にもなる。中国に心の距離の近い私の興味を満たしてくれなかっただけで。
ふと、フレデリック・ワイズマンならどう撮っただろうかと妄想してみる。「チチカット・フォリーズ」「臨死」「DV」「軍事演習」「動物園」…といった、その時々のアメリカを記録したフィルモグラフィに加わる「メットガラ」!淡々と現実を捉えながらも、鋭さが滲み、ファッションや米中関係に関する問いを提示し続け、この上なく面白いドキュメンタリーになったのではないだろうか。
1995

いろいろ観てはいるけれど、感想を書いていないのばかりで、書き始めたけれど、書き終わらず。代わりに、寝付けなくて昨夜、amazonビデオを探ってみて観始めたら最後まで横目で観てしまった「恋する惑星」について。
1995年って、もう20年以上前の映画なのね。ずいぶん久しぶりに見返してみると、前半の金城武パートはやや退屈で、後半のフェイ・ウォン&トニー・レオンパートは面白かった。音楽や俳優の身体性のせいかしら。普遍的に美しい…というわけではなく、95年の空気をたっぷり吸ってしっかり古びており、だがしかしそれがいい、という不思議な魅力。
今であればストーカーと呼ばれそうな行為も、そんな名前も与えられていない頃で、ちょっと頭の涼しそうな子程度のポップな人物造形。
こんなに手紙が登場する映画だったっけ。別れた恋人への伝言は手紙を託して。待ち合わせに行かない場合も手紙を託して。受け取った手紙を、勇気がないから読んだり読まなかったり。連絡がとれず待ちぼうけしたり。携帯もなく、インターネット普及前夜の95年、恋の終わりの寂しさも、はじまりの予感もぐっと身体的で、匂いが漂ってきそうな街の景色もあいまって、溌剌と、みずみずしさに胸を打たれた。
2000年頃、香港人に連れて行ってもらって、フェイ・ウォンの働いていた小さな店のあった界隈に行ったけれど、回転が早いということか、映画の面影はなかった。巨大エスカレーターは堪能した。返還後、しばらく経った頃のこと。
You Are the Apple of My Eye

梅雨入りしたはいいものの、梅雨らしさを発揮していたのは昨日ぐらいで、明日は30度以上らしいし、来週にも雨マークひとつもなく、勇み足でモジモジしてる梅雨の姿が目に浮かぶようです。
西川美和本を読み終えたので、台湾がらみの本にブックカバーをかけて読み始めた。
私的台湾映画特集は「飲食男女」の後、台湾で大ヒットしたと聞いたので、「あの頃、君を追いかけた」をDVDで観た。英題は、You Are the Apple of My Eyeだそうで、可愛らしいですね。学生時代、モテまくっていた女子と、彼女をめぐる男子たちのその時とそれからの物語。原題「那些年,我們一起追的女孩」は「あの頃、僕たちが一緒に追いかけた女の子」だから、なかなか良い邦題。
http://www.u-picc.com/anokoro/
俳優陣もみんなフレッシュで(特に主演の2人、キュート!)甘酸っぱい青春もの。台湾の学生生活のあれこれも覗き見ることができた…けれど、いかんせん普段観ている映画のトーンとかけ離れ過ぎており、2017年・映画爽やかさ許容量を1本で満たしてしまった。映画のせいではない、私の都合である。
返却して別の台湾映画を借りてみたけれど、そっちはどうかしら。適度にほろ苦く不条理なのを期待。
紫陽花

梅雨入り。仕事を終えて建物の外に出たら、紫陽花と目があった。撮ってみたけれど、ぼやけてて…疲れてるのかな、と、さっさとメトロへ。

後からカメラロールを見たら、ブレて抽象画のような紫陽花。これはこれで綺麗。洋服の柄みたい。
秋日和の百合ちゃんの帽子って、紫陽花モチーフなのかな。こちら。ドレスとセットだとしっくりくるけれど、この後、この装いにコートを羽織って原節子のアパートに来る場面は、コートと帽子がいまいち合ってなくて、祭りのあと、というニュアンス漂い、それもまた良し。
冬の恒例行事

今週のショック案件。12月「聖なる夜の上映会」に行くことを恒例行事にしていたけれど、去年が最終回になったらしい。会場の都合なのかな。
初めて行ったのは「第七天国」の年。調べてみたら2010年だった。その後、1年だけ行けない年があったけれど、毎年の楽しみだった。去年は終演後、会場の写真を撮っていたら見知らぬ男性に話しかけられ、「去年もいらしてましたね?」と、あちらは私の顔を覚えていたみたい。見知らぬ男性、ご存知ですか。今年はあの教会で映画を観られないって。
http://www.yanesen.net/topics/detail.php?id=272
映画館もいつまでもそこに存在しないし、上映会も同じ。お互い元気なうちに存分に愛しあわなければならないの。
これまで撮った写真がいくつかあるから、今年のうちに原稿にまとめ、記録してちゃんとサヨナラの手を振ることにするわ。
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