夜の浜辺でひとり

有楽町で。ホン・サンス『夜の浜辺でひとり』は、去年台北で観て以来2度目の鑑賞。
台北で観た時のことはこちらに書きました。日本で配給されるか不明だったので、台北の東の外れのシネコンまで観に行った。つるんとした巨大なショッピングモールがある南港というエリアは、東京で例えるなら二子玉川のような場所ではないかしら。
http://cinemastudio28.tokyo/cinemaontheplanet_007_part2
今回、日本で特集上映されたホン・サンス&キム・ミニ映画4本はどれも、私生活での2人を否応無しに想像してしまう物語ばかりだったけれど、日本人の誰もいない台北郊外のシネコンで淡々と中国語字幕で物語を追いかけていると、ずいぶん遠い場所で映画を観ている私に、彷徨うキム・ミニの姿が身体の奥まで染みてきた。
物語の中で役柄がどう生きるかということ以上に、女優として仕事をする中でホン・サンスと出会い、それまでの自分とは違う場所に来てしまったキム・ミニの現在を勝手に想像し、肝の据わり方に妙な感慨を覚えた、というべきか。その覚悟に圧倒されたからか、4本の中で『夜の浜辺でひとり』が最も好きだった。まるで自分のような役柄を演じるなんて、どんな気分になるのだろうか。
ドイツで声をかけ時間を聞いたり、韓国のマンションホテルで窓を拭いていたり、不意に現れる謎めいた男。前半の終わり、死体のように力の抜けた彼女の身体を肩に乗せて連れ去ってゆく男の不気味さ。あの男は、彷徨う女優に取り憑いた振り切れない愛の幻影だったのだろうか。
http://crest-inter.co.jp/yorunohamabe/
Cinema memo : 70mm

日比谷界隈の夏空。
フィルムセンター改め国立映画アーカイブで秋、『2001年宇宙の旅』70mm版特別上映があることを知った。
上映は10/6〜7、10/11〜14、チケットは9/1から発売。
http://www.nfaj.go.jp/exhibition/unesco2018/
映画の上映、フィルム→デジタルへの変遷があっけなく急速で、これまで当たり前に享受していたフィルム上映が、ずいぶん贅沢でノスタルジックなものとして扱われるようようになるまで、これまで自分がどんな素材で映画を観ていたかに無頓着だったけれど、70mmで映画を観たことって、果たしてあったのだろうか。初体験かもしれない。需要に対して上映回数が少ない気がするけれど、無事チケット買えるといいなぁ…。
ミッション:インポッシブル/フォールアウト

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』はTOHOシネマズ日比谷で。これまでIMAXを求める際は新宿まで行っていたけれど、近くに環境が整ってありがたい。
パリ、ロンドンの中心で展開する物語は有名な建造物ばかり登場して観光気分を味わえるし、挑戦してみたいアクションをまずやってみて、それらを繋げるように物語を組み立ててゆくなんて往年の香港映画みたい…。このシリーズはもはや筋書き云々よりトム・クルーズの無闇な身体能力の高さを堪能する目的で観ており、加齢に逆行するようにエクストリーム加減が加速する生身のアクション、シリーズ次回作が楽しみと同時に、無理しないで…の念が増してゆく。トム・クルーズも生物だからやがて死を迎えることは避けられないとしても、撮影中の事故で唐突に世を去ることなく、死因:老衰等で大往生してほしいものです。
そんな、興奮の裏側にびっしり「心配」が張り付いた状態でポカーンと画面を眺めながらも、長きに渡る映画、観客への貢献に、なんだか胸がいっぱいに。トム・クルーズって、なんだか年々好きになっていくタイプの俳優。好きな俳優を聞かれて筆頭に名前が出てくるわけではないけれど、「功労賞」を捧げたい相手として心の中で地位が磐石になってゆく。
それから、そういえばイーサン・ハントって既婚者だったね、と冒頭の夫婦のシーンで思い出したけれど、妻(ミシェル・モナハン)と、前作に続き登場したイルサ(このシリーズのレベッカ・ファガーソン大好き!)、同じ系統のルックスで、イーサン・ハントの好みはブレないなぁ…と妙に感心すると同時に、今作から登場したホワイト・ウィドウを演じるヴァネッサ・カービーって、若い頃のニコール・キッドマンと同じ系統のルックスに思えて、トム・クルーズの好みもブレないなぁ…と妙に感心するという楽しみ方もあった。
映画の中の好きな部屋

暑さのせいか、この夏の休日の日中は外出せず、部屋を片付けている。国内外で引越しが多かったので、なるべく最小限の物だけ持つことにしているせいか、「壁一面の本棚」とか「香水瓶の並ぶ鏡台」とか、素敵だとは思うけれど、見ているだけでじゅうぶんで、それは私の生活ではないな、と思う。
広い空間に家具がポツポツ余白をもって配置されていて、床面がかなり見えている部屋が好きで、今、私が住んでいる部屋もそんな感じ。映画の中の好きな部屋について考えてみて、真っ先に思いつくのは、カサヴェテス『オープニング・ナイト』で、ジーナ・ローランズが暮らす部屋。この部屋の間取りを知りたい。
広いリビングルーム、傍に小部屋がいくつかある。小部屋をベッドルームにするかと思えばそうではなく、リビングの隅にマットレスだけのベッドがある。リビングルームはがらーんとしているけれど、小部屋はちょっと乱雑で、そのアンバランスさが、ジーナ・ローランズ演じる女優の情緒不安定をそのまま表現しているみたい。
インテリアが好みというわけではないけれど、『フェイシズ』のあの階段のある家(カサヴェテスの自宅)など、カサヴェテスの映画は、ちょっとの期間だけ住んでみたい、興味深い室内が登場することが多い。
映画の言葉を聞く

暑さにやられて、文章は読むのも書くのも億劫モードに入っており、長い小説など敬遠してしまう。図書館で借りてきた『映画の言葉を聞く』は早稲田大学『マスターズ・オブ・シネマ』という人気講義の講義録。気鋭の映画人(俳優、監督、プロデューサーなど)を招き、関連映画を観た後、本人の話を聞く形式。1人あたり数ページなので、酷暑でも読みやすくありがたい本です。
私のようなただの映画好きでも聴講できるのかは不明。いつも登壇者が豪華だなぁ、と羨ましく眺めている。
http://filmart.co.jp/books/movie/history_theory/masters_of_cinema/
濱口監督の登壇回を読みたくて借りたけれど、フランス映画祭で来日していたイザベル・ユペールが登壇した回の議事録が短いながら濃密で、何よりユペールの回答が簡潔かつ濃密で寝る前に読んでしまい頭が変に活性してしばらく眠れなかった。
「知性」という言葉はユペールのような人にこそ相応しいのでは。だとしたら、ずいぶん身体を通過し、時間をかけて熟成されるものなのだなぁ。
そして、すでに大女優として名声を得た状態のユペールと対面した学生と、ユペールが徐々に名を轟かしてゆく過程を時間をかけて観てきたであろう是枝監督はじめとする授業の運営陣との質問や興奮度の温度差もなかなか興味深い。
借りた本だけれど、手元に置いておきたくなった。
Cinema memo : 9月

出かけるとしたら専ら銀座・日々谷界隈で、渋谷や新宿への心の距離は遠のくばかり。願わくば東京でかかるすべての映画は銀座・日々谷界隈でもかかってほしい…。
今年は上半期、話題作の公開が多かったように思うし、もろもろの繁忙期と見事に重なって見逃したものも多い。これから何か話題作って公開されるんだっけ…?と先日、話していたけれど、シネスイッチ銀座の前を通りかかって思い出した。アニエス・ヴァルダの新作がある!
9/15公開。
http://www.uplink.co.jp/kaotachi/
9月はこれと、濱口監督に浸る予定。
TOHOシネマズ日比谷に映画ポスターがひとつも貼られていないこと、不便きわまりなくて不満の気持ちが消えない。こうやって前を通りかかってワクワクすることも映画を巡る素敵な景色だと思う(抗議)!
復興する和光

銀座和光へお買い物へ。和光って昔は日・祝休み、18時閉店だった記憶があり、いつ行けばいいの?と思っていたけれど、日・祝営業、19時閉店になった。いろいろ事情はありましょうが、世の中にこんなにお店がある中、営業時間の短さこそ和光らしい高級感だったように思う。
友達に写真を送るために交差点で和光を撮っていると、小津の映画にこの交差点から、和光や教文館を撮ったショットがあったなあ、と思い出す。

帰宅してamazon primeでチェックしてみると、『東京物語』の紀子さんがアテンドする東京観光シーン、はとバスからの眺めで和光の時計台がばっちり映っていた。和光が映る小津映画、他にもあるはず。
それから1954年の『ゴジラ』で和光はゴジラに破壊されていたけれど、

2016年、『シン・ゴジラ』でもゴジラのビームで破壊されていた。破壊され、復興する和光、銀座のシンボル。
和光で買うものは決まっており、イタリア製の三つ折財布を購入。昨今、現金を使う機会が減ってきたせいか、長財布に変わりミニ財布が流行しており、いろんなブランドから発売されているけれど、和光の三つ折は30年以上のロングセラーで、私もちょこちょこ色違いで買い替え、7〜8年は使っている。長財布は私の小さな手には収まりが悪い。和光で昔から売っているのは、冠婚葬祭用の小さなバッグに似合うサイズとして、という用途かしらね。
今回は友人からのリクエストによりプレゼントとして購入(オンラインにもあります。和光にしては買いやすい価格。こちら)。
この財布は1階入ってすぐの場所で売られているため、その奥や2階以上の和光には足を踏み入れたことがない。何も用がなくても店内ぶらぶら歩ける雰囲気なのか否かは依然として未知の世界。
【about】
Mariko
Owner of Cinema Studio 28 Tokyo
・old blog
・memorandom
【search】
【archives】
【recent 28 posts】
- 1900s (3)
- 1910s (5)
- 1920s (10)
- 1930s (26)
- 1940s (18)
- 1950s (23)
- 1960s (58)
- 1970s (14)
- 1980s (40)
- 1990s (46)
- 2000s (37)
- 2010s (240)
- 2020s (28)
- Art (30)
- Beijing (6)
- Best Movies (5)
- Book (47)
- Cinema (2)
- Cinema award (17)
- Cinema book (58)
- Cinema event (99)
- Cinema goods (15)
- Cinema history (2)
- Cinema memo (127)
- Cinema Radio 28 (8)
- Cinema Studio 28 Tokyo (92)
- Cinema tote (1)
- Cinema Tote Project (1)
- Cinema trip (43)
- cinemaortokjyo (2)
- cinemaortokyo (100)
- Drama (3)
- Fashion (40)
- Food (65)
- France (15)
- Golden Penguiin Award (11)
- Hakodate (6)
- Hokkaido (3)
- HongKong (3)
- iPhone diary (1)
- journa (1)
- Journal (248)
- Kamakura (1)
- Kobe (1)
- Kyoto (18)
- Macau (2)
- memorandom (4)
- Movie theater (212)
- Music (43)
- Nara (15)
- Netflix (3)
- Osaka (2)
- Paris (13)
- Penguin (16)
- Sapporo (3)
- Singapore (1)
- Taiwan (47)
- TIFF (24)
- Tokyo (358)
- Tokyo Filmex (14)
- Weekly28 (10)
- Yakushima (3)
- Yamagata (11)
- YIDFF (6)
- Yokohama (5)
- Youtube (1)
