ジレンマ

この間、映画にさほど興味ないだろう人とたわいのない話をしていて(仕事含め私の一日の8割はそんな会話で構成されており、私の映画好きを知らない人が大半)、何かの拍子に口を滑らせ「ああ、9月9日!『ダンケルク』と『散歩する侵略者』の公開日が同じだなんて!どうすればいいの…?1日で2本観るとか…?酸欠起こしそう!」と興奮気味に喋ってしまい、相手をポカーンとさせた。俺の知ってる単語がひとつもない!とか、思ったかしら。知らんけど。
これほどさように楽しみにしておる「散歩する侵略者」の日本最速上映が今日だったようで、LINE LIVEで舞台挨拶の様子を観た。チケットは秒で売り切れたらしい。黒沢清映画の舞台挨拶って、いつも映画の世界観とは裏腹に和やかで和気藹々としている。撮影が楽しくて楽しくてと役者さんが振り返るコメントもよく目にするけれど、そんなムードの中、出来上がるのがあんな映画なのだから、映画って本当によくできた嘘なのね…という気分にもなる。
こちらのインタビュー、同じ物語を演劇と映画、それぞれの手法で演出することについて。読み応えあった。舞台版は10年前だけれどすでに観ているので、文庫化された原作は映画を観た後に読む予定。
https://www.cinra.net/interview/201708-sanposurushinryakusha
バスルームの活用法

台北の中山堂広場で、あまりに天気が良くて撮った写真、青いオーブ?が写り込んでる。今年写真を撮ると時々写るなぁ。
りえこさんのCinema on the planet 004 / The Silent Movie Theatre(こちら)を読んでいて、お!と思ったのは、初代館主が自宅のバスルームでフィルムの修復作業をした、というくだり。似たエピソード、どこかで目にしたような…。アンリ・ラングロワ!
アンリ・ラングロワはシネマテーク・フランセーズ創設者で、ヌーヴェルヴァーグの父とも呼ばれる人物。私費を投じてフィルム収集を始めた頃、自宅のバスタブに保管していたって何かで読んだっけ(日本語wikiにもありました こちら)。流れでシネマーテーク・フランセーズのwikiも読んでみたら(こちら)、まだシネマテークの建物、映画の上映場所がない初期、アンリ・ラングロワのバスルームで上映会が開かれていた…と書いてあって驚き。バスルームなんて湿気が多そうで、フィルム保管に最も向かなさそうなのに?それともバスタブもシャワーも使わなくて、余剰の部屋だったということかしら。バスルーム上映会の資料写真など、あるのならいつか見られますように。
それにしてもフィルムの守り神はバスルーム有効活用の方法を知っている。映画はバスルームで守られる…?!
クレオの部屋

昨日、真冬の格好でウロウロしたせいか酷く疲れて二度寝に三度寝を重ね眠りこけたけれど、12時50分からイメージフォーラムと潜在意識にすりこんでいたせいで、むくりと起き上がりメトロに乗って、遅ればせながらドゥミ&ヴァルダ特集へ。
http://www.zaziefilms.com/demy-varda/
ずいぶん久しぶりに観た「5時から7時までのクレオ」(1961年/アニエス・ヴァルダ)は、記憶に残った断片からイメージしていた映画とは違う顔をしていた。時が経つと見え方が変わってくる系の映画だったのね…と呆然と帰ってきたけれど、暑さのせいで細かいことが考えられず、何がどう、と説明する余力がない。夏のよれよれ。
久しぶりに観たクレオの部屋、ずいぶん素敵だった。天井が高く、真っ白で、子猫がいて、ぶら下がり健康器のような謎の道具があり、ベッドは天蓋つき。ハイヒールを放り投げ洋服を脱ぎ散らかしても、後からついて拾って整理してくれるメイド兼マネージャー的女性もいるし、ピアノがあって、ミシェル・ルグランが訪問してくる!
広い部屋に、ぽつりぽつりとそれらの要素が配置してあり、床面が大きく見えている。私の好きな部屋は、広い床面にモノがなくてガラガラ感のある部屋、そして普通あるべきものが見当たらなくて、普通それないでしょ?という奇妙な道具が何故かある部屋。クレオの部屋、「ティファニーで朝食を」のホリーの部屋に並び、映画の中の住んでみたい部屋ランキング上位にランクイン。
エキストラ

心待ちにしている監督の撮影中の新作、大掛かりなシーンがあり、たくさん人が必要で人が足りないという情報を得たので、都内某所にてエキストラで参加してきた。映画に出たいなど考えたこともないけれど、メイキング本も熟読するほど好きな監督なので、撮影現場を観てみたくて。
トリュフォーの映画「アメリカの夜」は、映画の撮影現場の物語で、タイトル「アメリカの夜」は、昼間にカメラにフィルターをかけて夜の場面を撮ることを指す用語らしい。映画ってよくできた嘘ですね、ということを表す美しい用語で印象に残っているけれど、真夏の今日、冬の設定で屋外撮影。2017年現在ではなく過去の時間を撮るもので、参加してみて本当に、ああ、映画ってよくできた嘘だなぁ!と身に染みた。私はよくできた嘘を心から愛しています。
熱中症対策に配られたミネラルウォーターと、冬ムードのため持参したスエード手袋のミスマッチよ。夏服の上からコートを羽織った。帰宅して汗だくになった服をクリーニング行きの袋につっこみ、お風呂上がりにビール飲んでる。
公開は来年夏。ここから先も気の遠くなるような工程を経て、映画って出来上がっていくのだろうなぁ。
【本日更新】Cinema on the planet 004 / The Silent Movie Theatre(home of The Cinefamily)

本日更新しました。
映画にまつわる場所を巡るリレー連載「Cinema on the planet」第4回は、L.A.支部 りえこさんによるThe Silent Movie Theatre(home of The Cinefamily)のご紹介です。
りえこさんは普段からこの映画館の会員で、頻繁に通っている様子をinstagramで眺めていたのですが、詳しくお話を伺ってみると、ハリウッド映画も真っ青のドラマティックな歴史がありました。ほんと、現実って時々、映画以上に映画みたい。
りえこさんが客席から撮影した2016年のアンナ・カリーナの短い動画もあります。アンナ・カリーナ、期待を裏切らず赤を着ていて、メイクやヘアスタイルが50年代から変わっていない…??このトーク、動画で一瞬映るキャスケットをかぶった聞き役の女性もブリ―・ラーソン(Brie Larson/「ルーム」でオスカーを獲った女優)とハリウッドお膝元ならではの豪華さなのです。
それではどうぞ、お楽しみください!
リズム

季刊の花椿、秋号を青山ブックセンターでもらってきたけれど、夏号も勇んでもらいに行ったのに、3ヶ月経っても読み切っていない。装苑が隔月刊になるというニュースがあった。これだけ読むものが溢れている中、「新しいこと」ってどれぐらいのペースで必要なのだろう。
花椿はリズム特集。ふわっとした言葉をそれぞれの視点に引き寄せてふわっと解釈した文章が多くて面白い。「リズムと映画」についてのページもあり、映画はストーリー(脚本)、「盛り上がる場面」と「静かな場面」、リズムのない映画は魅力に欠ける。けれど脚本だけがリズムを生み出しているわけでもなくて…と、ロジカルすぎないふわっとした切り口で選ばれる5本が新鮮だった。ちょっと禅問答みたい。
不安定な女を見守るシリーズ

愛用中の万年筆、Pilot Kakunoに透明軸が出た!Kakunoは子供用の初めての万年筆という位置付けの商品でもあるので、万年筆にはペン先の向きってものがあるよ、と教えるため表側に顔が書いてある。左がグレー軸(にっこり)、右が透明軸(てへぺろ)。こういうの考える会議、楽しそう、参加したい。
春に観た「ジャッキー」をもう一度観たくて、早稲田松竹でかかるって把握しているけれど、併映の「スノーデン」に興味が湧かない。実在の人物シリーズか。他にもっと「ジャッキー」と魅力的なもう1本の組み合わせないかしら?って探してみるけれど、今のところ見つからない。代わりにギンレイホールで「台北ストーリー」と「タレンタイム」の2本立てという豪華な番組を発見。9月。
「ジャッキー」、この上なくシンプルで潔いタイトルだけれど、そのシンプルさと、ナタリー・ポートマンのいかにもなジャッキー・ルックが、ああ、あのジャッキーね?知ってるわ。いまさら観る必要ない。って観客を遠ざけているのか、私の周りでもあまり観た人がいないけれど、あの時期シャンテで公開されていた「お嬢さん」「ムーンライト」と並べても、私は「ジャッキー」が特に好きだった。
ある映画を説明するのに、別の映画の名前を引っ張り出してくることは、なるべくしたくないけれど、観ている間のハラハラした不安定な気持ちは、カサヴェテス「オープニング・ナイト」に通じるものがあった…と言ったら、え?そうなの?スルーしてた、それなら観てみたい!と反応した人がいたので、ここにメモしておく。それからアニエス・ヴァルダ「5時から9時までのクレオ」のニュアンスもあったし、吉田喜重「告白的女優論」も、ちらっと思い出した。どれも観客が不安定な女をハラハラ見守ることを強いられることで共通しており、「ジャッキー」はその系譜上の最新作で、とても美しい映画です。
↑ この公式サイトも、スマホ最適で作ったものを、PCで見ると間延びしてただ引き延ばされるだけの粗いつくり、宣伝にもお金かかってないね…。
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