泳ぎすぎた夜

土曜午後は、イメージフォーラムでダミアン・マニヴェル&五十嵐耕平監督『泳ぎすぎた夜』初日へ。連日のダミアン・マニヴェル!
映画はすでに昨秋、フィルメックスで鑑賞しており(こちらに書きました)、ひどく疲れていたので途中でうつらうつらしたけれど、目が覚めるとスクリーンの中でも少年がぐっすり眠っており、不思議と贅沢な体験をした気分を味わった。考えてみれば、つまらない映画の時は粗を探すように却って目が冴え、好きな映画ほど眠ってしまうように思う。トリュフォー観ながら眠るの、すごく素敵なのでオススメです。
映画の後半部分、主人公がずっと眠っている、まさかの映画だけれど(そんな映画ってあるかしら)、雄弁に動いていた少年が動きを止め、家族が昼間の少年の足跡を辿るように、ジャンパーのポケットからみかんの皮を発見したり、絵を冷蔵庫にとめたりするささやかな場面が好きだった。一家が暮らす家の間取りがユニークで、思い返してみると4人の家族+犬が一堂に会する場面はひとつもないのね。時間的にも、場所的にもすれ違っている。
途中眠ってしまった分も、公開中に改めて観に行こうと思っている。小さな絵本をぎゅっと抱きしめるような映画の時間。
パーク

金曜夜の映画。カイエ・デュ・シネマ週間でダミアン・マニヴェル監督『パーク』。
http://www.institutfrancais.jp/tokyo/events-manager/cinema1804131900/
夏。とある公園で二人のティーンエイジャーが初デートをする。始めは戸惑い、恥じらっていた彼らも散歩が進むままに距離が縮まり、恋に落ちる。日が落ちて、別れの時間…。そして暗い夜が始まり、公園がそれまでと異なる表情、位相を見せ始める。
72分の短さの中に初々しい恋、残酷、ホラー、夢想…と予測不能に物語が展開し、たった1日が一生の長さのようにも、ひとつの公園が宇宙のように見えてくる。物語の転換点となる、先に去った男から届くショートメールを、誰もいない公園でひとり読む女の表情が徐々に色を変え、頭上で色を変える空からの光と闇が彼女の顔に陰影をつくっていく長いカットに魅せられた。ロメールの少女のような溌剌とした振る舞いをみせていた女が、般若の形相を垣間見せ、その変化をもたらしたのが彼女が当たり前に求めた「恋」だなんて。
上映後のダミアン・マニヴェル監督のトークもたっぷりとあり、どの質問も回答も興味深かったけれど、この映画が元は短篇の構想から始まり、公園でただ女性がバック転をし続ける筋書きだったというのに驚き、またその短篇に資金が集まるところにも驚いた。ナオミという主演女優はサーカスの訓練学校に在籍しており、その身体能力の高さは映画の中でも存分に発揮されていたけれど、そもそもはバック転映画を可能にするために選ばれたと知って納得。観客からの質問は仏語に翻訳され伝えられたけれど、ダミアンの回答は常に日本語が選択されていたことも素晴らしい。ダミアンの話す日本語、『パーク』の上映前挨拶にあったフレーズのように、また映画『パーク』そのもののように、シンプルだけれどシンプルじゃない日本語で、単なる日本語が上手な外国人、という域を超えた不思議な言葉の魅力がある。
*思い出したので追記。ダミアン監督、トークの中で吉田修一『パーク・ライフ』に言及していた。すべてが公園の中で展開する物語、と。『パーク』を観ながら『パーク・ライフ』を思い出すことはなかったけれど、言われてみれば、と読み返したくなりました。
Cannes 2018

登って降りてもすぐ別の繁忙の山がやってきてしまう4月よ。よよよ…。
しかし帰りの電車でタイムラインを眺めていると、カンヌのコンペ作品が発表され、濱口竜介監督『寝ても覚めても』選出された!わー!初カンヌでコンペ!今年の審査委員長はケイト・ブランシェットだそうで、ケイト様がハマグチを目撃するってことやで…興奮…。何より、日本公開より前にプレミア上映で観られるなんて、カンヌの観客が羨ましい。
https://natalie.mu/eiga/news/277748
海外で、どの濱口映画がどれほど観られているのか不明だけれど、過去の映画も上映されて、世界のあちこちでざわざわされると良い。『親密さ』のラストのエモーションに全世界が悶絶すべきだし、『PASSION』なんて、ほんと、ここ数年で観た恋愛映画の中で一番面白かった。『THE DEPTH』の色気よ。『不気味なものの肌に触れる』の続きも観たいなぁ。
写真は『ハッピーアワー』東京初日、イメージフォーラムの壁。2015年12月だなんて、もうずいぶん時間が経った。
指定席

映画『泳ぎ過ぎた夜』の公開が近づき、仕事の後、イメージフォーラムに週末の席を確保に。オンラインチケットシステムが導入され、窓口では3日前からチケット購入できるようになった。しかしイメージフォーラムのカウンターで、座席指定する自分にはしばらく慣れなさそう。
詳しくはこちら
http://www.imageforum.co.jp/theatre/news/1541/
先日、映画テレビ技術協会の特別割引は、オンラインチケットでは使えないと書いたけれど(こちらの日記)、イメージフォーラムのオンライン予約、券種に「映画組合割引」があって、オンラインでも買えるみたい。これは便利!すべての映画館がそうなってくれればいいのに…。組合割引を利用する観客、イメージフォーラムは多いってことなのかな。
棒読み

2年前の春、近所の桜の下で友達と花見をしようとして先に着いてぼんやりしていたら、椅子の上にあったメモ。宇宙の豊かさは無限で有りあなたがこれを見つけたのもあなたが愛されている証拠である。桜の下で不思議なメモを見つけたこと自体、春の夢のような朧げな記憶だけれど、こうやって写真をみると現実なのであった。
4月クールのドラマが続々と始まる。月曜、『コンフィデンスマンJP』をリアルタイムで観て、火曜にTVerでふたたび観た。今週ずっと慌ただしく予定の隙間がなかったけれど、隙間をほとんどこのドラマに捧げた。
第1話は『スティング』『マルサの女』にオマージュが捧げられ、天才詐欺師が登場して『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』っぽくもあった。空港が登場したからかしらん。様々な映画のエッセンスが登場して飽きない。
東出くんが出ていて、可愛い犬のように可愛いというだけで観る理由になるけれど、東出くんって人目に触れるたびにセリフ棒読み、棒演技って書かれがちで気の毒。演技が上手いってどういうことなのか私にはちゃんと説明できないけれど(誰か説明できる人はいるんでしょうか)、情感たっぷりにセリフを発するだけが演技の上手さというわけでもなかろう。華があって、不穏さもあって、画面に登場するだけで目を奪われてしまう。それだって十分に俳優の魅力なのでは。
https://www.fujitv.co.jp/confidenceman_jp/
上映会

清澄白河での東北記録映画三部作の上映会は、instagramで、#濱口竜介のタグをつけて投稿した古い写真に、見知らぬ方から、いいね!のハートマークをいただいて知った。辿っていくと主催されたtsugubooksのアカウントで、最新のポストが上映会の案内だった。もともと観たくて逃していたこともあったけれど、上映会も映画も次から次へと溢れてくるので、これは!と思うものは、手帳をすぐ見て、空いていたらその場で予約連絡をすることにしている。
tsugubooksのサイトを見ながら、本の活動をされている方が、どうして映画を上映するのだろう、と不思議に思っていたら、当日、上映前にその解説があった。
主催の女性は平日は保険の仕事に就く会社員で、被災された方(東北ではない)に保険金を支払うか否かの基準を協議する機会が過去にあったらしい。その経験をもって濱口監督の著書『カメラの前で演じること』にふと出会い、東北記録映画三部作に興味を持ったけれど、待っていてもなかなか上映されないので、自分で上映してみることにしたのだとか。休憩時間に少しお話すると、書籍『カメラの前で演じること』は映画『ハッピーアワー』について書かれた分量がメインだけれど、『ハッピーアワー』は未見とのこと。本の活動をする人らしく本がきっかけで、ご自身の経験と結びつく東北記録映画作をかける、映画好きからすれば意外な動機に思えるけれど、ご本人にはすごくすんなりした動機なのだろうな、ということが面白かった。28の連載「moonbow journey」を読んで、毎回思うけれど、上映会の数だけ、その映画をかけようと思った動機があって、その動機は外から想像するほど単純ではない。その人ならではの小さなエピソードや物語の集積なのだと思う。
東北記録映画三部作、残り2本の上映会は4月21日だそうです。最初の2本を観ていなくても、存分に楽しめる内容のはず。tsugubooksのサイトでチェックを!
この映画を3月に観られて良かったです、とtsugubooksさんにお伝えしました。
HHH

週末、篭って部屋を片付けつつ、秋に書いた原稿を書きなおした。文中に侯孝賢が登場したので久しぶりに侯孝賢のことを考えていたら、ちょうど4月8日が誕生日だったらしい。71歳。
侯孝賢、私にとって催眠効果の高い映画を撮る監督だったけれど、台北で侯孝賢の映画を観たことにより、なんとなく眠らずに最後まで観るコツを掴んだように思う。侯孝賢の街である台北で観たのがよかったのかもしれない。侯孝賢って英語表記だとHou Hsiao-Hsien(HHH)らしいけれど、中国語のピンインだとHou Xiaoxianだから、Hou Hsiao-Hsienの表記は、何が由来なんだろうな。
写真は去年、台北の夏。
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