ギンレイホール
春めいた目黒のフルーツパーラー。
どう考えても日記を毎日書くのは無理だなぁ。時間が足りない。あの映画もあの映画も観ながら書いていないけれど、しばらく日記は不定期更新です。7月中旬まで予定がみちみちに詰まってしまった。
ギンレイホール、今週は東出くん特集。瀬々敬久監督『菊とギロチン』、濱口竜介監督『寝ても覚めても』の豪華2本立て。キネマ旬報ベストテンを参考に映画を観る人にもお得な番組。
http://www.ginreihall.com/schedule/schedule_190309.html
主宰(=私)が共感というものにあまり興味がないほうなので(わかるわ〜とか言い合ってもな、と思う)、このサイトの執筆陣の映画の好みは見事にバラバラなのですが、Golden Penguin Award 2018では濱口監督の映画が3人から選ばれたのが感慨深かった。
『菊とギロチン』、見逃し続け、ようやく今朝ギンレイで観ることに成功。あのエネルギーの映画を3時間以上じっと観た後、さすがに『寝ても覚めても』用の気力体力は残っていなかった。通しで観る人すごい。が、東京でもっとも熱い2本立て。金曜まで。おすすめです。そして今日のギンレイ、朝から満席立ち見の盛況だった。私は着席できたけれど、立ち見であの映画を観る人の体力もすごい。
来週は『孤狼の血』と『寝ても覚めても』の組み合わせになるらしく、『孤狼の血』を見逃し続けた私はギンレイで捕まえる予定です。
http://www.ginreihall.com/schedule/schedule_190316.html
女王陛下のお気に入り
2月某日、『女王陛下のお気に入り』をシャンテで。ミッドタウン日比谷ができたとはいえ、相変わらずシャンテが好きだな。
http://www.foxmovies-jp.com/Joouheika/
ヨルゴス・ランティモス監督の新作を心待ちにしていたものの、オスカー10部門ノミネートなどずいぶんメジャー感ある華々しいニュースばかり耳に届き、耳を疑った。ヨルゴス・ランティモスが?それは私の知っているヨルゴス・ランティモスではないのではなかろうか。過去の作品もオスカーに絡んだことがあるとはいえ、私にとってのヨルゴス・ランティモス映画といえば、屋根裏部屋で膝を抱えて発禁本を愉しむような、薄暗い背徳感とセットだったのだから。そんな大手を振って表通りを闊歩するような賞賛なんて、そんなそんな。
しかし蓋を開けてみると、なんのことはない、ヨルゴス・ランティモス映画だった。ヨルゴス・ランティモスは世界に一人だ。痛風を患い、多くの子供を産んでは失い、うさぎに囲まれ、何でも手に入るのに何も手に入れていない情緒不安定で可愛らしい女王陛下。彼女の寵愛は裏の権力を手に入れることとイコールのように思えるから、ふたりの小賢しい女が頑張るけれど、女王陛下はシンプルなようでシンプルな女ではないから、ふたりに翻弄されながらも、おもちゃのように手玉にとって暇つぶしする。ふたりの女がそれぞれの方法で愛を示すけれど、女王陛下の底なし沼の孤独は、どんな愛の方法にも満足しない。
女たちがキリキリと宮廷政治を争う傍で、男たちは奇妙な化粧で顔を汚し、裸でキャッキャッと果物をぶつけあう趣味の悪い遊びに興じている、まったく男の立派さが描かれないところがヨルゴス・ランティモスらしい。女たちの衣装も、ソフィア・コッポラ的マカロンカラーでもなく、甘さのない無彩色で、時代考証など無視してデニム生地など使われていたのもモダーンで見事。
3人の女たちが抜群。最後まで女王陛下を嫌いになることがなかったのは、オリヴィア・コールマン本人の可愛らしさによるところだろうか。レイチェル・ワイズは相変わらず美しいけれど、ヨルゴス・ランティモス映画においては己の美しさに無頓着な女として登場するのも面白い。
私の前の列に、シャンテの観客層らしいといえばらしいことに、文化村が似合うような妙齢の上品なマダム3人組がいらして、「英国アカデミー賞でもたくさん賞をとったらしいの」「英国版大奥らしいわよ」「衣装が豪華で…」などCMなどで仕入れたと思われる映画にまつわる断片をキャッキャッと上映前におしゃべりされていたので、この方々にはヨルゴス・ランティモス映画への免疫はあるのだろうか…と軽く心配になったところ、上映後はエンドロールも終わらぬうちに速やかにだだだっと退場された。ヨルゴス・ランティモス洗礼。私ならヨルゴス・ランティモス映画に上品なお友達は誘わない。宣伝文句は何ひとつ間違っていないけれど、ヨルゴス・ランティモスの特徴は何も伝わっていない。映画の宣伝は難しい。
Cinema memo : ホークス!
ケーキやパンを売っていた店が閉店することになり、最後にパンをいただいたけれど、空腹ではなかったので保留し、翌朝オフィスで食べたの図。これを作った店はもうないんだ、美味しいと思ったとしても、2度と食べられないんだなぁ…と思いながら食べるパンは、パンに余分な感情が乗っかった味がした。
日本の4月の終わりは春の慌ただしさも落ち着き、これからGWに向かう独特の開放感があり、そんな時期に観た映画は不思議に記憶に残っている。何年か前、この時期に通ったルビッチ特集は至高であった。今年はハワード・ホークス特集があるようで、クラシック映画を恋しく思っていた最近、久しぶりにシネマヴェーラに通うべきでは。
平成最後の、新元号最初のシネマヴェーラはハワード・ホークス!
http://www.cinemavera.com/preview.php?no=223
私はとりわけ『教授と美女』を推したい。小賢しげな女性と初心な男性の組み合わせ、ちょっと『逃げ恥』みたい…と思ったけれど、『逃げ恥』を期待して『教授と美女』を観る人には全然ちゃうやんか?!って怒られそう。私の好きな女優オールタイムベスト3に入るであろうバーバラ・スタンウィックがあまりにもバーバラ・スタンウィックな魅力をこれでもかと振りまく映画です。
麻酔あれこれ
中野に向かう道すがら、路地で見つけた住宅のシャッター。これは…在りし日のワールド・トレード・センターでは。この住宅、911前からあるのでしょうが、この写真をシャッターに使うセンスとは一体。
私にとって面白い会話とは、その時々で興味を抱きながらも、ふわっとした疑問も多いトピックについて、その世界に詳しい人が教えてくれるという種類のもので、去年の手術以来、麻酔への興味は尽きず、ふわっとした疑問も日々募るばかり、麻酔医とお話してみたいけれど、私の社交範囲においてはさすがにお会いしませんね。
「せん妄」にまつわるこのニュース、
https://www.asahi.com/articles/ASM2N4RX3M2NUTIL01R.html
私は目覚めた時、人生最高の眠りから目覚めてしまった、今すぐにでもあの眠りに戻りたいという気分だったのだけれど、麻酔から目覚める時に淫夢を見がち、それは女性に多い傾向だと全身麻酔を2度経験した友人が言っていたのを思い出した。
それから『名探偵コナン』に登場する麻酔銃描写について麻酔科医に聞いてみた、というこの記事が最高に興味深かった。『麻酔科医ハナ』という漫画があることを知った、それは読んでみたい。
https://fuminners.jp/journal/entertainment/16146/
公開中の『女王陛下のお気に入り』が面白かったので、ヨルゴス・ランティモス監督の過去の映画も最高だったことをじわじわ思い出したついでに、『聖なる鹿殺し』の夫妻はどちらも医者で、全身麻酔プレイというブラックな笑いが仕込まれていたことを思い出した。ヨルゴス・ランティモス映画のいずれにも言えることだけれど、よく思いつくなぁ、そんな設定。
リフレッシュ
連載を更新した際、サイトに不具合が生じ、自分では解決が難しい内容だったので、エンジニアの方にサポートいただきながら応急措置をとったのですが、他に気になっていた不具合も引き続きじっくり修繕してもらい、完了。すっきりした。リフレッシュ。
各ページの見た目には変化はないけれど、裏側に変化があり、diaryの投稿ページも変わった(ブロックエディタ?)。慣れないので引き続きクラシックエディタで書いている。時間ができたらブロックエディタで書く術も習得したい。diaryの下にあった検索機能などが表示されないエラーは解消したので過去記事も探しやすくなりました。観た映画は、どんどん書いてどんどん記憶から消すことにしているので、過去にあれ観たっけ?と思い出したい時用に検索機能、たぶん私が一番よく使ってると思う。
修繕期間中、アカデミー賞もあり、オスカーに絡むような映画も観たけれど書いていないので、徐々に記録してまいります。
2月、短いながら密度の濃い月だったので、さっぽろ雪まつりでSTAR WARSの巨大雪像のスケールを楽しんだことも、なんだか遠い幻のようだわ…。
【本日更新】moonbow journey 010 パイレーツ・ロック
本日更新しました。
移動式映画館moonbow cinemaの軌跡を追う連載moonbow journey 第10回。物語の殆どが船上で繰り広げられる映画『パイレーツ・ロック』に似合う上映会場を東京から千葉、神奈川まで海の近くのレンタルスペースを探したみづきさんの記録です。
どこでも、手のひらのスマートフォンでも気軽に映画を観られる現在だけれど、こんな場所でこんな映画を観られたなら、一生宝物にしたい思い出になるでしょう。
晴れやかな海辺の写真とともに、どうぞお楽しみください。
横道世之介
みづきさんからご連絡いただき、次回moonbow cinemaは3月2日、『横道世之介』。なんともチャーミングな映画で、何度も観たくなるけれど、意外と長い映画なので家だと集中力が続かない…と再見を見送っていた。上映は嬉しいですね。前田司郎さんの書かれるもののファンなのですが、この映画は高良健吾さんも今まで観た中でベストアクトだったし、なんといっても吉高由里子!この映画の吉高さんに恋しない人類っているのかな?ってぐらい最高の吉高映画です。
予約は2/23(土)からスタートとのことです。
https://moonbowcinema011.peatix.com/
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